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53)経営理念について(その3:あるべき理想の姿)

 みなさん、こんにちは! 今日は、経営理念の構成要素の1つ、「あるべき理想の姿」について学んでいきたいと思います。 「あるべき理想の姿」とは、コラム51で既述したように、「組織の目的」である「存在意義」の、「具体的表現」である、と私は考えています。最近、はやりの言葉でいえば、「パーパス」のことでもあります。 組織の「存在意義」について、もう少し深堀りしたいと思います。 「存在意義」とは、私の尊敬するメンターによれば、「わが社は、何のために存在するのか。なぜ、存在しつづけなければいけないのか。なぜ、この社会が、国が、世界が、我が社を必要とするのか」という問いに対する答えを求めつづけることで、最終的には得られるもののようです。 さらに具体的な考え方があり、分かり易いので以下ご紹介します。  問1:「我々は何者か?」(自らが 本質的かつ独自に提供可能な 強み はなにか?)。  問2:「世界の ニーズ は何か?」(経済的ニーズ、社会や人道的ニーズなど)。    問1と問2の答えの重なる部分が、「存在意義」である。 いいかえると、「存在意義」とは、「社会の特定の ニーズ に対して、自社独自の 強み を活かした 価値提供 ができること」といえるのではないかと思います。 この得られた「存在意義」の「具体的表現」が、「あるべき理想の姿」となります。 ここで、一息いれたいと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

52)経営理念について(その2:経営指針と行動指針)

 みなさん、こんにちは! 前回、「経営理念」は、「基本理念」、「あるべき理想の姿」、「ミッション」の三点セットということでご説明しました。 今日は、「経営指針」と「行動指針」についてご説明したいと思います。 両者とも、「経営理念」という、経営の「基本的な考え方」を、日々の業務の中に浸透させ、生かされるよう、より具現化するためのものです。つまり、具現化するためのガイドライン(指針)となるものです。 (以下、コラム7)と若干、重複しますが、ご容赦ください。) まず、「経営指針」についてです。 「経営指針」は、会社経営の責任をもつ、社長や経営幹部が守るべき「行動指針」といえるでしょう。これは、「経営の羅針盤」とでもいえるものです。「経営マインド」、「経営判断基準&経営コンセプト」、「経営ルール」の3点セットです。(興味のある方は、『ビジョナリーカンパニー➁』をご覧になってください) 「行動指針」については多くの方がご存知と思います。リッツカールトンのクレドが有名ですね。「私は「組織全員のとるべきマインド(姿勢・習慣・態度)」と定義しています。「私たちは、こういうマインドで日々の仕事をしています」ということです。もちろん、社長や役員もまもらなければなりません。 昨今のビジネス環境の変化は、非常に激しいものがありあります。こういった時にこそ、ブレない経営のかじ取りが必要です。経営の羅針盤としての「経営指針」の価値を見直す必要があるのではないかと、私は確信しております。 さて、「経営理念」の三点セットは、経営行動の「指針」(規範)とも言われています。そういった意味では、「経営指針」や「行動指針」は、「経営理念」をより具体化した、実践的な「指針」といえるでしょう。 したがって、「経営理念」の三点セットに、「経営指針」と「行動指針」を加えたものも、広義で「経営理念」と呼んでもよいのではないかと、私は思います。 私自身、広義の「経営理念」を、「企業理念」という呼び方をして、あえて区別することもありましたが、紛らわしいので、今後は一本化したいというのが、現在の私の思いです。 また、三点セットの1つ、「基本理念」のことを、狭義の「経営理念」と呼ぶ場合が私自身もありました。これも紛らわしいので、「基本理念」は、「基本的で最重要な価値観」(前回コラムでご説明)ということで、、今後は「...

