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85)「ビジョン」について(その4:「製品販売型」のポイント)

 みなさん、こんにちは! 顧客への価値を提供する方法には、2つのタイプがありますが、その1つ目として、 「製品販売型」を考えます。 製品(サービスも含む)を販売して、利益を確定するビジネスのやり方(ビジネスモデル) です。 顧客が製品を買う理由として、「自分が達成したい、解決したいという課題(ジョブ)」を 持っていることが挙げられます。 例えば、壁に「額入りの絵」を吊るしたい、といった場合、壁に穴を開けなければなりませ ん。そのためには、何らかの工具が必要になります。顧客にとっては、穴さえ開けることが できるなら、どんな工具でも構いません。 一方、工具店の販売員は、顧客の「ジョブ」を考慮することなく、単に思いついた売れ筋の ドリルを勧めるかも知れません。そんなことでは、顧客は簡単に購入しないでしょう。「顧 客のジョブは何なのか」を予め知らなければなりません。 さらには、顧客が製品を買うときの「心理状態」への配慮が重要です。 「ポジティブ」面では、「出来栄えが良い」、「簡単にできる」、「価格が安い」といった 「メリット」が挙げられます。 一方、「ネガティブ」面では、「出来栄えが悪い」、「手間がかかる」、「価格が高い」な どといった、「デメリット」が挙げられます。 以上より、「製品販売型」では、「顧客にとってのジョブは何か?」、「顧客の求めるメリ ット」は何か?」、「顧客が避けるデメリットは何か?」 などに十分配慮することが、 ポイントになります。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

84)経営戦略について(その7の補充版:現状・未来折衷型戦略)

 みなさん、こんにちは! 今日は、78)経営戦略について、その補充版と言うことで、ポイントのみ述べたいと思い ます。 目下のお客様で、ニーズがあったため、追加する次第です。 今は、環境変化が激しく、基本的には、「未来志向型」が当てはまります。 現在大きく事業計画を見直していまして、従来計画したものの中に、今後とも、明らかに 継続して取り上げるべき課題がいくつかあります。また、「現状分析型」からも、新たな、 戦略が見えてきました。こういったことは、現実としてよくあることでしょう。 もちろん、未来に備えては、未来志向型で、自社として取り組むべき戦略を策定します。 例えば、3か年のスパンの戦略見直しとします。当面、例えば、最初の1年目については、3 年先を起点とする、「未来型」として策定した戦略に、上述の、「継続」する戦略や、「現 状分析型」で策定した新たな戦略を加えます。つまり、1年目は、「未来型と現状分析型のハ イブリッド」、ということになります。 もちろん、会社としての経営資源には限りがありますので、ある程度の選択と集中を行う必 要はあります。 そして、2年目を迎える際には、1年目策定の戦略に対して、環境変化に応じた必要な変更を 加えます。そのまま、継続しても良いかもしれません。また完了した戦略もあるでしょう。 要するに、未来型と現状分析型をハイブリッドで進め、環境の変化に応じて、適時、戦略を を見直していく、という方法になります。 以上のように、 必ずしも 、現状分析型、未来志向型と、きれいに分ける必要はないのではな いか、ということです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

83)「ビジョン」について(その3:提供する顧客価値のタイプ 製品販売型と顧客体験型)

みなさん、こんにちは! 顧客に、価値を提供する方法には、2つのタイプがあります。 1つは、「製品販売型」です。 製品(サービスも含む)を販売して、利益を確定するビジネスのやり方(ビジネスモデル) です。顧客に製品を売って、あとは顧客とのつながりはないので、「売り切りモデル」とも 言います。 差別化やコスト競争で、競合より優位に立てることが、成功の条件になります。 また、最近では、モノが溢れ、モノを「所有する」ことより、「使用する」ことに価値があ るとするトレンドがあります。 したがって、「今後とも、製品販売型モデルで安泰である」、とは必ずしも言えないような 時代になっています。 もう1つが、「顧客体験型」です。これは、「製品販売型」のように、「販売時に売り上げ を立てて、利益を計上し終える」、というやり方ではなく、「製品販売後も、顧客とつなが りを持ちながら、継続的に収益を得る」、といったビジネスモデルです。顧客が製品を購入 した後も、積極的に顧客に寄り添い、製品の価値を十分に納得してもらえることが、成功の 条件になります。現在のビジネスは、デジタル時代を迎え、顧客とのコミュニケーションが とりやすく、接点も多く持てるようになりつつあります。 今後は、従来のような、「製品販売型の売り切りモデル」ではなく、「製品販売後も顧客に 寄り添う、顧客体験型モデル」が中心になっていくでしょう。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

82)「ビジョン」について(その2:ビジネスモデルとは)

みなさん、こんにちは! 「ビジネスモデル」とは、「 ビジネス システム」と、「収益 モデル 」とから成ります。 これらの言葉の「ビジネス」と「モデル」が合成されてできた言葉が、「ビジネスモデル」 である、と言われています。 まず「ビジネスシステム」について述べます。 仕入先から、部品や材料、情報などを入手し、工場で加工して製品をつくり、物流を通じ、 顧客に提供します。それらの一連の「しくみ全体のこと」を、「ビジネスシステム」と言い ます。 「ビジネスシステム」の中で、モノを運搬する部分を「サプライチェーン」と言います。ま た、加工して付加価値をつける部分を「バリューチェーン」と言います。 つまり、「ビジネスシステム」とは、「バリューチェーン」と、「サプライチェーン」とか ら成る、と言うことです。 「ビジネスモデル」と一言で言っても、とくに「バリューチェーン」での付加価値の付け方 は多岐にわたるため、多くの型があります。 もう1つの「収益モデル」です。製品やサービスに価格をつけ、顧客に支払ってもらう、 いわゆる、「課金のしくみ」のことを言います。こちらも、「価格の付け方」、「支払い方 法」の組み合わせ等により、多くの型があります。 以上より、「ビジネスモデル」には、多くの型があることになります。私が知っている、基 本的なものだけでも、20以上はあると思います。 ご関心がある場合は、種々の書籍がありますので、是非、研究されることをお勧めいたしま す。 多くの型(定石)を知っているだけ、ビジネスの状況に適合するビジネスモデルを、効果的 な戦略として使える可能性が高まるからです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

81)「ビジョン」について(その1:「ビジョン」=「ありたい姿」=「ビジネスモデル」)

 みなさん、こんにちは! ここまでで、「経営戦略」は「ビジョン」と「展開戦略」から成ることを述べました。ま た、「ビジョン」は、「経営目標」、「ありたい姿」、「経営課題」から成ることも、すで に述べて来ました。ここからは、「ビジョン」のコアに当たる、「ありたい姿」について、 述べていきます。狭義の「ビジョン」であり、一般の呼び方でもあり、以降「ビジョン」と 呼ぶことにします。 「ビジョン」の中核は、「顧客」と「提供価値」の組み合わせの選択にあります。いわゆ る、「ポジショニング」という戦略です。「ポジショニング」は「差別化」のことでもあり ます。差別化により、一定の競争優位性のレベルが決まりますので、当然ながら、最重要の コアの部分になります。しかし、「ポジショニング」だけでは、競合他社に、比較的容易 に模倣されてしまいます。目に見えるからでしょう。これでは、持続的な競争優位は得られ ません。そこで、「ポジショニング」である「顧客と提供価値」を支える、目に見えにくい 部分、「経営資源」やその「使い方」といった、いわゆる「しくみ」が不可欠となってくる のです。 もちろん、模倣を回避するのみならず、戦略を効果的に実現し、有効に機能させる上でも、 この「仕組み」とのセットは重要です。 一般に、このセットのことを、「ビジネスモデル」と呼んでいます。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

80)経営戦略について(その9:戦略策定の基本ステップ)

みなさん、こんにちは! 経営上の解決すべき課題に対して、「戦略を具体的に策定するための、基本ステップ(手 順)」について、確認したいと思います。 以下は、『シンプルな戦略』(山梨広一著)等を参考に、私なりに整理したものです。 ❶経営課題の目的の明確化 まず、方向性を間違えないようにするため、戦略を通じて達成すべき、目的や目標を、明確 にします。たとえば、「商品開発」であれば、「どんな商品(What)を、何のために (Why)、開発するのか」といったことを、きちんと決めます。山登りで言えば、「目指 すべき山頂」を明確にする、と言うことです。 ❷前提条件の再確認 課題解決の前提条件(費用や期間、許容される解決策の範囲等)を、前もって、明確にして おきます。戦略を策定してから、前提条件を満足しないがために、やり直しをする、といっ た無駄を省くためです。 ❸組織を取り巻く経営環境の分析と洞察 「市場環境(顧客)や競合」の分析、「グローバル環境(政治、経済、社会、技術面 等)」の分析を行い、大きな変化や動向(トレンド)を明確にします。 「山登り」で言えば、「現在地から山頂にいたるまでの地形(川や谷などの有無)や天候 (晴れか、雨か、雪か)を調べ、それらに備え準備をする」といったことです。 ❹課題の抽出 「山登り」で言えば、現在地から、目的地である山頂に到達するために、解決すべきこと 全てが、課題となります。その中から、重要な課題を選択します。目的(山頂に到達する)の 8割程度が解決できるだけの課題に絞ります。「選択と集中」です。 ❺解決の方向性のアイデア出し 選択した重要な課題(複数個)を整理し、解決の方向性(山の登り方)のアイデアを出しま す。山の登り方には種々あるはずです。複数の登り方(アイデア)を出し、どれが良いか を、評価選択します。 ❷で確認した、「前提条件」が、その際の評価基準となります。条件を満足しない「登り 方」は、不採用となります。よい「登り方」が見つかるまで、❹から❺をくりかえします。 ❻重要なアクション(戦術)の策定 選択した「登り方」に沿った方向で、重要なアクション(戦術)を策定します。 ❼1つの戦略としてまとめる ❶から❻までを、経営課題の目的を達成することができる、1つの戦略としてまとめ上げる。 とくに❺は、戦略の質を高めるために、極めて重要です。...

79)経営戦略について(その8:戦略を支える3つの要素)

みなさん、こんにちは! 戦略成功の必要条件として、「戦略目的が、組織と、それを取り巻く環境の諸要素に 適合 す ること」を挙げました。 さらに、「適合の仕方」には、3つのタイプがある、といったことも、順に、述べて来まし た。 それでは、「戦略成功の十分条件」とは何でしょうか? いくら、「独創性」や「顧客価値」があり、「模倣困難」である、といった、優れた戦略が あっても(必要条件)、それらを、組織として、着実に遂行できなければ、全く意味があり ません。 持続的な「競争優位」を発揮するためには、そのための「組織能力」が欠かせません。 したがって、戦略を着実に遂行できる「組織能力」があることが、「戦略成功の十分条件」 と、言えるでしょう。 私は、「組織能力」には、以下の3つの要素があり、それら3つの要素が、戦略遂行のため の条件を、満足できることが必須であると、考えています。 ❶有形資産(ヒト、モノ、カネ) ❷見えざる資産(情報、技術等) ❸モチベーション(やる気) 以上の3つの中、1つでも満足できなければ、戦略遂行は困難となるでしょう。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

78)経営戦略について(その7:現状分析型戦略と未来志向型戦略)

 みなさん、こんにちは! 戦略の「適合』の仕方の、3つ目です。 一般的に、「戦略策定の仕方」として、「時間の流れ(時間軸)」に注力すると、2つの型 がありそうです。 1つは、過去を含む「現在」に、戦略発想の起点(根拠)を置くもので、「現状分析型戦 略」と呼ぶことにします。もう1つは、「未来」に起点(根拠)を置くもので、「未来志向 型戦略」と呼ぶことにします。 順に、それらの特徴を、ご説明いたします。 「現状分析型戦略」は、「過去及び現在」の状況を、「固定された所与の条件」と見なしま す。したがって、「未来」は、過去から現在の、「延長上にある」と考えていることになり ます。「仕事のマネジメント」としては、いわゆる「PDCAサイクル」を回すことが、基本と なります。 ご存知の方が多いと思いますが、「PDCAサイクル」の「PDCA」とは、「P:プラン(計 画)、D:ドゥー(実行)、C:チェック(確認)、A:アクション(見直し/フィードバッ ク)」のことです。確実に成果を出すための、マネジメント手法の1つとされています。  一方、「未来志向型戦略」は、未来の「ありたい姿」を起点にして、戦略を発想します。 現状の組織や取り巻く環境は、「絶えず変化していて、種々の対立や矛盾点がある」と、考 えています。したがって、「仕事のマネジメント」としては、「まず計画ありき」ではな く、「都度、目の前の状況の、背後にある文脈や本質的なことがらを見抜き、 ありたい姿を 見据えつつ、最適な手を打っていく 」といった、やり方をします。 「現状分析型戦略」に対して、「仕事の流れ」が、あたかも「物語を紡ぐ」ようであるた め、「物語り戦略」とも言われています。詳しくは、『共感経営』野中郁次郎/勝美明共著 (日本経済新聞出版)をご覧ください。 最後に結論として、以上を、私なりにまとめます。 ◆「現状分析型戦略」は、成果を出すためには、どうしても「一定時間を必要」とする場合 に適しています。例えば、「人材育成」、「設備投資」、「風土改革」など、といった場合 です。もちろん、環境が、それなりに安定していることが、前提になります。 ただ、現在の自動車業界のように、ビジネス環境が激変していて、先行きが読みにくい場合 については、「シナリオプラニング」と言う手法があります。 時間軸を引き延ばし、 地球規模...

77)経営戦略について(その6:ストレッチ戦略)

 みなさん、こんにちは! 次は、「適合の仕方」の2つ目、「ストレッチ戦略」について、述べたいと思います。 (別名、「過度拡張戦略(オーバーエクステンション戦略)」とも言います。) 「適合」の仕方ですが、適合の対象に対して、整合性がとれすぎていると、大きな成果は得 られません(「戦略の本質」にて、既述しました)。 大きな成果を目指す場合は、現状と戦略目標との間に、意図的に大きな「ギャップ」を作ら なければなりません。 「ギャップ」が大きいと、発想を新たにして、知恵を絞りだし、チャレンジし続けなければ ならないからです。 とくに、組織が、現状維持レベルに甘んじ、停滞気味であるような場合(例えば、「大企業 病」に陥っている場合)には、「敢えてバランスを崩し、不均衡を発生させる」、といった 戦略は、非常に有効と思われます。 米国のGE社では、「ストレッチ戦略」で大いに成功していることで、有名です。 ただ、「ストレッチ戦略」を採用する場合は、リスクが伴いますので、強力なリーダーシッ プのもと、以下のように、対象を絞り、実行することが大切です。 基本的には、「製品」、「ビジネスシステム(事業連鎖)」、「見えざる資産」の3点に絞 ることが望ましいでしょう。 これらの場合は、不均衡は、 組織内で 発生するので、組織として責任をもって、ある程度の リスクは、コントロールできるからです。 以下、3点につき、簡単にご説明いたします。 ❶「製品」の場合:現在供給されている製品とは、(機能や用途が)大きくかけはなれた製 品を提供することによって、既存の製品との間に大きな不均衡を起こします。「新たな市 場」の創造が可能となります。 ❷「ビジネスシステム」の場合:市場に供給される製品そのものには、大きな変化はありま せん。その製品を顧客に届けるまでの「ビジネスシステム」として、それまでの市場の常識 的な「ビジネスシステム」から、大きく外れるようなものを、市場に導入することです。 ユニクロの「製造小売業(SPA)」、キーエンスの「富山の薬売り」などの事例がありま す。大いに差別化された「ビジネスモデル」が、可能となります。 ❸「見えざる資産」の場合 組織の戦略は、「見えざる資産(情報や技術)」に、常にピッタリ合っていてはなりませ ん。目標レベルの高い、「過度で厳しい戦略」をとることが必要で...

