74)経営戦略について(その3:経営戦略の本質)現実と非現実とのたくみなミックス

 みなさん、こんにちは!

戦略は、中核戦略であるビジョン(What)と、それを実現するための展開戦略(How)とから成ります。
また、ビジョンは、経営目標、ありたい姿、経営課題より成り、なかでも、経営目標(売上、利益など)の決定が極めて重要であることも述べました。

そもそも戦略とは、どういう機能なり役割があるのでしょうか。
事業計画を立てるときに、まず組織能力としての現実の姿(現状レベル)を把握します。そして、ターゲットとしての目標を設定します。

当然ながら、現状レベルと、ターゲットとしての目標レベルには、ギャップ(へだたり)があります。このギャップを埋めるためにある活動が、管理でありマネジメントといえるでしょう。

ここで、重要なことは、ギャップの大きさです。ギャップが小さければ、戦略を立てるまでもなく、戦術をたて、改善するレベルで容易に目標を達成できるでしょう。
しかし、目標を達成しても、事業計画としては、さみしい限りです。組織や取り巻く環境の変化が激しく、競争も厳しいなかで、組織の存続は全く保証されないでしょう。

一般に、「目標レベルは、背伸びすれば到達できるぐらいが適切である」と、よく言われてきました。しかし、現在は、そういった考え方は通用しないと私は思います。

背伸びどころか、ジャンプをしなければならないと思います。
いいかえると、現実的な目標ではなく、まずは、思い切った、非現実的な目標を、設定してみることが大切と考えます。

松下幸之助先生は、「売り上げを2~3割増やすといったレベルの目標設定では、必死で頑張ることはなく、大した知恵も出ないので、へたをすれば未達成に終わる可能性が高い。
むしろ、2倍、3倍の目標を設定したほうが、皆必死で頑張るので、目標は未達成になるかもしれないが、成果としては格段と大きくなる」といった意味のことを言われています。

これには、「人間の知恵には限りがない」といった、「人間性尊重の哲学」がベースにあると、私は思います。

以上から、「非現実的な目標設定することは、必ずしも非合理的なアプローチではない」と、言えるでしょう。
具体的なアプローチとしては、私は以下のように考えています。

現実にとらわれずに、おもいきった「目標」(売上や利益)を設定する。
❷目標を達成するための「ありたい姿」(顧客、商品/サービス、経営資源の組み合わせ等)を、構想する。
❸「ありたい姿」を前提(仮説)として、頭の中でイメージしながら、シュミレーションしてみる。
❹どうしても、目標を達成できそうもない場合は、目標を少しだけ下げ、以上を繰り返す。
❺達成が可能な、全力でジャンプした目標を決定する。
❻決定した目標の前提となる「ありたい姿」について、経営課題を抽出する。
❼経営課題を達成するための戦略(展開戦略)を策定します。
それぞれの戦略について、策定時にすべて明確にする必要は、必ずしもありません。しかし、最初の一歩を踏み出すため「とっかかり」だけは、知恵をだし、具体化しなければなりません。

以上より、経営戦略の本質は、「非現実な目標を設定することからスタートし、現実のレベルから遊離することなく、ギリギリの可能性を残した目標を決定することにある」と、言えるでしょう。

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