51)経営理念について(その1:経営理念とは)

 みなさん、こんにちは! 経営理念について、あちこちで、やや断片的に述べてきました。今一度、体系的に、「経営理念」について学んでいきたいと思います。 経営理念について、松下幸之助翁のことばを以下引用します。「私は、60年にわたっ事業経営にたずさわってきた。そして、その体験を通じて感じるのは 経営理念 というものの大切さである。いいかえれば、” 会社は何のために存在しているのか 。 この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行っていくのか ”という点について、しっかりとした 基本の考え方 を持つということである。、、、」 ここから、「経営理念」とは、二つのことについての「基本的考え方」である。第一は、組織の理念的目的(この企業は何のために存在するか)。第二は、経営のやり方と人々の行動についての基本的考え方。 つまり、「組織の目的についての理念(存在意義)」と「経営行動の規範についての理念」、その2つの部分から経営理念は構成されている。 (以上、『経営学入門』より引用) 前者「組織の目的についての理念(存在意義)」は、「あるべき理想の姿」(パーパス:存在意義)のことであり、さらには「基本理念(基本的で最重要な価値観)」がベースにあるといえるでしょう。 後者「経営行動の規範についての理念」は、「経営の目的」(事業の方向付け)と「経営目的を達成するための方法」の2つより構成され、私はそれを「使命」(ミッション)と位置付けています。 したがって、「経営理念」は、「基本理念」、「あるべき理想の姿」、「ミッション」の三点セットで、私は考えています。 次回は、「経営指針」、「行動指針」についてご説明する予定です。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

50)コーヒーブレイク:世界中で進むアフターデジタル化で、メーカーの危機到来か!?

 みなさん、こんにちは! 最近のビジネス界では、「アフターデジタル」という言葉が、あちこちで聞かれるようになりました。 「アフターデジタル」とは、一般の消費者や組織ではたらく人にとって、オンラインとオフライン(ITネットワークとつながっていない)をいちいち区別しない、融合したものと捉える「思考方法」といわれています。それくらい、ITネットワーク化が進み、オフラインはやがてなくなるのではないかとさえいわれています。(私自身は、個人間のフェースツーフェースの接点は、それなりの価値があるので完全になくなることはないと考えています) ユーザーにとって、オンラインやオフラインを敢えて区別せず、生活の身近で、最も使いやすく、便利なものを選択するということが一般的になるのではないでしょうか。 アフターコロナ禍という急激な社会変化により、企業経営は、人を集めないことを前提とした業務、サービス、販売、開発などへの変化対応を迫られています。例えば、最近の日本政府は、コロナ禍で弱点として露呈された、組織やしくみの目に余る非効率さに対する、早急な対策を進めようとしています。目的が全てOKとは思えませんが。DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みの重要性がさらに増しているように見えます。 ここからは、モノづくり業界に目を移します。今日の中心的論点です。こういったアフターデジタル化、DX化への加速は、あらゆるビジネス界や産業界でも大きなトレンドの中にあるといえるでしょう。 そこでは、今後の新しい産業構造でのサバイバル方法(生き残り方)はどうなるか、を考えぬかなくてはなりません。 すでに、アフターデジタル型の産業構造の姿として、世界中で、いろいろな事例が散見され、日本でも少しづつではありますが、現れてきているようです。 状況を整理すると、メーカーが君臨する「製品販売型」(ものを顧客に売っておしまい。いわゆる「売り切りモデル」)が、今までのモノづくり業界の中心的な存在でした。しかし、アフターデジタル化が急速に進むと、「行動データ」(顧客接点から得られる、顧客が実際何を買い、その後どうした等のデータ)を保有し顧客の「状況」を理解できているプレーヤーが、どうしても強くなるようです。「(顧客) 体験提供型 」の産業構造になるといったことが言われています。これが可能になるのも、DX化や...