76)経営戦略について(その5:正攻法と奇策) 

 みなさん、こんにちは! 戦略成功の必要条件として、「戦略目的」が、組織や環境の諸要素に「適合」することが大 切である」と述べました。 実は、この「適合の仕方」についてですが、3つのタイプがあると、私は考えています。 まずは、1つ目です。「正攻法と奇策」ということです。 ここで、戦略のバイブル、『孫子』より、有名な一節を引用します。 「 凡(およ)そ、戦いは、 正を以て合い、奇を以て勝つ 」 「およそ戦闘というものは、定石どおりの 正攻法 で、不敗の地に立って、敵と会戦し、状況 の変化に適応した 奇策 で打ち勝つのである」(『新訂 孫子』(金谷治訳註)より) 「 正攻法 」は、「正面作戦」のことでもあります。対象に積極的に働きかけることです。 「能動的適合」と言ってもいいでしょう。 「 顧客 への適合」で言えば、以下のような内容になります。 「顧客のニーズを読み、ときには新しいニーズを掘り起こすような積極的対応をしたり、ニ ーズの変化にも能動的に対応する。」 一方、「奇策」です。「ひとの思いつかない、差別化した手を打つこと」です。「レバレッ ジ(「てこ」の作用)の効く策」と言ってもいいでしょう。 同じく、「 顧客 への適合」で言えば、以下のような内容になります。 「顧客のニーズというものの本質をうまくついて、できれば利用させてもらって(味方にな ってもらう等)、顧客を「てこ」として、企業全体の望ましいシナリオを描いていく」 「経営課題」を解決するための戦略策定では、つねに、「正攻法」と「奇策」を組み合わせ ることで、戦略成功の確率もずっと高まることでしょう。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

75)経営戦略について(その4:戦略成功の必要条件)

みなさん、こんにちは! 組織の経営課題の解決のために、展開戦略(以下、「戦略」と言う)を策定します。 策定された戦略が、経営課題の解決に成功するためには、どのような条件が必要でしょう か。 「戦略の内容(目的)が、組織の置かれた状況(環境)や、自分(組織)の能力に適合して いる時、戦略は、はじめて成功する」と、一般的に言われます。 中国古典『孫子』には、上記と同様の趣旨ですが、以下のような一節があります。(解説は 省略いたします) 「九地の変(環境の多様なあり方)、屈伸の利(自軍の能力のもつ特色)、人情の理(自 軍の兵の心理)、察せざるは可(べ)からざるなり。(『新訂 孫子』金谷治註 より) 以上をまとめますと、「戦略の目的が、組織と環境の要素に 適合 することが、戦略成功 の必要条件である」と、言えるでしょう。 尚、この場合の「適合」ですが、「相手を所与として、単に、受身的に合わせる」だけでは なく、「積極的に働きかけていく」、といったニュアンスを含んでいます。 以下、「戦略の目的」と、組織と環境の「要素」を整理することにより、「戦略成功の必要 条件」を、具体的にまとめてみました。(『経営戦略の論理』(伊丹敬之著)などを参考) ①戦略の目的(基本的には、下記のいずれかに分類されます)   ❶新たな商品やサービスの開発・変革   ❷商品やサービスを提供する、「ビジネスシステム(事業の流れ/連鎖)」の開発・変革 ⓶組織要素   ❶経営資源(ヒト/モノ/カネ)   ❷情報/技術(見えざる資産)   ❸モチベーション(やる気) ③環境要素   ❶顧客/市場   ❷競合 以上をまとめますと、結論としては、「戦略の目的(❶または❷)が、組織要素(❶、❷、 ❸)と環境要素(❶、❷)の全てに適合すること」が、「戦略成功の必要条件」であるとい うことです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

74)経営戦略について(その3:経営戦略の本質)現実と非現実とのたくみなミックス

 みなさん、こんにちは! 戦略は、中核戦略であるビジョン(What)と、それを実現するための展開戦略(How)とから成ります。 また、ビジョンは、経営目標、ありたい姿、経営課題より成り、なかでも、 経営目標(売上、利益など)の決定が極めて重要 であることも述べました。 そもそも戦略とは、どういう機能なり役割があるのでしょうか。 事業計画を立てるときに、まず組織能力としての現実の姿(現状レベル)を把握します。そして、ターゲットとしての目標を設定します。 当然ながら、現状レベルと、ターゲットとしての目標レベルには、ギャップ(へだたり)があります。このギャップを埋めるためにある活動が、管理でありマネジメントといえるでしょう。 ここで、重要なことは、ギャップの大きさです。ギャップが小さければ、戦略を立てるまでもなく、戦術をたて、改善するレベルで容易に目標を達成できるでしょう。 しかし、目標を達成しても、事業計画としては、さみしい限りです。組織や取り巻く環境の変化が激しく、競争も厳しいなかで、組織の存続は全く保証されないでしょう。 一般に、「目標レベルは、背伸びすれば到達できるぐらいが適切である」と、よく言われてきました。しかし、現在は、そういった考え方は通用しないと私は思います。 背伸びどころか、ジャンプをしなければならないと思います。 いいかえると、現実的な目標ではなく、まずは、思い切った、 非現実的な目標 を、設定してみることが大切と考えます。 松下幸之助先生は、「売り上げを2~3割増やすといったレベルの目標設定では、必死で頑張ることはなく、大した知恵も出ないので、へたをすれば未達成に終わる可能性が高い。 むしろ、2倍、3倍の目標を設定したほうが、皆必死で頑張るので、目標は未達成になるかもしれないが、成果としては格段と大きくなる」といった意味のことを言われています。 これには、「人間の知恵には限りがない」といった、「人間性尊重の哲学」がベースにあると、私は思います。 以上から、「非現実的な目標設定することは、必ずしも非合理的なアプローチではない」と、言えるでしょう。 具体的なアプローチとしては、私は以下のように考えています。 ❶ 現実にとらわれずに 、おもいきった「目標」(売上や利益)を設定する。 ❷目標を達成するための「ありたい姿」(顧客、商品/サービス、経営...

73)経営戦略について(その2:経営戦略の構成)

 みなさん、こんにちは! きょうは久しぶりの雨です。 「経営戦略」は、基本的に「ありたい姿」(What)と「展開戦略」(How)から成ることは、コラム72にてご説明しました。 この「ありたい姿」のことを、一般的には「ビジョン」という場合が多いのではないかと思います。 この「ありたい姿」(What)に、「経営目標」(売上や利益など)と「経営課題」(「経営目標」と「ありたい姿」を実現するための、解決すべき課題)を加え、セットにしたものを、私は「 ビジョン 」と呼ぶようにしています。 「 中核戦略 」とも呼んでいます。 もちろん、「ビジョン」の中心となる部分は、「ありたい姿」です。 いいかえれば、「ありたい姿」は、「狭義のビジョン」といえるでしょうか。 「経営目標」、「ありたい姿」、「経営課題」をセットにして、「中核戦略」とするには、大きくは、2つの理由があります。 1つは、この3つの要素は、互いに、密接にリンクすべきだからです。 つまり、「経営目標」が変われば、それを実現する「ありたい姿」は、もちろん変わるべきです。 また、「ありたい姿」が変われば、その実現のために解決すべき「経営課題」も変わります。 バラバラで、は、「経営目標」と「ありたい姿」の実現は不可能になります。 逆にいえば、「経営目標」の設定が、いかに重要であるか、ということです。 (この部分は、経営戦略の本質でもあるとおもえるので、次回、さらに掘り下げてみたいと思います。) もう1つは、「経営課題」まで抽出し、具体化したものが、「ビジョン」に含まれるので、 「ビジョン」を実現していくための、基本方針や展開のための戦略(展開戦略)をロジカルに設定しやすくなるからです。 シームレスということでしょうか。 この展開戦略が策定されると、あとは、比較的容易に、「アクションプラン」といった、戦術策定の段階に入ることができます。 以上を簡単にまとめます。 「経営戦略」は、「ビジョン」と「展開戦略」とから成ります。 「ビジョン」は「経営目標」、「ありたい姿」、「経営課題」から成ります。 「ビジョン」と「展開戦略」、さらには、「アクションプラン」まで、ロジカルかつシームレスにつながります。 「ビジョン」は、「経営戦略」の最重要部分であり、まさに「中核戦略」といえます。 今日はここまでにしたいと思います。 <TOPペー...

72)経営戦略について(その1:経営理念と経営戦略の関係;Why、What、How)

 みなさん、こんにちは! いよいよ、今回より、「経営戦略」に入ります。 経営戦略とは、「 組織の持続的競争優位を確立するための基本的な考え方 」と、いえるでしょうか。 その構成要素として、私は、3つあると考えています。 「 なぜ(目的、意味)」(Why )、「 何をするのか」(What )、「 どのように実行するのか」(How )の3つです。 「理念経営」にあてはめてみましょう。 すでに学んできました、「 経営理念 」が、「 なぜ(目的、意味)」(Why )に当たります。 経営戦略の、最上位にある「考え方」(概念)が、「経営理念」です。組織活動の大きな方向性を示すものです。 「経営理念」を具現化するためにあるのが、まずは、「 ありたい姿 」です。 組織全員で共有し、目指すべきターゲットです。 これが、「 何をするのか」(What )に当たります。 「ありたい姿」を実現するためにあるのが、3つめの「 どのように実行するのか」(How )に当たります。 「ありたい姿」を実現するためには、いろいろな「経営課題」があるはずです。 それら1つづつ解決するために、具体的に展開していくための戦略があります。 私はこれを「 展開戦略 」といっています。 ただし、以降、「 経営戦略」という場合は、「ありたい姿」と、「展開戦略」のセットのこと とし、「経営理念」とは一応、区別したいと思います。一般的には、区別する場合が多いと思われるからです。 (「経営戦略」について、詳しく学ばれる場合は、『経営戦略の論理』伊丹敬之著(日本経済新聞出版社)がお勧めです。やや難解な部分はありますが。) 今回は以上とします。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

71)経営理念の事例:JALグループ

 みなさん、こんにちは! 今日も、経営理念の事例を学んでいきたいと思います。 日本航空(LAL)は、2010年に、戦後最大の負債を抱えて経営破綻しました。 誰もが再建は不可能と思っていました。 その再建を、見事になしとげたのが、キョーセラの稲盛和夫氏です。 成功の要因はいろいろあるようです。 しかし、その中でも、経営理念が、奇跡のV字回復の原動力になった、と言われています。 以下に、「JALグループ経営理念」、「JALフィロソフィー」をご紹介します。 「JALグループ経営理念」(2011年制定) 日本航空グループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、 1、お客様に最高のサービスを提供します 2、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します 経営理念の、「志」(あるべき理想の姿、ミッション、基本理念)に当たると思います。 「JALフィロソフィー」(2011年制定) (1)すばらし人生を送るために  1、成功方程式:人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力  2、正しい考え方をもつ  3、熱意をもって地味な努力を続ける  4、能力は必ず進歩する (2)すばらしいJALとなるために  1、一人ひとりがJAL  2、採算意識を高める  3、心をひとつにする  4、燃える集団になる  5、常に創造する 経営理念の、「生き方(生きざま)」(経営指針、行動指針)に当たると思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

70)経営理念の事例:豊田綱領

みなさん、こんにちは! きょうは、経営理念の具体的な事例をお示しすることで、より理解が深まることと思います。 豊田佐吉先生は、私の尊敬する師の一人です。 その豊田佐吉先生の遺訓として、息子、豊田喜一郎(トヨタ自動車の創業者)らが中心になりまとたものが、有名な「豊田綱領」です。 経営理念の「志」に当たる部分といえるでしょう。「社是」といってもよいです。 現在のトヨタの経営理念はずいぶん変わりましたが、豊田綱領の基本精神は含まれているのではと、私は考えています。 豊田綱領 1、上下一致、至誠業務ニ服シ、産業報国ノ実をヲ挙グベシ。 2、研究ト創造ニ心ヲ致シ、常ニ時流ニ先ンズベシ。 3、華美ヲ戒メ、質実剛健タルベシ。 4、温情友愛ノ精神ヲ発揮シ、家庭的美風ヲ作興スベシ。 5、神仏ヲ尊崇シ、報恩感謝ノ生活ヲ為スベシ。 註)至誠:きわめて誠実であること 豊田綱領は、「志」であり、以下のような構成であるといってよいでしょう。 数字は、豊田綱領の数字と対応しています。 1:あるべき理想の姿(存在意義/パーパス) 2:ミッション(使命) 3~5:基本理念(大切にする価値) 以上です。     <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

69)経営理念の役割

 みなさん、こんにちは! 今日は、「経営理念」の役割についてです。 組織における、経営理念の役割には、何があるのでしょうか。 まず最初に、「経営理念」と何なのか、確認しましょう。 「組織」を「人」に例えると、一言でいえば、《「 志 」と「 生き方 」》のことでした。(→コラム64) ここで、「 志 」は、「基本理念」(価値観)、「あるべき理想の姿」(存在意義)、「ミッション」(使命)より成ります。 また「 生き方 」は、「経営指針」と「行動指針」より成ります。 そういった観点で、組織をみてみると、以下のような役割が浮かんできます。 ①各メンバー(もちろん、経営トップも含みます)が、揃って向かうべき基本的な方向となる。 ②各メンバーの働きがいや生きがい、勇気の原動力となる。 ③日々の判断・行動の、基準や指針となる。 ④新たな製品やサービス、ビジネスチャンスを、生みだすもととなる。 ⑤すぐれたカルチャーをつくる。 ①、②、③については、ご説明は割愛いたします。 「志」には、上述のように、「 事業目的 」であるミッション(使命)が含まれていることからも、④については、容易に、ご理解されることと思います。 最後の⑤です。 「経営理念」が、組織に浸透、定着化した結果、得られるのが「カルチャー(文化)」と言われています。(→コラム51) 「生き方」には、上述のように、「経営指針」と「行動指針」から成ります。 とくに、「行動指針」は、「組織全員のとるべきマインド(仕事への取組み 姿勢 、 習慣 、 態度 )」のことであり、カルチャー形成の必須の要件であると思います。 以上より、⑤についても、ご理解・納得されることと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

68)最強のリーダーシップ(その4:最強のリーダーシップとは、「木鶏」&「如水」)

 みなさん、こんにちは! きょうは、理念経営を担当するリーダーシップとして、最も理想的なコンセプトを学んでいきたいと思います。 「木鶏」と「如水(上善は水の如し)」を両立させることで最強のリーダーシップを発揮できるようになるのではないか、というのが私の考え方です。これを、以下、 深堀して検証 してみたいと思います。 (「木鶏」、「如水」については、コラム55~57、をご覧ください) 私の尊敬する師であり、メンターでもある方から、人生の生き方(生き様)として、 「鋼鉄(スティール)」のように、「 強く 」かつ「 しなやかに 」生きることの大切さを学んでいます。 この「 スティールの例え 」は、理念経営を担当するリーダーにも、当てはまるでしょう。 「経営マインド」の中核に、「経営理念」があるからです。(→コラム57) 先に、「経営理念」の核(本質)とは、「人」に例えて、一言でいえば、それは 「志」と「生き方(生き様)」 であると、私流にご説明してきました。(→コラム63~64) 「スティールの例え」を応用させていただくとするならば、「志」は もっと強く 、「生き方」は、 もっとしなやかに ということができるのではないかと私は思います。 さて、ベストセラーである『ビジョナリー(理念)カンパニー②』にて、リーダーの能力(リーダーシップ)を、最下層のレベル1から、最上位のレベル5までの5段階で、示しています。 最高位の「 レベル5のリーダーシップ 」は、経営能力で最も優れ、会社を永続的成長に導いた実績をもつ、経営者のレベルに該当するようです。 米国では、GEのトップであったジャック・ウエルチなど、日本では、トヨタ自動車の創業者である、豊田喜一郎などがリストアップされています。(『ビジョナリーカンパニー②』ジェームス・コリンズ、『トヨタ経営システムの研究』日野三十四、など) さて、この「レベル5のリーダーシップ」の要件として、相反するような2つのことが、あげられています。 ①自社を偉大な企業にするために、 必要なことはすべてやり遂げる 、「不屈の精神や燃えるような情熱」を 秘めている 。 ② 個人としては 、「控えめ」で「謙虚」である。 最初に、「 木鶏」と「如水」の両立が、最強のリーダーシップ発揮の要件 である、と、私なりに、持論を、提案させていただきました。 結果と...

