48)「理念経営システム」概要と構成要素(その3:矛盾のマネジメントとは)
みなさん、こんにちは!
「矛盾をマネジメントすることが、経営の本質」であるといわれます。
企業の組織要素(8S)の中でも、環境要素(8C)の中でも、あるいは、組織と環境の組み合わせ(8S×8C)のなかでも、どうしても論理的に管理や統制ができない対立点や矛盾点が生じます。経営者としては、これらの矛盾を解消し、マネジメントすることで、更に一歩発展していくことが可能となります。
複雑なビジネス環境の中で、この矛盾を解消するためのベストの解は、教科書にはのっているわけでもなく、誰にもわかりません。しかし、解消するためのアプローチの仕方、作法があります。以下、『共感経営』野中郁次郎・勝見明共著(日本経済新聞出版)より引用し、私なりに補足しながら、皆さんとシェアしたいと思います。
矛盾点を解消する際、論理だけでは矛盾に対処することは難しいでしょう。
「論理』は「矛盾する関係性」(ことがら「A」、ことがら「B」の対立の状態)を、「真っ向からぶつかり合い、おたがい譲歩する余地が全くない状態」(哲学用語で「二項対立」と呼ぶようです)としてとらえようとします。
二者択一の考え方では、「A」、「B」それぞれの、長所・短所をリストアップし、論理的、分析的にどちらがよりよいか総合し、選択します。したがって、すくなくとも現状の「A」や「B」よりベターな解は導き出せませんね。
経営者は、矛盾を解消し、発展のための、「よりベターなアイデア」を出さなければなりません。
そこで、矛盾対立していることがら(対象)に共感(単に外側からみているのではなく、対象に感情移入し、深く立ち入り、内部からとらえること)するアプローチが福音となり、光を放ちます。
矛盾する関係性の文脈に入り込み、内側からとらえなおすと、対極的で相容れないように見えていたことがらの間に、実は「連続した関係性」(俗にいう、「シームレスにつながっている」ということでしょうか)があることがわかります(すべてのことがらは、細部も含め、因果関係でつながっているので、当たり前で、自明の理ともいえるでしょう)。
そうなると、次には、状況に応じては、どちらも正しく、しかも境目がないような状態(哲学用語で、「二項動態」と呼ぶようです)の関係にあることがわかります。
そこでは、二者択一ではなく、両者両立の均衡点を探し出し、一見、矛盾する文脈に新しい意味付けや価値づけを行い、そこから、問題解消のための新たな仮説を導いて(「発想」といいます)、最善最適な解を導きだすことができるのです。
これは、俗にいう、〈「弁証法」により第三のアイデアを導き出すこと〉、ともいえるでしょうか。
ご説明は以上です。
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