49)経営の「知的思考能力」が問われる時代

 みなさん、こんにちは! 経営者の役割や必要な能力など種々のべてきました。今回は、「決断力」を軸とした、「知的思考能力」ということでまとめてみたいと思います。くわしくは、(『経営の知的思考』伊丹敬之著)をご一読されることをお勧めいたします。 経営の世界には、現場のリーダーによる「小さな決断」から、経営者による「大きな決断」まで、さまざまな決断があります。 結論として最初にいえることは、「 決断に至るまでの基本構造 」は、「 直観 で 発想 し、 論理 でその発想(構想やアイデア)を 検証 し、そして検証した後に、最後は 哲学 (独自の肝となる考え方や持論)で 跳躍 (ジャンプして溝や谷を越える)する 」ということです。 したがって、「直観力」が鈍ければ、独創性があり画期的な「発想」は生まれず、「論理力」が低ければ発想の良し悪しの「検証」はうまくいかず、「哲学」があいまいで、肝が据わっていないようでは、最後の「跳躍」(決断後の責任をとるという「覚悟」の有無が絶対的必要条件)はできないことになります。 ここで、企業の最高責任者として、「大きな決断」ができることは、企業としての持続的成長・発展にとって最重要事項です。「問題の先送り」などし続けているようでは、企業の死活問題にもなりかねません。 経営者としては、良い「決断」をするためには、「直観力」、「論理」、「哲学」がセットになっていることを、しっかり認識し、腹に落とし、これらの力を日々の実践の中で磨き続けなくてはならないと思います。なかでも、「直観力」や「論理力」は、参謀などでの代替が多少効くかもしれませんが、大きな「決断」には、大きな、重い責任が伴います。最高責任者である社長しかできないものであり、とくに重要と考えます。 決断を支えるものとして、「論理力」によりしっかり「検証」できることもありますが、最後の決断を可能にするものが「哲学」のようです。 ここで改めて確認しておきたいと思いますが、ここでいう「哲学」とは、「哲学全集」とかいった、学問的、教科書的なものではありません。 「世の中の人間や、社会、政治、技術などはどう動いていくのか(道理)」について、自分が納得し確信できる、肝となるような独自の考え方であるといえるでしょうか。「道理に対する思い入れ」、でもあります。よくいわれる「持論」といってもいいのではない...

48)「理念経営システム」概要と構成要素(その3:矛盾のマネジメントとは)

 みなさん、こんにちは! 「矛盾をマネジメントすることが、経営の本質」であるといわれます。 企業の組織要素(8S)の中でも、環境要素(8C)の中でも、あるいは、組織と環境の組み合わせ(8S×8C)のなかでも、どうしても論理的に管理や統制ができない対立点や矛盾点が生じます。経営者としては、これらの矛盾を解消し、マネジメントすることで、更に一歩発展していくことが可能となります。 複雑なビジネス環境の中で、この矛盾を解消するためのベストの解は、教科書にはのっているわけでもなく、誰にもわかりません。しかし、解消するためのアプローチの仕方、作法があります。以下、『共感経営』野中郁次郎・勝見明共著(日本経済新聞出版)より引用し、私なりに補足しながら、皆さんとシェアしたいと思います。 矛盾点を解消する際、論理だけでは矛盾に対処することは難しいでしょう。 「論理』は「矛盾する関係性」(ことがら「A」、ことがら「B」の対立の状態)を、「真っ向からぶつかり合い、おたがい譲歩する余地が全くない状態」(哲学用語で「二項対立」と呼ぶようです)としてとらえようとします。 二者択一の考え方では、「A」、「B」それぞれの、長所・短所をリストアップし、論理的、分析的にどちらがよりよいか総合し、選択します。したがって、すくなくとも現状の「A」や「B」よりベターな解は導き出せませんね。 経営者は、矛盾を解消し、発展のための、「よりベターなアイデア」を出さなければなりません。 そこで、矛盾対立していることがら(対象)に 共感 (単に外側からみているのではなく、対象に感情移入し、深く立ち入り、内部からとらえること)するアプローチが福音となり、光を放ちます。 矛盾する関係性の文脈に入り込み、内側からとらえなおすと、対極的で相容れないように見えていたことがらの間に、実は「連続した関係性」(俗にいう、「シームレスにつながっている」ということでしょうか)があることがわかります(すべてのことがらは、細部も含め、因果関係でつながっているので、当たり前で、自明の理ともいえるでしょう)。 そうなると、次には、状況に応じては、どちらも正しく、しかも境目がないような状態(哲学用語で、「 二項動態 」と呼ぶようです)の関係にあることがわかります。 そこでは、二者択一ではなく、 両者両立の均衡点 を探し出し、一見、矛盾する...