67)最強のリーダーシップ(その3:上善(じょうぜん)は水のごとし)

 みなさん、こんにちは! 「木鶏(もっけい)」と同じく、中国古典で有名な言葉、「上善は水の如し」を学んでいきたいと思います。今までご存じでなかった方も、是非、シェアしましょう。 《上善は水の如し》 世の人は、 だれでもが一歩でも上へ、 一つでも高い地位をほしがっている。 みずはその反対に、 低い所へ低い所へと 流れていく。 つぎつぎ支流をかかえて、 だんだん広く大きくなっていく。 最後は海に流れて、偉大な存在になる。 (『老子』より、引用) これと似た言葉がありますので、合わせご紹介します。 意味はほぼ同じと思います。私も大すきな古歌です。 すゑ(末 )つひに 海となるべき やま水も しばし木の葉の したくぐるなり 以下、解説です。(『老子・荘子の言葉』より引用) 理想的な生き方は水にある。 最上のいいこと(上善)というのは、たとえてみると、水のようなものである。 水は善く万物を利して争わず 水は、万物に利益を与えていながら、決して、他と争わない 。 この自然の中で、水なくして生きているものは、一つもない。 それほど偉大な存在でありながら、決して誇ることをしない。 水は、丸い器に入ると、丸くなる。四角の器に入ると四角になる。 どんな形の器にも逆らわない。 柔軟であり、謙虚 である。 以上です。少しでも皆さんにとって、ご参考になれば幸甚です。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

66)最強のリーダーシップ(その2:木鶏(もっけい)②、木鶏の生き方)

 みなさん、こんにちは! きょうは、「木鶏の生き方」です。 「木鶏」については、コラム65にて学びました。 今回は、「木鶏」をイメージする際、その生き方や生き様は、どのようになるのか、2つ、ご紹介いたします。 【その1】 それ遠きをはかる者は、 百年のために杉苗を植えう まして 春まきて秋実る物においてもや 故に富裕なり 末広がりの成長を永続させることができれば、社員を幸せにすることができ、社員の幸福を通じて社会に貢献することができます。 経営というのはまさに、百年先の人々のために木の苗を植えるようなものである、と思います。(『いい会社を作りましょう』塚越寛、より引用) 【その2】 この秋は 雨か嵐かはわからねど 今日の勤めに 田の草を取る 1年後の目標達成のために、今日を闘って生きるのではなく、今日の自分の勤めとして、今日を思い切って生きる。(『老荘思想に学ぶ人間学』境野勝悟、より引用) 以上、「木鶏の生き方」でした。   <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

65)最強のリーダーシップ(その1:木鶏(もっけい)①、木鶏とは)

 みなさん、こんにちは! 今日は、「木鶏」という言葉の意味を、みなさんとシェアしたいと思います。 「木鶏」というと、知らない方が多いことと思います。 私自身、何年か前に、中国古典に関心があったときに、初めて知りました。 徳あるリーダーの、一つのシンボルになりそう、ということで、今回、取り上げてみました。 「木鶏」とは、「荘子」という書籍に収められている、故事に由来する言葉です。 「木彫りの鶏のように全く動じない、闘鶏における最強の状態をさす」という意味があるようです。 昭和の名横綱、双葉山の、座右の銘としても有名です。白鵬も双葉山を師として仰いでいるようです。おそらく、「木鶏」をイメージしていることでしょう。 ちなみに、闘鶏における、最下位から順に、下記のように説明されています。 1、空威張りして、闘争心にあふれている。 2、他の闘鶏の声を聞き、姿を見るだけで、いきり立つ。 3、目を怒らせて、己の強さを誇示する。 4、他の闘鶏が鳴いても、全く相手にしない。まるで木鶏のように泰然自若としている。 以下のような解説があります。 「表面にあらわれた勢いを少しづつ消し、立ち向かう気力を心に収める。 これは闘志をなくすことではなく、闘志を心の中に収めること。これが「徳」となる。 闘いに勝利する要素は、勇猛さやテクニックにあるのではなく、その特性にあるのだ。」 (『荘子の心』より引用) 「悪い状況に直面している時、ヤマ場を乗り越えることができるかどうかは、自分の心境に拠っている。心境が外の恐怖に打ち勝つほど広大であれば、本当の勇者になり、持っている技を発揮することもできる。だが、もし外の環境に負けたなら、何事も成し遂げられないだろう。(同上より引用) ビジネスの世界で、リーダーシップの在り方として、「覇道」と「王道」とが、比較されることがあります。 理念経営を担うリーダーとしては、当然、「覇道」ではなく、「王道」を目指すべきであると思います。 その際、この「木鶏」が参考になるのではないでしょうか。   <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

64)経営理念について(その13:経営理念の本質とは②、「志」と「生き方」)

 みなさん、こんにちは! 今日は、いよいよ、経営理念の核の部分(本質)に迫ります。 「 人 に例えることで、シンプルでわかりやすい表現」にすることが、狙いです。 まず、「会社(組織)の経営理念」を、今までの、おさらいをしながら、まとめてみました。 《 会社(組織 )の「経営理念」》:経営の 対象 は「 事業 」 ①核となる部分(狭義の経営理念)  ❶あるべき理想の姿(存在意義):光り輝く組織→ 社格 向上  ❷使命(ミッション):社会貢献(人々の幸福、豊かな社会)  ❸基本理念(価値観):「利自即利他」 ②指針となる部分  ❶「経営指針」(「経営マインド」など): 経営者 としての、 事業 への取組み姿勢  ❷「行動指針」(4つの基本マインド):「思いやり、学び、反省、向上心」 この「会社(組織)」の「経営理念」を「人」の「経営理念」に 変換 してみますと、以下のようになるでしょうか。 《 人 の「経営理念」》:経営の 対象 は「 人生 」 ①核となる部分(狭義の経営理念)  ❶あるべき理想の姿(存在意義):光り輝く自分→ 人格 向上  ❷使命(ミッション):社会貢献(人々の幸福)  ❸基本理念(価値観):「利自即利他」 ②指針となる部分  ❶「経営指針」( 人生 への取組み姿勢)  ❷「行動指針」(4つの基本マインド):「思いやり、学び、反省、向上心」 以上の「組織の経営理念」と「人の経営理念」を比較検討します。 目的は、「組織の経営理念」を、よりコンパクトにするためです。 「人の経営理念」では、以下のようにまとめました。 ①-❶、①-❷は、合わせると(①-❸は、❶と❷のベースです)、「 志 」といえるでしょう。    (「志」には、 心に思い決めた、目指す行先 、といった意味があるようです) ②-❶、②-❷は、合わせると、「 生き方 」(生き様)といえると思います。 この結果を、「組織の経営理念」にフィードバックし、コンパクトにします。 経営理念は、以下のように、コンパクト化されます。 ①核となる部分(狭義の経営理念)  ❶、❷、❸を合わせると、「 志 」 ②指針となる部分  ❶、❷を合わせると、「生き方」(生き様)  以上をまとめますと、 「会社(組織)」を「 人」に例えることで 、「組織の経営理念」の核の部分(本質)としては、以下のように、コンパクト...

63)経営理念について(その12:経営理念の本質とは①、組織は生き物)

 みなさん、こんにちは! きょうは、「経営理念の本質とは」というテーマです。 ここまで、「経営理念」について、11回分のシリーズで、皆さんと共に、学んできました。 私自身も、あらたな気づきがあり、理解・納得し、腹落ちすることが多々ありました。 しかし、これが「経営理念」なのだ、という 核の部分(本質 )が、いまいち、あいまいな感じがしていました。 そこで、「経営理念」の 核の部分(本質 )を、シンプル、かつ分りやすい表現で、コンセプトとして、まとめてみたいと思います。 会社組織については、しばしば、 生命体(生き物、ヒト )に例えられることがあります。 たとえば、経営学の泰斗、ドラッカーは、「 組織の精神(Organization spirit) 」という表現をしています(「spirit」には、精神、魂、精霊、といった意味があるようです)。 「 組織の精神 というものを大切にするマネジメント、、、。」といった具合です。(『マネジメント』より抜粋) さらには、日本の経営学の重鎮、伊丹敬之/加護野忠雄両氏の共著、『ゼミナール経営学入門』にて、以下のように、会社(組織)について説明しています。 「 企業は生き物 である。物理的な存在、固定した存在、孤立した存在ではなく、生き物のごとく変化し、生き物のごとく多様な側面をあわせ持った、そして社会の中に生きる存在、生かされている存在である。」 要するに、「組織には精神や魂があり、生き物のごとく変化し、社会の中に生きる存在である。」ということなので、結論として、「 組織」は、「人」に例えることができる 、といえることになります。 以下、「組織」と「人」を対比しながら、「組織の経営理念の本質」を明らかにしていきたいと思います。 人間と関連させながら、類推していくことは、我々にとって、 直感的にも理解しやすい からです。 とりあえず、今回はここまでとします。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

62)経営理念について(その11:行動指針➁、基本マインド)

 みなさん、こんにちは! 今日は前日(コラム61)に引き続きまして、「行動指針➁」、「基本マインド」です。 マインドとは、組織全員のとるべき、「仕事への取組み 姿勢 、 習慣 、 態度 」のことです。 なかでも、特に重要で必須のマインドのことを、私は「基本マインド」と呼んでいます。 「行動指針」の核の部分に当たるのが、まさに、この「基本マインド」です。 「基本マインド」は、「思いやり」、「学び」、「反省」、「向上心」の4つのパートから構成されています。 私は、これらを、「4つの基本マインド」と呼んでいます。 個々のご説明は不要と思いますので、割愛させていただきます。 以下、4つの基本マインドについて、具体的な「姿勢、習慣、態度」を列挙しました。 私自身の過去の経験も踏まえ、「理念経営」の行動指針として、不可欠と思われるものを厳選いたしました。 なお、4つの基本マインドに対応させて、徳あるリーダーになるための「徳目」を、()にて追記しています(→コラム37、38、39)。 また、成果を出すためのツール、「PDCA」(私は「マネジメントサイクル」と呼んでいます)の、 P lan(プラン:計画の作成)、 D o(ドゥー:計画の実行)、 C heck(チェック:進捗の確認)、 A ction(アクション:計画の見直し)の各段階と対応していることを、『』にて示しました。上記2点についての詳細は、別の機会にさせていただきたいと思います。 皆さんが「行動指針」を検討し、作成される際の、ご参考になれば幸甚です。 基本マインド1:【思いやり】(仁、礼)『P』  ➀お客様には、感謝の気持ちを忘れない。  ➁相手の立場や気持ちに共感できる。  ➂「まごころ」を込めた仕事をする。  ➃ひとの役に立つことを誇りに思う。  ⑤認め合い、助け合い、祝福し合う。 基本マインド2:【学び】(知)『D』  ➀常に問題意識をもって、必要な情報を得る。  ➁体験や気づきを大切にする。  ➂疑問点やポイントは現地・現物で確認し、データや論理で検証する。  ➃専門知識や技術・技能習得の努力を怠らない。  ⑤成功からも失敗からも教訓を学び取る。 基本マインド3:【反省】(信、義)『C』  ➀問題点が発生したら、自分の責任と考える(常に、当事者意識を持つ)。  ➁ひとのアドバイスには謙虚に耳を傾け、間違い...

61)経営理念について(その10:行動指針➀、その意義)

 みなさん、こんにちは! 今日は、「行動指針」です。 「行動指針」については、多くの会社で導入されていると思われます。 ご存知の方も多いことでしょう。リッツカールトンのクレド(信条)が有名ですね。 いずれにしましても、私としましては、「行動指針」を以下のように定義しています。 「組織全員のとるべきマインド(仕事への取組み 姿勢 、 習慣 、 態度 )」です。 要するに、「 私たちは、こういうマインドで、日々の仕事に取り組んでいます 。」ということです。 理念経営を目指す経営者にとって、あるいは、会社にとって、「 経営理念」が組織に浸透し、定着化することは、最重要課題である 、といってもいいでしょう。 なぜなら、組織全員が、「経営理念」実現に向かって、日々、自発的に、当たり前のごとく仕事に取り組むようになるのですから、会社としての成果には、計り知れないものがあることは、言うまでもないからです。 勿論、経営層のマネジメント能力もそれに見合ったものであることは言うまでもありません。 では、何をもって、組織に、経営理念が浸透し、 定着化 したといえるでしょうか? 私の尊敬する経営学者は、「 カルチャー(文化)が形成されること 」であると、スッパリと言っきっています。私も、経験的に、その通りであると、理解・納得しています。 そのカルチャーが形成されるための必要条件は、全社員が、「会社のあるべき理想の姿」を目指し、共有し、 新たな価値創出に向けて 、日々努力し続けることであるといわれています。 そういった 活動の「場」を通じて 、創造的な、理念経営にふさわしいカルチャーが形成されるということです。 ただ、努力するだけでは、カルチャーは形成されません。そこで、不可欠(十分条件)というべきものが、最初に触れました、「組織全員のとるべき マインド (仕事への取組み 姿勢 、 習慣 、 態度 )」です。 今日のテーマの「行動指針」です。 ビジネスにおける、 必須のマインド (わたしは「基本マインド」と呼んでいます)があるというのが、長年の自身の体験から得られた、持論とでも言うべきものです。 次回、この「基本マインド」(4つで構成)と、それぞれに関連する、 具体的な 「姿勢、習慣、態度」を列挙していき、皆さんのご参考になればと、考えています。 今日は、以上としたいと思います。 <...

60)コーヒーブレイク:「フェーズフリー」って何?

