78)経営戦略について(その7:現状分析型戦略と未来志向型戦略)

 みなさん、こんにちは!

戦略の「適合』の仕方の、3つ目です。

一般的に、「戦略策定の仕方」として、「時間の流れ(時間軸)」に注力すると、2つの型

がありそうです。

1つは、過去を含む「現在」に、戦略発想の起点(根拠)を置くもので、「現状分析型戦

略」と呼ぶことにします。もう1つは、「未来」に起点(根拠)を置くもので、「未来志向

型戦略」と呼ぶことにします。

順に、それらの特徴を、ご説明いたします。

「現状分析型戦略」は、「過去及び現在」の状況を、「固定された所与の条件」と見なしま

す。したがって、「未来」は、過去から現在の、「延長上にある」と考えていることになり

ます。「仕事のマネジメント」としては、いわゆる「PDCAサイクル」を回すことが、基本と

なります。

ご存知の方が多いと思いますが、「PDCAサイクル」の「PDCA」とは、「P:プラン(計

画)、D:ドゥー(実行)、C:チェック(確認)、A:アクション(見直し/フィードバッ

ク)」のことです。確実に成果を出すための、マネジメント手法の1つとされています。

 一方、「未来志向型戦略」は、未来の「ありたい姿」を起点にして、戦略を発想します。

現状の組織や取り巻く環境は、「絶えず変化していて、種々の対立や矛盾点がある」と、考

えています。したがって、「仕事のマネジメント」としては、「まず計画ありき」ではな

く、「都度、目の前の状況の、背後にある文脈や本質的なことがらを見抜き、ありたい姿を

見据えつつ、最適な手を打っていく」といった、やり方をします。

「現状分析型戦略」に対して、「仕事の流れ」が、あたかも「物語を紡ぐ」ようであるた

め、「物語り戦略」とも言われています。詳しくは、『共感経営』野中郁次郎/勝美明共著

(日本経済新聞出版)をご覧ください。

最後に結論として、以上を、私なりにまとめます。

◆「現状分析型戦略」は、成果を出すためには、どうしても「一定時間を必要」とする場合

に適しています。例えば、「人材育成」、「設備投資」、「風土改革」など、といった場合

です。もちろん、環境が、それなりに安定していることが、前提になります。

ただ、現在の自動車業界のように、ビジネス環境が激変していて、先行きが読みにくい場合

については、「シナリオプラニング」と言う手法があります。

時間軸を引き延ばし、地球規模の潮流(トレンド)を踏まえて、自社や業界に起こりうる未

来を想定します。そこから逆算して、今後の戦略の方向性を考える、といったものです。

『経営の論点2020』BCG(日本経済新聞出版社)でも紹介されていますので、ご関心のある

方は、是非、ご覧ください。

プロジェクトの運営では、組織の総合力を活かしやすい「中央集権型」や「トップダウン

型」が、効率的であり、適していると考えられます。

◆「未来志向型戦略」は、適合対象の状況や環境の変動が激しい場合、特に有効と思われま

す。例えば、「顧客開拓」、「新商品開発」、「ビジネスモデル開発」など、といった場合

です。また、「自律分散型リーダーシップ」による運営が適していると思います。

最近は「組織のデジタル化」が進んでいるので、「ネットワーク型組織の構築(DX化)」に

より、組織の総合力を活かしつつ、効果的、効率的なマネジメントが、可能となってきてい

ます。


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