47)「理念経営システム」概要と構成要素(その2:組織と環境の構成要素、8Sと8C)

 みなさん、こんにちは! きょうは、「その2」として、組織と環境の構成要素、「8S」と「8C」をご紹介します。 まず、組織の構成要素、「8S」をご紹介します。「7S」といえば、マッキンゼー社のオリジナルとしても有名です。ご存知の方もみえるかも知れませんが、簡単にご紹介します。 ➀Strategy(ビジョン/戦略/計画)→ コラム(46)の「4つのレイヤー 」の Ⅰ にリンク ➁Staff(人材/専門能力)→同上の Ⅱ にリンク ➂Style(姿勢/管理スタイル)→同上の Ⅱ にリンク ➃Skill(技術/手法/手順)→同上の Ⅱ にリンク ⑤Structure(組織機能)→同上の Ⅲ にリンク ⑥System(しくみ・ルール)→同上の Ⅲ にリンク ⑦Shared Value(共通の価値観)→同上の Ⅳ にリンク 「理念経営」としては何かが不足していると考え、結果として、 ⑧Spirit(企業理念や経営理念 )を追加いたしました。 次に、環境構成要素の「8C」をご紹介します。3C、5Cはそれぞれマーケット分析でよく知られています。私は、隣接環境(7C)とグローバル環境(1C)で合計、8Cを基本にしています。ビジネスモデルが多様化・複雑化しているので、隣接環境では7Cに増やしています。さらに、市場がグローバル化しているので、グローバル環境(PEST)を加え、合計8Cになります。8Cを下記します。 ➀Company(組織) ➁Customer(顧客/消費者) ➂Client(取引先) ➃Cooperator(協力先) ⑤Competitor(競合) ⑥Community(地域社会) ⑦Contorol(規制) ⑧Circumstance(マクロ環境:Political(政治)、Economical(経済)、Social(社会)  Technique(技術) 「組織(Company)」と「環境」のそれぞれの8要素を分析すること、さらには、「組織」と「環境」とを組み合わせるマトリックス(8要素×8要素)をベースに経営上の問題点や課題、対立点や矛盾点を分析することで、課題や矛盾点をマネジメントし、解決していきます。 以上、「理念経営システム」概要と構成要素(その1)、(その2)を合わせ、総合的に分析し、マネジメントしていくことを、「理念経営システム」の基本としています...

46)「理念経営システム」概要と構成要素(その1:組織の機能・しくみ)

 みなさん、こんにちは! 今日は、「理念経営システム」について、ご説明いたします。 全体のイメージですが。「理念経営を遂行する組織」を三角形とします。それを取り巻く二重の、同心円があります。内側の円は、組織の「隣接環境」(ビジネス業界)、外側の円は、「グローバル環境」(=マクロ環境:政治、経済、社会、技術など)です。 今日は、この三角形の「組織の機能・しくみ」のご説明になります。 理念経営の重点テーマとしてすでに、「理念ベースのマネジメント」として、ご説明していますが、簡単に復習します。: マネジメントの課題は、3つあります。 ➀その組織の環境(上記の2つの円です)をマネジメントする。 ➁組織内部の人間集団をマネジメントする。 ➂組織と環境それぞれの中での問題点(対立点という意味で、以下、「 矛盾 」といいます)、組織と環境間の矛盾をマネジメントする。矛盾のマネジメントが経営の本質であり、矛盾こそが発展のエネルギーの源泉。 (以上、『ゼミナール経営学入門』(伊丹敬之/加護野忠男)より) 以上全体をイメージしていただき、今日は、組織の経営システムの機能・しくみについて、 私の考え方を、ポイントのみご説明いたします。 組織である三角形は、4つのレイヤー(層)から構成されます。一番上から、「Ⅰ、 基本方針 」(企業理念、ビジョン、戦略、事業計画など、全体を指します)、「Ⅱ、 活動 」(企業の活動全てです)、「Ⅲ、組織・しくみ」(Ⅱの活動全てを支える、業務フローやルールなどを指します)、「Ⅳ、カルチャー」(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを通じ、特定のDNA(遺伝子)が組織に浸透し形成される)です。 Ⅱの活動について、若干補足いたします。企業活動の全て、と上述しましたが、私の考え方をご紹介します。 活動には3種類あります。 ➀創造(クリエイション)活動 ➁革新(イノベーション)活動 ➂業務維持/拡大活動 上記3つの活動は、Ⅰの「基本方針」の下に、さらに、Ⅲの「組織・しくみ」に支えられながら活動をしていきます。ⅠやⅢに埋め込まれたDNA(遺伝子)が活動に定着し、組織に浸透定着することで、目指す創造性あふれたカルチャーが形成されることが可能となります。 次回は、組織や環境の機能的要素についてご説明いたします。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/...