 みなさん、こんにちは! 今日は、久々のコーヒーブレイクで一息入れましょう! 「フェーズ」(phase)には、「段階」、「局面」、といった意味があります。 たとえば、ビジネスでは、製品開発のプロセスの 進捗「段階 」や「 局面」の変化 を示す場合があります。「フェーズ1」とか「フェーズ2」とか言いますし、「新しいフェーズに入った」、などと表現しますね。 コロナ禍以降、とくに「フェーズフリー」という言葉よく使われるようになっているようです。 その場合の意味は、「 平常時」と「非常時」の2つのフェーズ間を自由(フリー)に行き来できる 、という考え方のようです。 言い方をかえれば、「 身のまわりにあるモノやサービスを、平常時はもちろん、非常時にも役立てることができるようにしよう 」、ということです。 災害の多い日本では、今後、 平常時から、非常時対応を前提にする柔軟な社会システムづくり が要求されるようになるでしょう。 今回のコロナ過でもいろいろな事例があります。 まだ発症していない感染者の収容施設として一般のホテルが活用されました。 ホテルも多目的利用への柔軟さ(フレキシビリティ)が益々必要になります。 予め、「非常時には医療施設としての利用を想定した設計」にしておくことなどが要求されるようになるでしょう。 「ものづくり」においても、今回、「マスク不足」がありました。 日本では、生産しているメーカーがわずかであり、外国からの輸入に頼る始末でした。 国内メーカーでも、生産体制の見直しにより、マスクを生産をするところが現れたようです。 「フェーズフリー」は、メーカーでは どういう意味 があるのか、もう少し掘り下げて考えたいと思います。 生産工場では、「製品A」を生産していて、次に「製品B」に切り替える場合に、生産設備では、基本的には「段取り」という作業が必要になります。 切り替えには時間がかかります。その間、設備は止まります。 生産設備を長時間止めることは、生産性が悪化(時間当たりの生産量が減少)しますので、基本的には望ましくありません。 正解は、現実的な対応策として、設備の停止時間分の「在庫」をもつことになります。 上記の例で言えば、「製品A」をあらかじめ生産して、「在庫」として確保しておくことで、生産性悪化を防ぐことができるのです。 さらに、生産性を向上するため...

59)経営理念について(その9:経営指針➃;経営ルール)

  みなさん、こんにちは! きょうは、「経営ルール」です。 「経営コンセプト」が、日 々の経営判断の基準であり、 ガイドライン(方針であり指針)と なります。 日々の経営判断において、この「経営コンセプト」を厳守し、決してブレないために、さらに「経営コンセプト」を具体化・細分化したものが「経営ルール」です。 個々のルールは、実証的データに裏付けされ、熟慮し洞察された結果でなければなりません。 内容としては、「やるべき項目」と「やってはならない項目」を 列挙 することになります。 シンプルな作成方法(例)を、以下、ご紹介します。(『ビジョナリーカンパニー➁』より引用) 【経営ルール作成方法】 ❶あなたの会社が達成した成功例をリストアップする。 ➋あなたの会社が経験した失敗例をリストアップする。 ❸失敗例ではなく成功例と関係している具体的実践方法は何か。 ❹成功例ではなく失敗例と関係している具体的実践方法は何か。 ❺なぜ、これらの実践方法は有効なのか、検証してみる。 ❻以上の実践方法に基づくと、どんな「経営ルール」が最高の成果をもたらすか、列挙してみる。構成するそれぞれの項目は、お互いに補強し合うように首尾一貫していなければならない。 最後に、「経営コンセプト」と「経営ルール」の事例をご紹介いたします。 LCC航空(格安航空会社)で、ビジネスモデルでも有名な、サウスウエスト航空(米国)のものです(『ビジョナリーカンパニー➁』より引用)。「経営コンセプト」と「経営ルール」のご理解がすすめば、と思います。 《事例:サウスウエスト航空》 【経営コンセプト】 活気あふれる低コスト航空会社として 世界最高 になり、 業界慣行に縛られない型破りな存在になる 情熱 をもって、 「 機体一機当たり利益 」を着実に伸ばしていく 【経営ルール】(一部抜粋) ➀2時間以内の近距離路線に徹する。 ➁10~12年にわたって主力機として中型機ボーイング737を使い続ける。 ➂航空機稼働率を高く維持する。ゲートターン(搭乗口で搭乗などにかかる時間)は迅速に、できれば10分以内にする。 ➃機内食サービスは手がけない。 ⑤家族と人間を感じさせるサービスとともに、楽しさを感じさせる雰囲気を維持する。等。 以上です。 これで、「経営指針」全体のご説明が終了しました。「経営マインド」、「経営コンセプト...

58)経営理念について(その8:経営指針➂;経営コンセプト)

みなさん、こんにちは! 今日は、経営指針➂、「経営コンセプト」です。 ここで言う、「経営コンセプト」というのは、現在取り組んでいる複数の事業を絞り込んだり、新たに事業を始める際の、対象事業の適否を判断する際の基準となるものです。  シンプルで使い勝手もいいと思います。とくに、新規事業を興す場合には、価値ある武器となるでしょう。以下、ご紹介したいと思います。(『ビジョナリーカンパニー➁』より引用。筆者、加筆再構築) 自社の『経営コンセプト』の作成は、下記の4段階にて行います。 【作成のステップ】 ➀ ステップ1 :以下つの質問❶、➋に対し、該当すると思われる事業を率直に、リストアップします。 註)事業としては、「製品・サービス販売型」なのか、「顧客体験提供型」なのか、といった「ビジネスモデル」(商売のやり方)のイメージを予め持っておくとよいでしょう。「ステップ3」で大いに関係してくるからです。 質問❶:自社が 世界一 になれる事業は何か? 質問➋: 情熱 をもって取り組める事業は何か? ➁ ステップ2 :質問❶と➋とで、重なる事業を1つ選択します。(重なる事業がなければ 視点(着眼点)、視座(立ち位置)、視野(時間、空間の範囲)を変えてみて、質問❶、➋をくりかえします。   ➂ ステップ3 :下記の質問❸について検討します。 質問❸:ステップ2で選択した事業に対し、 利益 を継続的に生み出す、原動力となる 財務指標 は何か? 商売のやり方(ビジネスモデル)や管理のしかたによって、「質問❸」の答えはかわってくるでしょう。 この点について、2つの事例で簡単に補足させていただきたいと思います。(いずれも、『ビジョナリーカンパニー➁』からの引用。筆者、加筆修正) 事例1)サーキット・シティー(小売り専門店チェーン):通常、 店舗当たりの利益 でみるでしょうか。多店舗展開で、同一地域に密集すると、どうしても、お互いの店舗で、けん制し合い、規模の経済が効きにくくなります。そこで、一店舗当たり利益から、 地域当たり利益 に変更することで、地域ごとに業績を考えるようになりました。店舗間でのチームワークが改善され、競合に差をつけることができました。 事例2)ジレット(髭剃りメーカー):「ジレットモデル」といわれるぐらい、有名なビジネスモデルの会社です。髭剃り本体を安く販売し、利...

57)経営理念について(その7:経営指針➁;経営マインド)

みなさん、こんにちは! きょうは、経営指針の3点セットの1つ目、「経営マインド」について、皆さんと学んでみたいと思います。 経営マインドとは、日々、経営に取り組む際の、基本的な「姿勢、習慣、態度」のエキスを綜合するものです。(ビジョナリーカンパニー➃を参考とし、筆者が加筆再構築) 以下、「経営マインド」を、その「中心の柱」(経営マインドの核)と、「中心の柱」をベースとする「3つのマインド」に分け、それぞれ順にご説明していきます。 まず、「中心の柱」です。 「中心の柱」は、「経営理念」がベースになっています。 「経営理念」の「基本理念」、「あるべき理想の姿」、「ミッション」の3つに対応して、「謙虚さ」、「高い志」、「使命感/情熱」の3つを、柱の必須の要素(基本マインド)としています。    ◆「中心の柱」の構成 ❶「基本理念」→「謙虚さ」が対応               ❷「会うべき理想の姿」→「高い志」が対応               ❸「ミッション」→「使命感/情熱」が対応 「基本理念」(重視する価値観)としては、「謙虚さ」を最重視しました。 「理念経営」としては「徳あるリーダー」を目指したいものです。  「磨くべき5つの徳目」(礼、知、信、義、勇)がありますが(→コラム39)、組織の最上層に立ち、リーダーシップを発揮するためには、「礼」(礼節)、つまり「謙虚さ」が必須であり、きわめて重要であると、私は考えております。組織におけるリーダーシップ論でも、大変重視されているものです。  また、「ミッション」については、「情熱」も加わります。使命感が強くなると情熱が沸き上がってきて、さらなるエネルギー源になるからです。そういった意味で、使命感に情熱が加わることは必須といえるでしょう。 因みに、リーダーシップの要件をランク付けをすると、私の記憶では、最上位は「情熱と謙虚さ」であるといわれています。 次は「3つのマインド」です。 「中心の柱」を、ベースとする、3つの実践的・行動的なマインドがあります。 「建設的危機感」、「実証的創造」、「徹底した規律」の3つです。    ◆3つのマインド ❶建設的危機感             ❷実証的創造             ❸徹底した規律 「建設的危機感」とは、不安感や危機感に対し、落ち着いて状況判断し、反省し、的を得た対応策を...

56)経営理念について(その6:経営指針➀;3点セット)

 皆さん、こんにちは! 今日は、「経営指針」についてです。これまでに、簡単にはご紹介してきましたが、実際に活用できるレベルになるよう、もう少し学んでいきたいと思います。 経営理念の3点セットとして、「基本理念(基本的で最重要な価値観)」、「あるべき理想の姿(存在意義/パーパス)」、「ミッション(使命)」の3つがあります。 この「経営理念」の三点セットに、「経営指針」と「行動指針」を加えたものも、私は広義で「経営理念」と呼んでいます。(→コラム52) 「経営指針」は、会社運営に対して直接的な責任をもつ、社長や経営幹部など(取締役会議や経営会議のメンバー)が守るべき「経営の羅針盤」とでもいえるものです。 日々の経営上の判断や意思決定をする際に、「基本理念」や「パーパス」、そして「ミッション」などが目指す「方向性」とずれないように、担保するためのものです。 私の知る限り、とくに日本では、この「経営指針」なるものを明文化している会社は記憶にありません。会社経営の独自の「ノウハウ」に属することなので、あえて明文化せず、暗黙の了解事項としているのかも知れませんが。 しかし、最近の日本においても、「経営の統廃合」や「役員人材の多様化」などが日常茶飯事になっていますので、私は明文化し、常に経営判断のチェックを、謙虚にしていくことが必須と考えています。その重要性は以下にも述べます。 「経営指針」は、「行動指針」とは、その機能が大きく異なります。 経営者にとっては、「経営のかじ取り役」という、組織全体の将来を左右する重い責任を背負うことになります。その際、経営理念の3点セット、とくに「北極星」とでもいえる、「パーパス」から、いささかの逸脱も決して許されないでしょう。 とくに現在のように、環境変化が激しく、先行き不透明な時代でこそ、この「経営指針」がその存在感を増しているように、私には思えます。「羅針盤」がないと、舵取りで方向性を誤る可能性が高くなるからです。 そういった「経営指針」ですが、やはり3点セットになっており、「経営マインド」、「経営判断基準&経営コンセプト」、「経営ルール」の3つで構成されています。 きっちりと理解納得されるよう、それぞれ順に、基本的考え方や内容を学んでいきたいと思います。 今日は、ここまでとさせていただきます。 次回以降も楽しみにしていてください。 ...

55)経営理念について(その5:ミッション)

 みなさん、こんにちは 今日は、「ミッション」(使命)についてです。 「経営理念」は「存在意義」(北極星)と「経営行動の規範」の2つより構成されます。 後者は、「経営の目的」(事業の 方向付け )と「経営目的を 達成するための方法 」の2つより構成され、私はそれを「ミッション」(使命)と位置付けています 「ミッション」とは、分かり易く言えば、まずは、「お客様に、商品やサービスを通して、顧客にとっての 価値 を提供することで、顧客に喜んでいただく(顧客の創造)」ことです。さらに、その目的を達成するためには、「顧客のニーズを把握し(マーケティング)、顧客にとって価値のあるものやサービスを創出(イノベーション)すること」です。 「我が社のミッションとは何か」、という問いに、具体的に応えるのは、基本的にはそう簡単なことではないと思います。上述のように定義をすること自体は簡単ですが。 私の尊敬するメンターのご説明によりますと、以下のようです(一部、筆者加筆修正)。 「我が社は、何のために存在するのか。なぜこの社会が、国が、世界が、我が社を必要とするのか」という問いに対する答えを求め続けることです。「存在理念」が徐々に形になってくるのですが、必ずしも、明確になり確定することはないでしょう。 なぜなら、会社自体も変化しますし、とりまく環境も変化し続けるからです。 いずれにせよ、そうして、 常に、「存在理念」を探求し続けるような経営者には、「ミッション(使命感)」が生まれてくる ようです。 よく考えてみれば、これは当然のことかもしれません。 「組織の目的」が「存在意義」です。 「ミッション」とは、「経営の目的」と「その目的を達成する方法」のこと、つまり、「最重要の経営行動」と言えるでしょう。 「存在意義」と「最重要の経営行動」とでは、「基本的な考え方・理念」と「現実の経営行動」の違いはあるものの、方向性(ベクトル)は全く同じであると思われるからです。 「ミッションを生み出すための考え方のプロセス」として、私の拙い体験をベースに、私流にまとめますと、以下のようになるかと思われます。 「組織の理想的なあるべき姿(存在理念/北極星)」を 常に念頭に置き、ありありと描き続けます 。 同時に並行して 、実際の経営行動としては、「どのようなお客様に対し、どのような価値を提供することで、...

54)経営理念について(その4:あるべき理想の姿の共有化について)

みなさん、こんにちは! 今日は「あるべき理想の姿(存在意義)」について、さらに考えてみます。 この「あるべき理想の姿(存在意義)」は、トップから第一線まで、企業経営に関わる全ての人々が、その実現を目指すべきものです。たとえて言えば、北極星のようなものであると思います。 北極星(存在意義)を目指す以上、「組織としての存在価値」が常に問われ続けることになります。関連会社や世間もそれをみているので、ブレたりするわけにはいきません。とくに経営陣は、大きな責任が伴うことを強く自覚しなければなりません。 「組織としての存在価値」が問われるだけでなく、そこでははたらく「人間としての生き方」も問われます。企業経営に携わるトップ、ミドルリーダー、そして、第一線の社員一人ひとりに至るまで、「自分はどうありたいか」、「いかに生きるべきか」といった、「人生観」や「価値観」や「信念」が問われます。職場で終日働くわけですから、当然といえば当然です。 このように、「自らの生き方や働き方を問いつつ、組織において仕事をする」とは、どういうことでしょうか。以下、その参考になりそうなことを下記します。(『共感経営』野中郁次郎/勝見明共著より引用。一部筆者が加筆修正) 《人間は「自らの生き方」を実践すると、そこに「物語り」(その人間が主人公のお話し)が生まれます。 一人ひとりが他のメンバーたちと相互に作用しながら、自己の物語りづくりを通じて、「組織の歴史を生み出していくという 自覚 を持つとき」、 自己の思いや生き方の「価値観」と 「 組織の存在意義」が重なり合います 。 そのことによって、それぞれの思いや価値観が組織のなかで「正当化」(自分の言動が道理にかなっている)されるのです。 そして、その思いや価値観が仕事のなかで実現し、成果に結びついたとき、自己の生き方の 高次な意味 が生まれるのです。》 「あるべき理想の姿(存在意義)」を全員で共有し、シェアすることにより、一人ひとりが 「働きがい」や「生きがい」がもてるようになる、といえるでしょう。 また、「あるべき理想の姿(存在意義)」の共有化を通じて、互いに「共感」(相手の立場に立てること)できるようになり、組織に強力な「一体感」がうまれることにもなります。 さすが北極星(存在意義)ですね。この北極星のことを、はやりの言葉でいえば「共通善」(コモングッド...

