60)コーヒーブレイク:「フェーズフリー」って何?

 みなさん、こんにちは!
今日は、久々のコーヒーブレイクで一息入れましょう!

「フェーズ」(phase)には、「段階」、「局面」、といった意味があります。
たとえば、ビジネスでは、製品開発のプロセスの進捗「段階」や「局面」の変化を示す場合があります。「フェーズ1」とか「フェーズ2」とか言いますし、「新しいフェーズに入った」、などと表現しますね。

コロナ禍以降、とくに「フェーズフリー」という言葉よく使われるようになっているようです。
その場合の意味は、「平常時」と「非常時」の2つのフェーズ間を自由(フリー)に行き来できる、という考え方のようです。

言い方をかえれば、「身のまわりにあるモノやサービスを、平常時はもちろん、非常時にも役立てることができるようにしよう」、ということです。

災害の多い日本では、今後、平常時から、非常時対応を前提にする柔軟な社会システムづくりが要求されるようになるでしょう。

今回のコロナ過でもいろいろな事例があります。

まだ発症していない感染者の収容施設として一般のホテルが活用されました。
ホテルも多目的利用への柔軟さ(フレキシビリティ)が益々必要になります。
予め、「非常時には医療施設としての利用を想定した設計」にしておくことなどが要求されるようになるでしょう。

「ものづくり」においても、今回、「マスク不足」がありました。
日本では、生産しているメーカーがわずかであり、外国からの輸入に頼る始末でした。
国内メーカーでも、生産体制の見直しにより、マスクを生産をするところが現れたようです。

「フェーズフリー」は、メーカーではどういう意味があるのか、もう少し掘り下げて考えたいと思います。

生産工場では、「製品A」を生産していて、次に「製品B」に切り替える場合に、生産設備では、基本的には「段取り」という作業が必要になります。
切り替えには時間がかかります。その間、設備は止まります。
生産設備を長時間止めることは、生産性が悪化(時間当たりの生産量が減少)しますので、基本的には望ましくありません。
正解は、現実的な対応策として、設備の停止時間分の「在庫」をもつことになります。
上記の例で言えば、「製品A」をあらかじめ生産して、「在庫」として確保しておくことで、生産性悪化を防ぐことができるのです。
さらに、生産性を向上するためには、この「段取り時間」を短縮し、確保すべき「在庫」を減らすことしかありません。究極は、「無段取り化」という考え方があり、その場合、在庫は不要になります。

ある経営学者が、「ものづくり業界では、「平常時」と「非常時」のサプライチェーン(原材料や製品などの供給の流れのことです)の両方をもたなくてはならない。ただし、この切り替えを素早くできることが前提である」と言っていました。
この場合も、やはり「段取り時間の短縮化」がポイントになります。

もちろん、段取り時間を短縮するにはチエやイノベーションが不可欠です。

一般の社会システムにおけるフェーズフリーも、以上のような、「ものづくり業界の考え方」が必要になるかもしれません。

「平常時」に、「非常時」に備えるということは、「非常時」対応の「在庫」が必要になるということです。
この場合の「在庫」には、「モノ」だけではなく、「余分なスペース」、「設備」、場合によっては、非常時の応援部隊である「人」なども含まれることでしょう。
「在庫」は必要ですがムダです。使わないときは、何ら「付加価値」を生まないからです(「保険」という価値はあるかもしれませんが)。

そこで、チエやイノベーションにより、最小時間で切り替え、「在庫」を最小限にしなければなりません。

今後は、「平常時」と「非常時」の2つのフェーズを自由に行き来できるように、チエやイノベーションが、益々求められるようになるでしょう。
ビジネスチャンスが大いにあるといえるでしょう。


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