45)理念経営のあるべき姿

 みなさん、こんにちは! 理念経営を担当する経営トップやリーダーのあるべき姿、条件などお話ししてきました。 今日は、「理念経営のあるべき姿」について、私の基本的な考えをご紹介したいと思います。皆さんのご参考になれば幸甚です。 「あるべき姿」 組織が目指す、豊かで幸福な社会づくりのための「理念・使命・ビジョン」を全員で共有し、創造性にあふれたカルチャーをつくる。 「行動指針」 1、全員が日々、自発的に活動し、具体的な成果を出し、仕事能力(技術)と人間力(精神)を共に高めることで、働きがいあふれる職場づくりをする。 2、組織全体が日々「付加価値」を生み出し、お客様に感動と喜びを与え、豊かで幸福な社会づくりに貢献する。 ここでは、詳細は割愛させていただき、ポイントのみご説明いたします。 「あるべき姿」とは、いいかえれば、理念経営としての「理想の姿」のことです。もちろん、理想ですので、遠大であり、簡単に達成できるものではありません。 「行動指針」とは、「あるべき姿」に、ぶれずに、一歩一歩着実に近づくための、個人レベル、組織レベルに要求される指針や規範となるものです。 「あるべき姿」(理想)と、それを具現化するための「行動指針」がセットになっています。 このセットを、広い意味で「あるべき姿」と表現しているつもりです。 もう一点、補足いたします。 広義の「あるべき姿」の底流には「利自即利他」の哲学があります。これも人間の生き方としてのあるべき理想の姿、といえるのではないでしょうか。 なお、上記の、理念経営の「あるべき姿」、「行動指針」については、ビジネスパートナー、仲沢一志氏とのコラボで創出されたものです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

44)あるべき経営者の姿(その5:経営者が育つ三つの条件)

 みなさん、こんにちは! 今日は、あるべき経営者の姿、その5です。 経営者として大きく成長していくための「条件」や「心構え」として、以下の3点に集約されるのではないでしょうか。 ➀高い志:やはり成長の原点は、高く遠くを見据える「志」であり、強い「使命感」にあるといえるでしょう。同時に、現場といいますか、足下を見つめる目線も忘れてはらないでしょう。志が高いほど、理想と現実のなかでの矛盾(種々の対立点や問題点)も大きくなりますが、正面から解決することで、その結果、成長ができるのではないでしょうか。志が低いと、大きな問題もなく、現状満足に陥ってしまうと思います。それでは事業大成の芽はないでしょう。また、大きな志は、魅力を放ち、多くのひとをひきつける効果もあるようです。 ➁仕事の場の大きさ・多様さ:仕事の責任範囲が、大きく、また、多様化すると、さまざまな問題や要因にぶつかります。それらに対し、責任をもって真剣に取り組まざるを得ない状況となります。人や組織を動かしながら、課題を一つづつ解決し、経験を積み、多くの知恵がえられます。そういったことで、成長につながるといえると思います。 ➂深い思索の場:読書やひととの対話から多くのことを学ぶことができます。さらには、現場の様々な問題に自ら深く立ち入り、問題の本質に迫り、考え、思索しつづけ、解決していくことで、思考力や、経営に必須とされる「論理性」が身についてくると思います。現場の現実・現象の全てには、「縁起の理法」(原因結果の法則)が内在しているといわれています。矛盾を解決し、結果を出すためには論理性が不可欠になります。したがって、「論理性が鍛えられる」、ということができるでしょう。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