53)経営理念について(その3:あるべき理想の姿)

 みなさん、こんにちは! 今日は、経営理念の構成要素の1つ、「あるべき理想の姿」について学んでいきたいと思います。 「あるべき理想の姿」とは、コラム51で既述したように、「組織の目的」である「存在意義」の、「具体的表現」である、と私は考えています。最近、はやりの言葉でいえば、「パーパス」のことでもあります。 組織の「存在意義」について、もう少し深堀りしたいと思います。 「存在意義」とは、私の尊敬するメンターによれば、「わが社は、何のために存在するのか。なぜ、存在しつづけなければいけないのか。なぜ、この社会が、国が、世界が、我が社を必要とするのか」という問いに対する答えを求めつづけることで、最終的には得られるもののようです。 さらに具体的な考え方があり、分かり易いので以下ご紹介します。  問1:「我々は何者か?」(自らが 本質的かつ独自に提供可能な 強み はなにか?)。  問2:「世界の ニーズ は何か?」(経済的ニーズ、社会や人道的ニーズなど)。    問1と問2の答えの重なる部分が、「存在意義」である。 いいかえると、「存在意義」とは、「社会の特定の ニーズ に対して、自社独自の 強み を活かした 価値提供 ができること」といえるのではないかと思います。 この得られた「存在意義」の「具体的表現」が、「あるべき理想の姿」となります。 ここで、一息いれたいと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

52)経営理念について(その2:経営指針と行動指針)

 みなさん、こんにちは! 前回、「経営理念」は、「基本理念」、「あるべき理想の姿」、「ミッション」の三点セットということでご説明しました。 今日は、「経営指針」と「行動指針」についてご説明したいと思います。 両者とも、「経営理念」という、経営の「基本的な考え方」を、日々の業務の中に浸透させ、生かされるよう、より具現化するためのものです。つまり、具現化するためのガイドライン(指針)となるものです。 (以下、コラム7)と若干、重複しますが、ご容赦ください。) まず、「経営指針」についてです。 「経営指針」は、会社経営の責任をもつ、社長や経営幹部が守るべき「行動指針」といえるでしょう。これは、「経営の羅針盤」とでもいえるものです。「経営マインド」、「経営判断基準&経営コンセプト」、「経営ルール」の3点セットです。(興味のある方は、『ビジョナリーカンパニー➁』をご覧になってください) 「行動指針」については多くの方がご存知と思います。リッツカールトンのクレドが有名ですね。「私は「組織全員のとるべきマインド(姿勢・習慣・態度)」と定義しています。「私たちは、こういうマインドで日々の仕事をしています」ということです。もちろん、社長や役員もまもらなければなりません。 昨今のビジネス環境の変化は、非常に激しいものがありあります。こういった時にこそ、ブレない経営のかじ取りが必要です。経営の羅針盤としての「経営指針」の価値を見直す必要があるのではないかと、私は確信しております。 さて、「経営理念」の三点セットは、経営行動の「指針」(規範)とも言われています。そういった意味では、「経営指針」や「行動指針」は、「経営理念」をより具体化した、実践的な「指針」といえるでしょう。 したがって、「経営理念」の三点セットに、「経営指針」と「行動指針」を加えたものも、広義で「経営理念」と呼んでもよいのではないかと、私は思います。 私自身、広義の「経営理念」を、「企業理念」という呼び方をして、あえて区別することもありましたが、紛らわしいので、今後は一本化したいというのが、現在の私の思いです。 また、三点セットの1つ、「基本理念」のことを、狭義の「経営理念」と呼ぶ場合が私自身もありました。これも紛らわしいので、「基本理念」は、「基本的で最重要な価値観」(前回コラムでご説明)ということで、、今後は「...

51)経営理念について(その1:経営理念とは)

 みなさん、こんにちは! 経営理念について、あちこちで、やや断片的に述べてきました。今一度、体系的に、「経営理念」について学んでいきたいと思います。 経営理念について、松下幸之助翁のことばを以下引用します。「私は、60年にわたっ事業経営にたずさわってきた。そして、その体験を通じて感じるのは 経営理念 というものの大切さである。いいかえれば、” 会社は何のために存在しているのか 。 この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行っていくのか ”という点について、しっかりとした 基本の考え方 を持つということである。、、、」 ここから、「経営理念」とは、二つのことについての「基本的考え方」である。第一は、組織の理念的目的(この企業は何のために存在するか)。第二は、経営のやり方と人々の行動についての基本的考え方。 つまり、「組織の目的についての理念(存在意義)」と「経営行動の規範についての理念」、その2つの部分から経営理念は構成されている。 (以上、『経営学入門』より引用) 前者「組織の目的についての理念(存在意義)」は、「あるべき理想の姿」(パーパス:存在意義)のことであり、さらには「基本理念(基本的で最重要な価値観)」がベースにあるといえるでしょう。 後者「経営行動の規範についての理念」は、「経営の目的」(事業の方向付け)と「経営目的を達成するための方法」の2つより構成され、私はそれを「使命」(ミッション)と位置付けています。 したがって、「経営理念」は、「基本理念」、「あるべき理想の姿」、「ミッション」の三点セットで、私は考えています。 次回は、「経営指針」、「行動指針」についてご説明する予定です。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

50)コーヒーブレイク:世界中で進むアフターデジタル化で、メーカーの危機到来か!?

 みなさん、こんにちは! 最近のビジネス界では、「アフターデジタル」という言葉が、あちこちで聞かれるようになりました。 「アフターデジタル」とは、一般の消費者や組織ではたらく人にとって、オンラインとオフライン(ITネットワークとつながっていない)をいちいち区別しない、融合したものと捉える「思考方法」といわれています。それくらい、ITネットワーク化が進み、オフラインはやがてなくなるのではないかとさえいわれています。(私自身は、個人間のフェースツーフェースの接点は、それなりの価値があるので完全になくなることはないと考えています) ユーザーにとって、オンラインやオフラインを敢えて区別せず、生活の身近で、最も使いやすく、便利なものを選択するということが一般的になるのではないでしょうか。 アフターコロナ禍という急激な社会変化により、企業経営は、人を集めないことを前提とした業務、サービス、販売、開発などへの変化対応を迫られています。例えば、最近の日本政府は、コロナ禍で弱点として露呈された、組織やしくみの目に余る非効率さに対する、早急な対策を進めようとしています。目的が全てOKとは思えませんが。DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みの重要性がさらに増しているように見えます。 ここからは、モノづくり業界に目を移します。今日の中心的論点です。こういったアフターデジタル化、DX化への加速は、あらゆるビジネス界や産業界でも大きなトレンドの中にあるといえるでしょう。 そこでは、今後の新しい産業構造でのサバイバル方法(生き残り方)はどうなるか、を考えぬかなくてはなりません。 すでに、アフターデジタル型の産業構造の姿として、世界中で、いろいろな事例が散見され、日本でも少しづつではありますが、現れてきているようです。 状況を整理すると、メーカーが君臨する「製品販売型」(ものを顧客に売っておしまい。いわゆる「売り切りモデル」)が、今までのモノづくり業界の中心的な存在でした。しかし、アフターデジタル化が急速に進むと、「行動データ」(顧客接点から得られる、顧客が実際何を買い、その後どうした等のデータ)を保有し顧客の「状況」を理解できているプレーヤーが、どうしても強くなるようです。「(顧客) 体験提供型 」の産業構造になるといったことが言われています。これが可能になるのも、DX化や...

49)経営の「知的思考能力」が問われる時代

 みなさん、こんにちは! 経営者の役割や必要な能力など種々のべてきました。今回は、「決断力」を軸とした、「知的思考能力」ということでまとめてみたいと思います。くわしくは、(『経営の知的思考』伊丹敬之著)をご一読されることをお勧めいたします。 経営の世界には、現場のリーダーによる「小さな決断」から、経営者による「大きな決断」まで、さまざまな決断があります。 結論として最初にいえることは、「 決断に至るまでの基本構造 」は、「 直観 で 発想 し、 論理 でその発想(構想やアイデア)を 検証 し、そして検証した後に、最後は 哲学 (独自の肝となる考え方や持論)で 跳躍 (ジャンプして溝や谷を越える)する 」ということです。 したがって、「直観力」が鈍ければ、独創性があり画期的な「発想」は生まれず、「論理力」が低ければ発想の良し悪しの「検証」はうまくいかず、「哲学」があいまいで、肝が据わっていないようでは、最後の「跳躍」(決断後の責任をとるという「覚悟」の有無が絶対的必要条件)はできないことになります。 ここで、企業の最高責任者として、「大きな決断」ができることは、企業としての持続的成長・発展にとって最重要事項です。「問題の先送り」などし続けているようでは、企業の死活問題にもなりかねません。 経営者としては、良い「決断」をするためには、「直観力」、「論理」、「哲学」がセットになっていることを、しっかり認識し、腹に落とし、これらの力を日々の実践の中で磨き続けなくてはならないと思います。なかでも、「直観力」や「論理力」は、参謀などでの代替が多少効くかもしれませんが、大きな「決断」には、大きな、重い責任が伴います。最高責任者である社長しかできないものであり、とくに重要と考えます。 決断を支えるものとして、「論理力」によりしっかり「検証」できることもありますが、最後の決断を可能にするものが「哲学」のようです。 ここで改めて確認しておきたいと思いますが、ここでいう「哲学」とは、「哲学全集」とかいった、学問的、教科書的なものではありません。 「世の中の人間や、社会、政治、技術などはどう動いていくのか(道理)」について、自分が納得し確信できる、肝となるような独自の考え方であるといえるでしょうか。「道理に対する思い入れ」、でもあります。よくいわれる「持論」といってもいいのではない...

48)「理念経営システム」概要と構成要素(その3:矛盾のマネジメントとは)

 みなさん、こんにちは! 「矛盾をマネジメントすることが、経営の本質」であるといわれます。 企業の組織要素(8S)の中でも、環境要素(8C)の中でも、あるいは、組織と環境の組み合わせ(8S×8C)のなかでも、どうしても論理的に管理や統制ができない対立点や矛盾点が生じます。経営者としては、これらの矛盾を解消し、マネジメントすることで、更に一歩発展していくことが可能となります。 複雑なビジネス環境の中で、この矛盾を解消するためのベストの解は、教科書にはのっているわけでもなく、誰にもわかりません。しかし、解消するためのアプローチの仕方、作法があります。以下、『共感経営』野中郁次郎・勝見明共著(日本経済新聞出版)より引用し、私なりに補足しながら、皆さんとシェアしたいと思います。 矛盾点を解消する際、論理だけでは矛盾に対処することは難しいでしょう。 「論理』は「矛盾する関係性」(ことがら「A」、ことがら「B」の対立の状態)を、「真っ向からぶつかり合い、おたがい譲歩する余地が全くない状態」(哲学用語で「二項対立」と呼ぶようです)としてとらえようとします。 二者択一の考え方では、「A」、「B」それぞれの、長所・短所をリストアップし、論理的、分析的にどちらがよりよいか総合し、選択します。したがって、すくなくとも現状の「A」や「B」よりベターな解は導き出せませんね。 経営者は、矛盾を解消し、発展のための、「よりベターなアイデア」を出さなければなりません。 そこで、矛盾対立していることがら(対象)に 共感 (単に外側からみているのではなく、対象に感情移入し、深く立ち入り、内部からとらえること)するアプローチが福音となり、光を放ちます。 矛盾する関係性の文脈に入り込み、内側からとらえなおすと、対極的で相容れないように見えていたことがらの間に、実は「連続した関係性」(俗にいう、「シームレスにつながっている」ということでしょうか)があることがわかります(すべてのことがらは、細部も含め、因果関係でつながっているので、当たり前で、自明の理ともいえるでしょう)。 そうなると、次には、状況に応じては、どちらも正しく、しかも境目がないような状態(哲学用語で、「 二項動態 」と呼ぶようです)の関係にあることがわかります。 そこでは、二者択一ではなく、 両者両立の均衡点 を探し出し、一見、矛盾する...

47)「理念経営システム」概要と構成要素(その2:組織と環境の構成要素、8Sと8C)

 みなさん、こんにちは! きょうは、「その2」として、組織と環境の構成要素、「8S」と「8C」をご紹介します。 まず、組織の構成要素、「8S」をご紹介します。「7S」といえば、マッキンゼー社のオリジナルとしても有名です。ご存知の方もみえるかも知れませんが、簡単にご紹介します。 ➀Strategy(ビジョン/戦略/計画)→ コラム(46)の「4つのレイヤー 」の Ⅰ にリンク ➁Staff(人材/専門能力)→同上の Ⅱ にリンク ➂Style(姿勢/管理スタイル)→同上の Ⅱ にリンク ➃Skill(技術/手法/手順)→同上の Ⅱ にリンク ⑤Structure(組織機能)→同上の Ⅲ にリンク ⑥System(しくみ・ルール)→同上の Ⅲ にリンク ⑦Shared Value(共通の価値観)→同上の Ⅳ にリンク 「理念経営」としては何かが不足していると考え、結果として、 ⑧Spirit(企業理念や経営理念 )を追加いたしました。 次に、環境構成要素の「8C」をご紹介します。3C、5Cはそれぞれマーケット分析でよく知られています。私は、隣接環境(7C)とグローバル環境(1C)で合計、8Cを基本にしています。ビジネスモデルが多様化・複雑化しているので、隣接環境では7Cに増やしています。さらに、市場がグローバル化しているので、グローバル環境(PEST)を加え、合計8Cになります。8Cを下記します。 ➀Company(組織) ➁Customer(顧客/消費者) ➂Client(取引先) ➃Cooperator(協力先) ⑤Competitor(競合) ⑥Community(地域社会) ⑦Contorol(規制) ⑧Circumstance(マクロ環境:Political(政治)、Economical(経済)、Social(社会)  Technique(技術) 「組織(Company)」と「環境」のそれぞれの8要素を分析すること、さらには、「組織」と「環境」とを組み合わせるマトリックス(8要素×8要素)をベースに経営上の問題点や課題、対立点や矛盾点を分析することで、課題や矛盾点をマネジメントし、解決していきます。 以上、「理念経営システム」概要と構成要素(その1)、(その2)を合わせ、総合的に分析し、マネジメントしていくことを、「理念経営システム」の基本としています...