43)あるべき経営者の姿(その4:経営者の反面教師)

 みなさん、こんにちは! 今日は、あるべき経営者の姿、その4です。 反面教師とは、反省の材料となる人や事例を指すようです。 経営者にとって、反面教師として注意すべき5つの事例を、下記します。反省の材料になればと思います。(『よき経営者の姿』(伊丹敬之著)より) ➀私心が強い:「分配者」として、経営の成果の分配で、自分の利害を優先するという意味での私心が強い人は、人がついていかないし、間違った判断もしやすい。 ➁人の心の襞(ひだ)がわからない:リーダーは、人々がフォローするからこそリードできる。人々は、みんな心をもっている。その襞を理解できずに無神経なことを連発する経営者には、結局、人はついていかない。 ➂情緒的にものを考える:他人の心の襞を理解し、しかし、自分は情緒に流されてものを考えることはしないことが望ましい。「経営者にとって一番必要な条件は、論理的に考える力をもっていることである。なぜなら、経営は論理の積み重ねだから」(小倉昌男)。論理が心理的な迷いの中の判断のよすがになる。 ➃責任を回避する:責任をとることが経営者(=代表者)の仕事なのに、回避する性癖のある人がよき経営者であるわけはない。責任を回避するひとは「いい人」であることが多い。自分に対して厳しくないから、人に対しても厳しくないので、ある程度の支持は集まるが、八方美人で、結局何も決めないので、経営者としては危険大。 ⑤細かいことにでしゃばる:「経営とは、自分が何かを行うではなく、他人を通して事をなすこと」である。細かいディテールばかり目がいっては、全体感を失うし、総合判断はできず、大群の統率はできない。 以上です。いずれも、「徳ある経営者」を目指すには、避けて通れないものばかりと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

42)あるべき経営者の姿(その3:経営者の3つのタイプ別能力)

 みなさん、おはようございます! 今日は、あるべき経営者の姿、その3です。 経営者は、「徳あるリーダー」であることは、必須の条件と考えています。その役割や能力についてもすでにご説明しました。 理念経営の事業を担うためには、事業環境の変化への対応、組織の内部矛盾、組織と環境の間にある矛盾を常に解決していかなければなりません。そこで、私は、3つのタイプ別能力をもち(他のリーダーと分担してもよいと思っています)、リーダーシップを発揮しなければならないと考えています。以下、簡単にご説明します。 ➀ 事を興す能力 :まだ現実には存在していない、あるいは組織やその周辺ではほとんどみられないような事を興す能力です。何を興すのか構想し、その事を実現するためのアイデアを創出しなければなりません。「創造性(クリエイティビティ)」が求められます。事の成長を、「点、線、面」ということがありますが、ここでは、「点」に相当します。 ➁ 新たに興した事を進化させる能力 :従来事業の中で、新規の事を進めていく(ビジネスモデルづくり)能力です。古いものを刷新しながら、新しいものを成長させていくという、いわゆる「アントレプレナーシップ(変革)」が求められます。「点、線、面」でいえば、「線」になるかと思います。 ➂新規の「ビジネスモデル」に対して、新規事業としての マネジメント体制を整え(経営モデルづくり)、さらに事業として大きく発展させていく能力 です。経営目標を達成することと同時に、社会へ貢献することが求められます。「ビジネスリーダーシップ」といってもいいでしょう。「点、線、面」でいえば、「面」、あるいは「立体」といってもいいかもしれません。 なお、上述の3つの能力&リーダーシップに対して、「点、線、面」を中心とする基本コンセプトづくりでは、私のビジネスパートナーである仲沢一志氏のご支援をいただいております。改めて感謝申し上げます。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