46)「理念経営システム」概要と構成要素(その1:組織の機能・しくみ)

 みなさん、こんにちは! 今日は、「理念経営システム」について、ご説明いたします。 全体のイメージですが。「理念経営を遂行する組織」を三角形とします。それを取り巻く二重の、同心円があります。内側の円は、組織の「隣接環境」(ビジネス業界)、外側の円は、「グローバル環境」(=マクロ環境:政治、経済、社会、技術など)です。 今日は、この三角形の「組織の機能・しくみ」のご説明になります。 理念経営の重点テーマとしてすでに、「理念ベースのマネジメント」として、ご説明していますが、簡単に復習します。: マネジメントの課題は、3つあります。 ➀その組織の環境(上記の2つの円です)をマネジメントする。 ➁組織内部の人間集団をマネジメントする。 ➂組織と環境それぞれの中での問題点(対立点という意味で、以下、「 矛盾 」といいます)、組織と環境間の矛盾をマネジメントする。矛盾のマネジメントが経営の本質であり、矛盾こそが発展のエネルギーの源泉。 (以上、『ゼミナール経営学入門』(伊丹敬之/加護野忠男)より) 以上全体をイメージしていただき、今日は、組織の経営システムの機能・しくみについて、 私の考え方を、ポイントのみご説明いたします。 組織である三角形は、4つのレイヤー(層)から構成されます。一番上から、「Ⅰ、 基本方針 」(企業理念、ビジョン、戦略、事業計画など、全体を指します)、「Ⅱ、 活動 」(企業の活動全てです)、「Ⅲ、組織・しくみ」(Ⅱの活動全てを支える、業務フローやルールなどを指します)、「Ⅳ、カルチャー」(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを通じ、特定のDNA(遺伝子)が組織に浸透し形成される)です。 Ⅱの活動について、若干補足いたします。企業活動の全て、と上述しましたが、私の考え方をご紹介します。 活動には3種類あります。 ➀創造(クリエイション)活動 ➁革新(イノベーション)活動 ➂業務維持/拡大活動 上記3つの活動は、Ⅰの「基本方針」の下に、さらに、Ⅲの「組織・しくみ」に支えられながら活動をしていきます。ⅠやⅢに埋め込まれたDNA(遺伝子)が活動に定着し、組織に浸透定着することで、目指す創造性あふれたカルチャーが形成されることが可能となります。 次回は、組織や環境の機能的要素についてご説明いたします。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/...

45)理念経営のあるべき姿

 みなさん、こんにちは! 理念経営を担当する経営トップやリーダーのあるべき姿、条件などお話ししてきました。 今日は、「理念経営のあるべき姿」について、私の基本的な考えをご紹介したいと思います。皆さんのご参考になれば幸甚です。 「あるべき姿」 組織が目指す、豊かで幸福な社会づくりのための「理念・使命・ビジョン」を全員で共有し、創造性にあふれたカルチャーをつくる。 「行動指針」 1、全員が日々、自発的に活動し、具体的な成果を出し、仕事能力(技術)と人間力(精神)を共に高めることで、働きがいあふれる職場づくりをする。 2、組織全体が日々「付加価値」を生み出し、お客様に感動と喜びを与え、豊かで幸福な社会づくりに貢献する。 ここでは、詳細は割愛させていただき、ポイントのみご説明いたします。 「あるべき姿」とは、いいかえれば、理念経営としての「理想の姿」のことです。もちろん、理想ですので、遠大であり、簡単に達成できるものではありません。 「行動指針」とは、「あるべき姿」に、ぶれずに、一歩一歩着実に近づくための、個人レベル、組織レベルに要求される指針や規範となるものです。 「あるべき姿」(理想)と、それを具現化するための「行動指針」がセットになっています。 このセットを、広い意味で「あるべき姿」と表現しているつもりです。 もう一点、補足いたします。 広義の「あるべき姿」の底流には「利自即利他」の哲学があります。これも人間の生き方としてのあるべき理想の姿、といえるのではないでしょうか。 なお、上記の、理念経営の「あるべき姿」、「行動指針」については、ビジネスパートナー、仲沢一志氏とのコラボで創出されたものです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

44)あるべき経営者の姿(その5:経営者が育つ三つの条件)

 みなさん、こんにちは! 今日は、あるべき経営者の姿、その5です。 経営者として大きく成長していくための「条件」や「心構え」として、以下の3点に集約されるのではないでしょうか。 ➀高い志:やはり成長の原点は、高く遠くを見据える「志」であり、強い「使命感」にあるといえるでしょう。同時に、現場といいますか、足下を見つめる目線も忘れてはらないでしょう。志が高いほど、理想と現実のなかでの矛盾(種々の対立点や問題点)も大きくなりますが、正面から解決することで、その結果、成長ができるのではないでしょうか。志が低いと、大きな問題もなく、現状満足に陥ってしまうと思います。それでは事業大成の芽はないでしょう。また、大きな志は、魅力を放ち、多くのひとをひきつける効果もあるようです。 ➁仕事の場の大きさ・多様さ:仕事の責任範囲が、大きく、また、多様化すると、さまざまな問題や要因にぶつかります。それらに対し、責任をもって真剣に取り組まざるを得ない状況となります。人や組織を動かしながら、課題を一つづつ解決し、経験を積み、多くの知恵がえられます。そういったことで、成長につながるといえると思います。 ➂深い思索の場:読書やひととの対話から多くのことを学ぶことができます。さらには、現場の様々な問題に自ら深く立ち入り、問題の本質に迫り、考え、思索しつづけ、解決していくことで、思考力や、経営に必須とされる「論理性」が身についてくると思います。現場の現実・現象の全てには、「縁起の理法」(原因結果の法則)が内在しているといわれています。矛盾を解決し、結果を出すためには論理性が不可欠になります。したがって、「論理性が鍛えられる」、ということができるでしょう。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

43)あるべき経営者の姿(その4:経営者の反面教師)

 みなさん、こんにちは! 今日は、あるべき経営者の姿、その4です。 反面教師とは、反省の材料となる人や事例を指すようです。 経営者にとって、反面教師として注意すべき5つの事例を、下記します。反省の材料になればと思います。(『よき経営者の姿』(伊丹敬之著)より) ➀私心が強い:「分配者」として、経営の成果の分配で、自分の利害を優先するという意味での私心が強い人は、人がついていかないし、間違った判断もしやすい。 ➁人の心の襞(ひだ)がわからない:リーダーは、人々がフォローするからこそリードできる。人々は、みんな心をもっている。その襞を理解できずに無神経なことを連発する経営者には、結局、人はついていかない。 ➂情緒的にものを考える:他人の心の襞を理解し、しかし、自分は情緒に流されてものを考えることはしないことが望ましい。「経営者にとって一番必要な条件は、論理的に考える力をもっていることである。なぜなら、経営は論理の積み重ねだから」(小倉昌男)。論理が心理的な迷いの中の判断のよすがになる。 ➃責任を回避する:責任をとることが経営者(=代表者)の仕事なのに、回避する性癖のある人がよき経営者であるわけはない。責任を回避するひとは「いい人」であることが多い。自分に対して厳しくないから、人に対しても厳しくないので、ある程度の支持は集まるが、八方美人で、結局何も決めないので、経営者としては危険大。 ⑤細かいことにでしゃばる:「経営とは、自分が何かを行うではなく、他人を通して事をなすこと」である。細かいディテールばかり目がいっては、全体感を失うし、総合判断はできず、大群の統率はできない。 以上です。いずれも、「徳ある経営者」を目指すには、避けて通れないものばかりと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

42)あるべき経営者の姿(その3:経営者の3つのタイプ別能力)

 みなさん、おはようございます! 今日は、あるべき経営者の姿、その3です。 経営者は、「徳あるリーダー」であることは、必須の条件と考えています。その役割や能力についてもすでにご説明しました。 理念経営の事業を担うためには、事業環境の変化への対応、組織の内部矛盾、組織と環境の間にある矛盾を常に解決していかなければなりません。そこで、私は、3つのタイプ別能力をもち(他のリーダーと分担してもよいと思っています)、リーダーシップを発揮しなければならないと考えています。以下、簡単にご説明します。 ➀ 事を興す能力 :まだ現実には存在していない、あるいは組織やその周辺ではほとんどみられないような事を興す能力です。何を興すのか構想し、その事を実現するためのアイデアを創出しなければなりません。「創造性(クリエイティビティ)」が求められます。事の成長を、「点、線、面」ということがありますが、ここでは、「点」に相当します。 ➁ 新たに興した事を進化させる能力 :従来事業の中で、新規の事を進めていく(ビジネスモデルづくり)能力です。古いものを刷新しながら、新しいものを成長させていくという、いわゆる「アントレプレナーシップ(変革)」が求められます。「点、線、面」でいえば、「線」になるかと思います。 ➂新規の「ビジネスモデル」に対して、新規事業としての マネジメント体制を整え(経営モデルづくり)、さらに事業として大きく発展させていく能力 です。経営目標を達成することと同時に、社会へ貢献することが求められます。「ビジネスリーダーシップ」といってもいいでしょう。「点、線、面」でいえば、「面」、あるいは「立体」といってもいいかもしれません。 なお、上述の3つの能力&リーダーシップに対して、「点、線、面」を中心とする基本コンセプトづくりでは、私のビジネスパートナーである仲沢一志氏のご支援をいただいております。改めて感謝申し上げます。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

41)あるべき経営者の姿(その2:経営者に必要な3つの能力)

 みなさん、おはようございます! 経営者にとって、必要な3つの能力を取り上げます。 生まれつき備えている場合もあるかもしれませんが、環境や教育、その中での努力により鍛えることのできるものと私は考えています。 1つ目が、「パワー」です。エネルギッシュなことです。精神力、肉体的能力の両面があると思いますが、両者は相互に関連していますので、両方が必要であり、バランスが大切と私は思います。 2つ目が、「決断力」です。「判断力」とは異なります。 判断と行動の間には、深い溝がある といわれています。したがって、判断力だけでは必ずしも行動につながらないでしょう。行動した、その結果に対する責任をとる「覚悟」ができていて初めて「決断」でき、行動につながるといえるでしょう。 3つ目が、「情と理」です。「理」だけでは、人は決して動きません。感情や心理で人間は動くといわれています。名経営者はそこをよく知っているようです。だから、彼らは必ず「情」の達人でもある、とよくいわれるのです。 以上の3つの能力を、日ごろから意識し、鍛え上げる努力をすることが大切であると、私は思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

40)あるべき経営者の姿(その1:経営者の役割)

みなさん、こんにちは! 理念経営のトップとして、徳あることが大前提となることは、すでに学んできました。 今回から、さらに具体的に、「あるべき経営者の姿」を探求していきたいと思います。 まず、「経営者の役割 」です。 私は4つに集約できると考えています。 ➀社会や環境に対して、先頭に立って働きかけ、防波堤となる、会社全体の代表者であり責任者 ➁組織内部の人々を束ね、統括し、事業を推進・発展繁栄させるリーダー ➂理念策定者であり伝道者 ➃承継者の育成者 みなさん、ご理解されていることばかりですので、具体的な説明は省略いたします。 現在のように、ビジネス環境や社会環境の変化が激しい中で、やはり4つとも重要です。 わたしとしましては、「理念経営」の観点から、➂の「理念策定・伝道」、➃の「承継者の育成」をとくに、重視したいと考えています。「理念なき経営では、経営の大義はない」、と考えるからです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

39)徳あるリーダーの条件(その3:5つの徳目「礼、知、信、義、勇」)

 おはようございます! 徳あるリーダーになるための「5つの徳目」について、学びます。 「礼」:礼儀正しく、目上の人や優れた人に敬意をしめす心、品性や折り目正しさ、秩序を重んじる心です。「覇道」(武力や権謀で支配する)ではなく、「王道」(徳をもって治める)への「入り口」と言われています。他の言葉でいうと「謙虚さ」といえるのではないかと思います。「謙虚さ」は、リーダーシップにランクをつけるとすれば、最高位にあるもの といわれています。 「知」:ものごとを感じ取る心、事実を知り、本質を見抜き、ものごとの道理がわかる、といった心のはたらき、といえるでしょうか。経営者にとって、「論理性」は不可欠であるといわれますが、その「論理性」のベースとなるのが、この「知」であり、きわめて重要なものといえます。 「信」:神仏への 信仰心 。仲間や他の人々を 信じる こと、と同時に、他の人々から 信じられる こと、といった意味があるようです。社会や組織では信頼関係が求められます。そのベースになるものです。「信用、信用、また信用」です。 「義」:是非、善悪を分ける力であり、「肝となる哲学」ともいえるでしょう。戦国ドラマで、武将がよく「大義はあるのか?」ということがありますが、この義のことですね。判断力や決断力のもとになるものです。 「勇」:ものごとに恐れないこと。勇ましいといったことです。「蛮勇」(義がない)ではだめです。「 義」にのっとった「勇 」であるべきです。決断力、実践力の源になるものです。経営者にとって、大きな成果をだすために、最後に必ず求められるものです。 先に述べた「仁」をもって、以上の5つの徳目を、日々実践し、磨きつづけることにより得られるのが、「徳」ということになります。オーラを放つ「徳ある経営者」をめざしましょう! <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

38)徳あるリーダーの条件(その2:「仁」とは)

 皆さん、こんにちは!  今日は、徳あるリーダーの条件(その1:徳とは)でお話ししました、「仁、5つの徳目、徳」という言葉のみで獏としていたので、それぞれの言葉の定義なり私なりのコメントで若干補足させていただくことにしました。 今回は、最初の「仁」です。 5つの徳目、「礼」、「知」、「信」、「義」、「勇」の基礎になるものです。それらを支える力です。 「仁」とは、分かり易い日本語で言えば、利他の心である「愛」であり、仏教用語で言えば「慈悲」という言葉で表現できるかと思います。「人生修行の道」の「原点」ともいえるでしょう。 「理念経営」とは、一言で言えば「理念ベース(人間性尊重の哲学)のマネジメント」という言い方を私はしておりますが、この「人間性尊重」のベースにあるのが、「仁」であり、利他の心である「愛」であり、「慈悲」です。 ここで、誤解しやすいのが「愛」ですが、少しコメントしておきたいと思います。 世の中では「愛」というと、「溺愛」とか「愛着」など、自分のものにしたいといった、どちらかというと「我欲的」なニュアンスがあります。ここでは、真逆の「利他の心」であり、「奉仕の精神」といった、意味で使っております。 ビジネスでは、「CS:顧客満足」とか、最近では「UX:顧客体験」という言葉がよく使われているようですが、 それらの根底にあるべきもの が、利他の心である「愛」です。「我欲」ベースでは短期的に成功することはあったとしても、長期的な発展・繁栄は決してあり得ないと思っています。 人生修行として徳を磨くためにも、またビジネスで真に繁栄するためにも、利他の心である「愛」が極めて重要であると、私は確信しております。理念経営を目指す経営者、リーダーにとって、必須の条件であると私は思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

37)徳あるリーダーの条件(その1:徳とは)

おはようございます! 理念経営の重点テーマの「Ⅲ、徳ある人材の登用」の中で、「徳ある経営トップ」という言い方をしております。しかし、「徳ある経営トップやリーダーの条件や、目指すにはどうしたらよいのか」、といったことについては、まだほとんどご説明しておりません。そこで、今回よりシリーズで、「徳あるリーダーの条件」について、あれこれ探求し、皆さんと学んでいきたいと思います。 今回は「徳とは」ということでご説明していきたいと思います。すこし固いと思われる方もみえるかと思いますが、「理念経営の原点」であり、避けて通るわけにはいきませんので、よろしく! 今回は、定義だけお示しして、皆さんのご参考に少しでもなれば、有難く思う次第です。 私の尊敬する人生の師であり、仕事上のメンター的存在でもある方の定義が、本質的でシンプルであり、自分としては心より感得し、納得しているものです。 「 自分が生きてきた時間のなかで、自分のことより他の人の幸福や社会の発展繁栄のことを考えた時間の方がはるかに多い人のことを、『徳ある人』と言います 」。 さらに、リーダーを目指すひとの心構えであり、条件でもあるものを、以下ご紹介いたします。 「立派な徳を身につけるためには、自己の修養、陶冶が不可欠です。 仁(修行の道の原点であり、人間愛でもある)が、「礼、智、信、義、勇」の徳目を縁として 徳(仁が結晶化 )となる。ゆえに、結晶を大きくするためには、仁を高めつつ、各徳目を磨き高めることが、リーダーを目指す者の心構えであり、条件 となります。 各徳目については、『論語の読み方』(渋沢栄一)など、目を通されることがお勧めです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

36)「経営理念」浸透活動の実践(まとめ)

 みなさん、こんにちは! 「経営理念の浸透が難しいわけ」について述べてきました。では、どうしたらよいのだろうか、ということで、以下、全社的な観点から、具体的に実践すべきことを、まとめてみました。詳細なご説明は省略させていただきたいと思います。ご参考になれば幸甚です。 Ⅰ:全社活動として  ➀リーダーの熱き念い   ・リーダーの心の底から湧き出る念い、「志」を熱く語る。  ➁リーダーの率先垂範   ・リーダー自らが、体現、実行する。  ➂業務活動などの 具体的活動の場づくり及び活発化  ※1   ・OJT等を中心としたコミュニケーションを、現場業務(共感の「場」でもあります)    を通じて実践する。 ※2(具体的活動の「共感の場」を通じて、コミュニケーションのみならず、人々の間の    相互作用による「学習の場」にもなる。結果、理念の浸透や 定着化 に対する効果も得         られる。)※1,2:’2020年11月2日追記      ➃朝礼等でのスピーチ   ・経営理念に関連する気づき、体験などを、皆の前で語る(トップだけでなく、でき        れば全員で順番に)。 Ⅱ:人事戦略・施策として  ➀研修体制の確率   ・入社教育、職能別、階層別等の就業教育の制度設計及び実施。  ➁「論文制度」の導入   ・自らの気づきや体験を、論文としてまとめる(A4用紙、1枚程度。文章にまとめる作    業を通じ、しっかり納得し、心の底に落とし込むことも可能になる)。  ➂本人自らの実行レベルを人事考課に反映   ・経営理念全般(ミッションや行動指針を含む)での実行状況を組織として評価し    人事考課に反映する。  ➃「入口管理」と「出口管理」   ・採用時から、経営理念全般との親和性をチェックする。また、退社時にも、本人が    納得した円満退社になるよう、手厚くケアする。  ⑤浸透度合いの定期的調査(サーベイ)   ・経営理念全般の組織への浸透度合いを、定期的に調査(意識調査など)する。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

35)コーヒーブレイク:「自由」には2種類ある

 皆さん、おはようございます! ビジネス書で、ある人が言っていたことですが、シェアしたいと思います。もちろん、ご存知の方もみえることでしょう。 自由を英語に訳すと、「フリーダム(Freedom)」と「リバティー(Liberty)」の2つがあります。検索でチェックしてみましたが、似通った意味でした。本来は、以下のような2つ意味になるようです。 フリーダム:「制約や負・不からの自由」を指し、制約がない状態に 解き放たれる ことを意味する。 リバティー:「主張して獲得する自由」を指し、自分の 権利や生き方を獲得する ことを意味する。 これはなるほどな、と思われる方も多いのではないでしょうか。 戦中・戦後の日本は、物不足で貧しく、配給制もあり、必要なものが簡単に手に入らなかったですね。その後、高度成長経済のもと、欲しい物は、なんでも手に入る時代になりました。 「物の豊かさ」から「心の豊かさ」へ、といわれる時代になりました。自分らしい生き方を追求したい、ライフスタイルのクオリティを上げたい、自分の使命を果たしたい、などという時代への変化ですね。 自由の中身が、上述の「フリーダム(Freedom)」から「リバティー(Liberty)」へかわったといえるのではないでしょうか。 最近の政治分野ですが、香港問題では、ニュースで民主化デモの状況がよく報道されていました。「香港に自由を!」というシュプレヒコール(デモ参加者がスローガンを大声で叫ぶこと)で、「フリーダム」という言葉を使っていましたね。 現在の日本では、アフターコロナということですが、戦後間もないころのように、食料など欲しいものが手に入りにくくなるといわれています。また、国も大きな政府をめざしているようですし。 まさに、「2つの不自由が混在するハイブリッドの時代」(これでは困りますが)、といえるのかも知れませんね。 何か、ご参考になればと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

34)経営理念の浸透が難しいわけ(その5:環境・風土の地ならしができていない)

 皆さん、今日は! 題記のシリーズ、最終「その5」です。 「経営理念を組織に浸透させる」ことは、たとえて言えば、畑に種をまくようなものですね。地面がコチコチだったり、石ころばかりでしたら、種をまいても根づくのはたいへんでしょう。 そういった場合どうしたらよいのでしょうか。 わたしは農業は素人ですので、手順など間違っていても多めに見ていただければ有難く思います。 まずは、石ころを除去します。また、コチコチな地面でしたら、鍬をいれ、耕すことが必要でしょう。乾燥している場合は、適度の水も必要でしょう。種をまくために、そういったもろもろの準備が、土地を耕すことであり、ここでいう「地ならし」のことです。 地ならしができていれば、細かなことはさておき、種をまけば、おそらく根づき、芽がでてくると思います。気温や日光などの条件もあるでしょうが、一定の時間がたてば、必ず、根づき、発芽すると思います。 会社組織においても、全く同じことが言えると思います。 新たに起業した場合、採用する人材は、老若男女、最近は外人など多種多様(ダイバーシティ)です。マインドも色々あります。採用の面接にも力をいれなくてはなりません(理念経営に、明らかに親和性のない方はたまにいますので、不採用が無難です。これは私の経験からも言えることです)。また、経営不振で会社の立て直しなどで、経営を任せられた場合なども、やはり、まずは、環境・風土の地ならしが必要になると考えます。 いくら徳のある社長やリーダーであっても、理念経営の柱である、「経営理念の種」をまくため、環境・風土の地ならしをしなければなりません。そして種をまき、あらたなカルチャーを構築していくという、ステップが必要と考えます。 こういった場合には、必ずしも正解があるわけではないと思います。また、一気に浸透させようとしても無理があると思います。やはり、荒れ地に鍬を入れ、地ならしするように、石ころ(種まきの障害となる石ころ、たとえば、やる気がまったくない、といったネガティブなマインド(遺伝子やDNA))等)をこまめにひとつづつ、粘り強く取り除いていくしかないでしょう。 具体的には、問題のあるリーダークラスの人間と、「個人面談」をし、相手により沿うようなスタンスで、しっかり話を聞き、熱く語り、共感・共振・共鳴していく、という地味な作業ではありますが、そうい...

33)経営理念の浸透が難しいわけ(その4:経営理念の教育体制ができていない)

 みなさん、こんにちは! 今日は、本当に雲一つない、真っ青な空です。たいへん心地よい天気です。台風一過ということでしょうか。頭もスッキリとしてきます。 今日はシリーズ、「経営理念の浸透が難しいわけ」の4番目、「経営理念の教育体制ができていない」、ということです。 大企業では、入社時、管理職への昇格時など、必要なところで、人事部門主体で、さらには、職場監督者と連携して、社員への教育やフォローアップ体制ができていると思います。 プログラムとしては、会社の創業時代からの先輩の言動や事業の歴史、さらには、その根底にある大切な精神や哲学(基本理念/大切にしている価値観)があります。また、会社としての使命や役割、将来の目指す姿、従業員として日々の仕事に対する行動指針など、集合教育の一環として学習する機会があるのが一般的といえるでしょう。 また、職場の部門長や上司などからの、実務を通じてのフォローアップや指導もあります。 そして、定期的な面談もあり、実務の成果やマインド面(いかに理念が腹に落ちているか)に関して、人事考課があります。結果はボーナスや昇格などに反映されていると思われます。 ただ、大企業においても、必ずしも徹底しているかどうかは、企業によって濃淡異なるのではないかとは思います。 肝心な中小企業や零細企業では、教育体制ができているケースは、私の経験では、皆無に近いと思われます。朝礼や勉強会などで、経営理念やミッションなどを皆で唱和し、社長からの訓示がある、といった状況がほとんどではないでしょうか。 人事考課については、ボーナスや昇格の査定をしなければならないので、社長や役員で、簡単なチェックシートや、役員や部門長、上司などの意見を参考にして評価し、最後は社長の鶴の一声で決まるのが、おおよその姿ではないかと思われます。 これでは、理念について学ぶ機会もなければ、実践しても、上司や会社トップが必ずしも本人の思いや行動について、公正に評価することは難しいように思われます。結果、組織に経営理念がしっかり浸透することは困難ではないでしょうか。 やはり、トップは理念を熱く語り、きちんと最小限を教育し、しっかりパフォーマンスを評価し、実践し努力している人に対しては、人事考課や昇給などに、公正/公平に反映することが基本と思われます。 おそらく、多くの、特に中小・零細企業では、社...

32)コーヒーブレイク:なぜ、日本はデジタル化が遅れているのか

 皆さん、こんにちは! 今朝、コラムの記事をよく読んでいただいているA氏より、コラムの文章で、もっと改行したほうが読みやすいですよ、とアドバイスをいただきましたので、早速、今回から改善します! 今回、「コーヒーブレイク」とタイトルに入れています。理念経営とは直結していないものの、大いに関連しそうな情報、最近ビジネス関連でのトピックス的な情報を、皆さんと是非シェアしたい場合のコーナーです。 さて、今朝、最近のベストセラー(『AFTER DIGITAL VER.2』藤井保文 日経BP)で 本日のお題、「なぜ、日本はデジタル化が遅れているのか」で、シンプルに応えられていたので、ご紹介します。すでに、ご存知の方も多いかもしれませんが。 著者は、様々な理由はあるけれども、それらを踏まえた上で、「あえて1つの理由を上げるるならば」という前提がありますが。その部分を下記します。 私は「日本はホワイトリスト方式、アメリカや中国はブラックリスト方式の管理体系だから」と答えます。(一部、国名を追記しました) 「ホワイトリスト方式(日本)」:「やっていいこと」を決め、それ以外はやってはいけない。例えばセグウエイ(米国で開発された、電動立ち乗り二輪車)が公道を走れないのは、まだ道路交通法の対象として整備されていないから。→ やっていいこと(OK)を決める 「ブラックリスト方式(米国、中国など)」:決められた「やってはいけないこと」以外は 基本OKとなるため自由度が高い。米国や中国ではセグウエイだろうと何だろうと一旦乗ることができ、社会問題化してから規制が入る。→ やってはいけないこと(NO)を決める みなさん、なるほど!と思われる方も多いでしょう。私が思うに、本来、日本も、ブラックリスト方式であったと思います。かつて日本では、仏教僧団では、「随犯随制」つまり「問題が発生してから、ルールをつくる」ということがお釈迦様の教えであったように記憶しているからです。なぜ、日本はこんなになってしまったのでしょうか?、、、。  いま新たに発足した管内閣が、デジタル化に総力をあげて取り組むということで挑戦し始めました。陰ながら、応援したいと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

31)経営理念の浸透が難しいわけ(その3:実践している社員を評価しない)

 みなさん、こんにちは? 今日は、結構肌寒い天気ですね。お互いに風邪をひかないよう注意しましょう! 経営理念の浸透が難しい、3つ目の理由です。たとえば、「お客様や仲間に喜んでいただく」という価値観にもとづき、自発的に仕事で創意工夫している社員がいたとします。しかし、そういった場合、仲間や上司など、あまりいちいち関心もなければ、評価しないのが、昨今では一般的ではないでしょうか。 私としては、さびしい限りですが。日々忙しいと、どうしても、いかに効率的に目の前の仕事をこなすか、結果を上司にいかに報告するかなど、頭の中は一杯になってしまうものです。そういった状況の中では、とくに、マインドといいますか、目に見えにくい精神的なことについて、お互いのちょっとした配慮や思いやりなどについて、関心はあまり持てず、結果、気づかなくなってしまうのではないでしょうか。 こういった場合について、お互いに認め合い、評価し合うような、コミュニケーションの場、共感できる場がないことが大きな障害になっているのではないか、というのが、私の持論です。 まずは、コミュニケーションができ、お互いのふとした思い(暗黙知)を共感できるような場を身近につくることが大切だと思います。そして、理念を実践した人に対し、皆で評価し合い、褒め合うことが大切であると思います。 ふと思い出したのが、有名なディズニーランドでの話です。お客様がディズニーランドで温かいサービスに触れ感動したりすると、後日、感謝の手紙がきたりします。朝礼などで、リーダーが、仲間の前で、サービスした当人を紹介し、便りを読み上げ、みなで祝福しあうことが日常的に行われている、といったことを記憶しています。 工場や一般の会社でも、仕事に没頭するのもよいですが、そういった場づくりをしていくことも、理念を浸透しカルチャーを形成し、進化させていくうえで、非常に大切なことではないでしょうか。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

30)経営理念の浸透が難しいわけ(その2:承継者の徳の問題)

みなさん、こんにちは! 今日は、先回に引きつづき、「経営理念の浸透が難しいわけ(その2:承継者の徳の問題)」について、ご説明したいと思います。 「理念経営の本質‐その4:徳ある人材の登用」にて、徳あるリーダーの育成、昇格しトップになるしくみ、また、徳あるリーダーを継承するしくみなどが整備されていることの大切さについてご説明しました。 いくら現在の経営トップが徳分があり人格が優れていても、後継者が、直近の利益にしか関心がなく、徳分とは縁遠いような人がトップになる場合があり得るからです。経営理念(企業経営の原点として大切な価値観)がトップから次のトップに伝わるはずがありません。 とくに、中小、零細の企業でよくみられる同族経営企業の場合は、身内から昇格される場合がほとんどではないでしょうか。一見仲がよく、問題がないように見える場合もありますが、実は落とし穴があります。 例えば、次期トップ候補に対して、世話焼きであり指導役として役員などに任す場合があります。この役員が、必ずしもトップの価値観を共有できているか誰にもわかりません。そこで、当然ながら、次期トップにトップの価値観が伝わる保証はないでしょう。むしろ、悪口を言う場合もあります。 また、次期トップは、社長のそばにいる機会が多いので、私の経験した範囲ですが、トップの人格上の欠点が見えやすい傾向にあります。したがって、そういった場合も、価値観の共有は困難となるでしょう。 また、世代も異なりますので、そういった面で益々、現在のトップの価値観が、しっかり伝承されることは困難になるでしょう。 やはりまずは、現在の経営トップの人格や徳分が求められます。同時に上述したような、しくみや制度が確立されていることで、必要十分条件が整うこととなります。 しかし、中小企業や特に零細企業では、上述のしくみや制度がしっかり確立しているケースは、私はみたことがありません。したがって、やはり、徳ある経営トップが必須条件となるといえるでしょう。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

29)経営理念の浸透が難しいわけ(その1:経営トップのブレ)

 みなさん、こんにちは! 先回は、企業理念と経営理念のちがいについて、弊社としての考え方をご説明しました。今日は、 狭義の 「経営理念」、「基本理念」と呼ぶ場合もありますが、その定義を明確にして、それを組織に浸透していくための、基本的な考え方や具体的な方法について、皆さんと検討してみたいと考えています。 経営学(マネジメント)の泰斗でもあるドラッカー先生は、経営理念とは、「経営者の想い」、であり「経営哲学」でもあるといっていると思います。「経営哲学」はさらに考えると、「企業経営の原点となる、基本的で最重要な 価値観 」であるともいえます。「心の底から、最も大切にしたいと思えること」、ともいえるでしょう。 ここで、よく言われる、浸透が難しいわけの1つ目(私は最重要と考えています。とくに中小・零細企業の場合です。)として、「経営トップは、熱く語らない、自ら守ろうとしない(ブレルということでしょうか)」があります。 これは、組織として致命傷です。なぜなら、経営幹部や全社員が経営トップの一部始終を、実に的確に観ている(見えない部分、思想や人格など)からです。肝心の側近は、トップに近いがため、忖度してか、必ずしも正直に進言することは少ないでしょう。 したがって、経営トップがブレルと、結果としては、「裸の王様」になってしまうでしょう。いくら経営理念を語ろうとしても、ブレルているのでは、当然心から熱く語ることはできないでしょうし、みずから守ろうとしない、うっかりもあるかもしれませんが、社員は一回でも例外があると、一貫性がないということで、トップが語ることに対し、全幅の信頼は不可能となります。 こういう状態になりますと、社長と想い(価値観)を共感し、共有化することはまず困難でしょう。 朝礼などで、社長やリーダーなどが、経営理念を語ったり、唱和することはよくあることですが、形だけの場合が多いと思います。私が過去に経験した会社では、数少ない例外はありましたが、多くの場合は、社長の言行不一致、つまり想いブレルことが普通でした。これでは、当然、経営理念は浸透しませんし、カルチャー形成どころではありませんね。 次回は、経営者が次の世代に代わるゆえの困難さについて考えてみたいと思います。その後、浸透させるための方法について考えていきたいと思っています(予定は未定ではありますが)。 <T...

28)企業理念と経営理念のちがい

 おはようございます! トランプ大統領は、治療は継続するも、退院したようで、株もあがっているようです。世の中が好感しているということでしょう。 さて、「企業理念」と「経営理念」ですが、もちろん厳密にいえば、ニュアンスはことなります。ただ、世の中では、同じように考えている方も多いような感じがしています。決して間違い、というわけではありません。以下、「村上理念経営コンサルタント」としての基本的な考え方をご説明したいと思います。 「企業理念」=「経営理念(経営哲学)」+「ミッション(使命);経営の目的と方法(顧客と提供する価値)」+「あるべき姿(理想)/存在意義(パーパス)」+「経営指針(経営者の規範)」+「行動指針(社員全員の規範)」 基本は以上ですが、「企業理念」=「(広義の)経営理念」とする際は、上記の「経営理念(経営哲学)」は、「(狭義の)経営理念(経営哲学)」と解釈すれば、それはそれで、よいのではないか、と考えています。ただ、他の人(社員など)に伝える場合は、誤解がないように注意が必要ではないかと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

27)理念経営の本質-その4;徳ある人材の登用

  27)理念経営の本質-その4;徳ある人材の登用 さて、重点テーマの2番目の柱が、創造性あふれるカルチャー形成でした。企業は基本的には、「ゴーイングコンサーン(企業は継続しなければならない)」でなければなりません。 いくら創造的なカルチャーを形成し、たとえ進化していても、徳のない経営者がかりにトップになり、いったん権力を握ると、企業が公器であることを忘れてしまうことがしばしば生じます。創造的なカルチャーができていたとしても、簡単に崩壊してしまう可能性はかなり高く、世の中でもしばしば、そういったことが発生します。 やはり、人間はどうしても、我執や我欲の虜になり易く、企業を私物化することがしばしばおきていますね。そういった意味で、理念経営を継続していくためには、徳あるリーダーを育成する仕組み、徳あるリーダーが昇格し、トップになるしくみ、また、徳あるリーダーを継承者にするしくみは、不可欠であると私は考えています。 権限のある、組織のトップに徳があることがいかに大切であるか、将来のトップ候補のリーダーは、企業の様々な研修や訓練のみならず、自己研鑽を常にしていくことが厳しく求められていることを、肝に銘じておかなければならないと思います。

26)理念経営の本質-その3:創造性にあふれたカルチャーをつくる

 皆さん、こんにちは! 朝は結構涼しくなりました。お互い風邪には注意しましょう! 理念経営の重点テーマを取り上げています。3本の柱がありまして、今日は2本目の柱です。 「創造性にあふれたカルチャーをつくる」です。1本目の柱が、「理念ベース(人間性尊重の哲学)のマネジメント」です。しかし、トップだけが理解・納得していても、会社組織は、全員が受け身で、言われたことしかやらないようでは、会社としての成果はあまり出ません。 理念経営では、共有化する理想(あるべき姿)にむけ、自律的に、社員自らがリーダーシップを発揮して、課題解決に向け、創造的な活動をして知恵を出し、成果を出していくことが大切と考えています。 やはり、経営トップは、熱く「理想の姿」を語り続けることが不可欠です。理念浸透には種々のやり方はありますが、根本的には、トップのこういった姿勢が最重要です。 日々の仕事は、トップと仲間、組織の仲間、チームの仲間との間で、相互のコミュニケーションを通じ、情報交換しながら、日々、課題解決に向け活動しています。やがて共感しあう仲間となり、いわゆる「場」ができてきます。 「場」とは相互に情報交換し合う、コミュニケーションの場を言います。こういった「場」は、会社組織のいたるところで芽生え成長していきます。これらは、個性ある活動をしていても、トップの発信し続ける「理想の姿への熱い思い」で、やがてつながってくるものと思われます。 「人間とは共感するものである」、とも言われています。共感とは「愛」である、と表現されることもあります。共感はまた、「利他」の思いも醸成するようです。 トップと社員、社員どうしの間で共感を通じて、目には見えませんが、やがてそれが会社全体としてまとまり、それがいわゆる「カルチャー」になると私は考えています。 私の描く、理念経営の「あるべき姿」では、「創造性あふれたカルチャーをつくる」ことを目指しています。そうして(カルチャーが醸成されて)初めて、従業員は、マイクロマネジメントされなくても、自律的に働き、仲間どうしで思いやり、助け合い、働き甲斐がえられ、顧客も喜び、社会も喜ぶことが可能となります。 理念経営を一言でいいますと、「三方良し」の経営と言えるでしょう「売ってよし(社員)、買って良し(お客様)、世間良し(社会)」です。理念経営の目指す「あるべき姿」の究...

25)理念経営の本質‐その2:矛盾こそが発展のエネルギーの源泉

 みなさん、こんにちは! 台風も東よりにそれ、ここ東海地方はほとんど影響がありませんでした。ほぼ秋晴れでした。 さて、「理念経営の本質」で、「矛盾こそが発展のエネルギーの源泉」と述べましたが、もう少し具体的に補足させていただきたいと思います。 企業組織やとりまく環境の変化はますます激しくなる一方です。絶えず動く現実のなかで、我々、日々の仕事に取り組んでいます。 たとえば、製造業としましょう。商品開発をしますが、競争力を強化するため、いかに付加価値をあげるか、また同時に、コスト低減も重要な要素です。簡単には両立は困難です。これが、解決すべき「矛盾」となります。 ご存知のように、マイケルポーター教授の競争戦略では、付加価値向上(差別化)と、コスト低減(コストリーダーシップ)は、両立は困難とし、どちらかを選択することが推奨されています。 たとえば、大手はコスト低減を、中小は付加価値向上(差別化)が基本となっているようです。これでは、矛盾の解消にはなりませんし、どこの企業でも同じような決定をするため、発展は多くは望めません。 皆さんご存知と思いますが、「ブルーオーシャン戦略」というのがあります。既存市場(レッドオーシャン)の中で、他社がやっていない領域(ブルーオーシャン)で新たなビジネスを展開する考え方です。この「ブルーオーシャン戦略」は、「スマート(付加価値を高める)・リーン(コスト低減)戦略」の1つといわれています。余分な機能やサービスは削り(コスト低減)、必要な機能やサービスはさらに強化したり、追加したりします(高付加価値化)。 このように、単に「案A」か「案B」かと、外から見ているだけではなく、それぞれの案に深く関心をもち、、矛盾する関係性の仲に入り込み、本質を捕らえることで、両方を生かしながら、第3の案を打ち出すことができるのです。これが、「矛盾の解消」です。 単に「案A」と「案B」を外側から、論理的に比較する、という発想だけでは発展は期待できません。「ブルーオーシャン戦略」や「スマートリーン戦略」といったような、柔らかな考え方や発想が求められることにはなります。 以上より、「矛盾こそが発展のエネルギーの源泉」といえるのではないでしょうか?   ここでさらに実行に移る決断を可能にするのが、「企業理念」であり、「人間尊重の哲学」ということになります。 <TO...

24) 理念経営の本質‐その1:決断を支える「人間性尊重の哲学」

 みなさん、こんにちは!彼岸も過ぎ、大分涼しくなりました。 今日は、理念経営の重点テーマ:3本柱の1つ目のご紹介です。第1の柱が、「理念ベース(人間性尊重の哲学)のマネジメント」です。これにはさらに4つの課題がありますが、今回はまとめてご説明したいと思います。 企業のマネジメント(経営)を考える際に、「企業組織」とその周りを取り囲む「環境」を考えます。従って、経営としては、「その組織の環境をマネジメント」すること、「組織内部の人間集団をマネジメント」することが必要となります。 さらに厳密に言えば、「組織と環境それぞれの中での矛盾(コンフリクト)をマネジメント」、「組織と環境間での矛盾をマネジメント」することが必要です。「矛盾のマネジメント」こそが経営の本質といえるでしょう。なぜなら、矛盾こそが発展のエネルギーの源泉になると言われているからです。 以上より、経営の本質は、矛盾のマネジメントであり、中核に決断(意思決定)があると言えます。 決断がなければ、先に進まず、成果はでないからです。また、決断は、経営者にとって大変勇気がいるところですが、それを支えることができるのが、哲学であり企業理念(人間性尊重の哲学)といえると思います。 以上、今回はエキスだけですが、理念経営の3本柱の1つ目のご紹介です。 補)「人間性尊重」とはトヨタでもよくいわれていますが、人間の尊厳を重視するもので、付加価値のない仕事、働き甲斐の持てないような仕事を決してさせないことです。 (以上、『ゼミナール経営学入門」、『経営の知的思考』(共に伊丹敬之著)等を参考) <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

23)コーヒーブレイク:コンテンツ(アイデア)を伝染しやすくするための6つの原則;STEPPS(ステップス)

 みなさん、こんにちは! ここ愛知、蟹江町では、連日の猛暑日です。 さて、先回のコラムでは、「記憶に焼き付く6つの原則(SUCCES)」についてご紹介しました。今回は、記憶に焼き付く、というよりも、いかに発信した情報が、人から人へ広がっていくようにするか、いわゆる「口コミ戦略のための6つの原則、STEPPS(ステップス)」です。 コロナ菌(ウイルス)の感染のように広がるという意味で、口コミ戦略のことを、「バイラル(ウイルスのように感染力がある)戦略」とも言うようです。コロナが感染するのはよくないですが、アイデアが無料で、人から人に伝わることは、マーケティング戦略としては不可欠なものでしょう。 「下手な鉄砲、数打ちャ当たる」では、この情報の洪水時代では、とてもではありませんがムダが多すぎます。そこで「STEPPS」の登場です。 「STEPS」の意味は、一歩一歩広がっていく、人から人へ広がっていく、という意味があるかと思います。とにかく、「STEPPS」は分解すると下記のようになります。 S ocial Currency ;「それを語るのが、トレンディーでカッコいい」といったことです。 T riggers ;「あるきっかけで思い出させる」という意味があります。引き金です。 E motion;感情です。人は気にかかったものを共有するようです。伝染性のあるコンテンンツは大体の場合、感情を呼び起こすと言われています。 P ublic;少しでも人の目に触れるようにすることです。「見える化」のことです。 P ractical Value;実用的な価値があることです。「役に立ちそう!」と、思われることです。 S tories;「語りたくなるストーリーがある」ということです。 以上、簡単にご説明しましたが、もっとくわしく学びたいという方は、以下の著書をチェックしていただければと思います。→『なぜ「あれ」は流行るのか?』。チエを出して、コロナ感染力にまけないような感染力で、アイデアを拡散してみては、いかがでしょうか? <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

22)コーヒーブレイク:アイデアの発信、6つの原則(SUCCES)

みなさん、こんにちは!  前回に、厳しい時代で、いかにサバイバルするか。そのためは、まず、「独自の、付加価値のあるアイデアを出し続けること」が大切であるといいましたね。さらに、それを、自分のお客様や仲間へ発信し続けることが大切であるともいいました。 皆さんご存知と思いますが、「ポジショニング戦略」があります。「カップラーメンは〇〇でなければダメだ」、「ビールは〇〇に決めている」といったように、お客様の心の中に、他人とは異なる、価値あるアイデア商品やサービスなりが、お客様の記憶に焼き付かなければなりません。この方法が、「記憶に焼き付く6つの原則」というものです。 英単語の頭文字から「 SUCCES 」と呼んでいます。 ❶単純明快である( S imple) ❷意外性がある( U nexpected) ❸具体的である( C oncrete) ❹信頼性がある( C redible) ❺感情に訴える( E motional) ❻物語性( S tory) みなさん、いちいち説明がなくてもご理解できることと思いますが、2つだけ補足いたします(興味のある方は、『アイデアの力』をチェックしてみてください)。 まず1点目は、❶の「単純明快である」です。皆さんその道のプロであり、専門家です。 専門家は、アイデアを出すところまでは問題ありませんね。しかし、いざ、他人に伝える段階になると、うまくできないのです。 私もそうですが。なぜかというと、「自分が知っていることは、他人も知っているはず」、と思い込んでしまいます。これを「知の呪縛」と言うそうです。 だから、他人の立場になって、容易に理解し、納得できるように、分かり易く、シンプルな言葉で伝えることに注力しなければならないということです。❶は、❷から❻とも関連していますので特に重要です。 2点目ですが、❻の「物語性」です。物語には、「シュミレーション」(いかに行動すべきかの知識)と、「元気づけ」(行動する意欲)という2段階の効果があると言われています。みなさん、伝記を読んだ時のことを思い出していただければ、容易に理解納得できることと思います。 最後に蛇足になるかも知れませんが、発想するアイデアは何でもよいわけではなく、「理念経営」を目指す以上は、ベクトルが合致していることが大切ですね。、、、やはり蛇足だったかも? <TOPページへ> http...