41)あるべき経営者の姿(その2:経営者に必要な3つの能力)

 みなさん、おはようございます! 経営者にとって、必要な3つの能力を取り上げます。 生まれつき備えている場合もあるかもしれませんが、環境や教育、その中での努力により鍛えることのできるものと私は考えています。 1つ目が、「パワー」です。エネルギッシュなことです。精神力、肉体的能力の両面があると思いますが、両者は相互に関連していますので、両方が必要であり、バランスが大切と私は思います。 2つ目が、「決断力」です。「判断力」とは異なります。 判断と行動の間には、深い溝がある といわれています。したがって、判断力だけでは必ずしも行動につながらないでしょう。行動した、その結果に対する責任をとる「覚悟」ができていて初めて「決断」でき、行動につながるといえるでしょう。 3つ目が、「情と理」です。「理」だけでは、人は決して動きません。感情や心理で人間は動くといわれています。名経営者はそこをよく知っているようです。だから、彼らは必ず「情」の達人でもある、とよくいわれるのです。 以上の3つの能力を、日ごろから意識し、鍛え上げる努力をすることが大切であると、私は思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

40)あるべき経営者の姿(その1:経営者の役割)

みなさん、こんにちは! 理念経営のトップとして、徳あることが大前提となることは、すでに学んできました。 今回から、さらに具体的に、「あるべき経営者の姿」を探求していきたいと思います。 まず、「経営者の役割 」です。 私は4つに集約できると考えています。 ➀社会や環境に対して、先頭に立って働きかけ、防波堤となる、会社全体の代表者であり責任者 ➁組織内部の人々を束ね、統括し、事業を推進・発展繁栄させるリーダー ➂理念策定者であり伝道者 ➃承継者の育成者 みなさん、ご理解されていることばかりですので、具体的な説明は省略いたします。 現在のように、ビジネス環境や社会環境の変化が激しい中で、やはり4つとも重要です。 わたしとしましては、「理念経営」の観点から、➂の「理念策定・伝道」、➃の「承継者の育成」をとくに、重視したいと考えています。「理念なき経営では、経営の大義はない」、と考えるからです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

39)徳あるリーダーの条件(その3:5つの徳目「礼、知、信、義、勇」)

 おはようございます! 徳あるリーダーになるための「5つの徳目」について、学びます。 「礼」:礼儀正しく、目上の人や優れた人に敬意をしめす心、品性や折り目正しさ、秩序を重んじる心です。「覇道」(武力や権謀で支配する)ではなく、「王道」(徳をもって治める)への「入り口」と言われています。他の言葉でいうと「謙虚さ」といえるのではないかと思います。「謙虚さ」は、リーダーシップにランクをつけるとすれば、最高位にあるもの といわれています。 「知」:ものごとを感じ取る心、事実を知り、本質を見抜き、ものごとの道理がわかる、といった心のはたらき、といえるでしょうか。経営者にとって、「論理性」は不可欠であるといわれますが、その「論理性」のベースとなるのが、この「知」であり、きわめて重要なものといえます。 「信」:神仏への 信仰心 。仲間や他の人々を 信じる こと、と同時に、他の人々から 信じられる こと、といった意味があるようです。社会や組織では信頼関係が求められます。そのベースになるものです。「信用、信用、また信用」です。 「義」:是非、善悪を分ける力であり、「肝となる哲学」ともいえるでしょう。戦国ドラマで、武将がよく「大義はあるのか?」ということがありますが、この義のことですね。判断力や決断力のもとになるものです。 「勇」:ものごとに恐れないこと。勇ましいといったことです。「蛮勇」(義がない)ではだめです。「 義」にのっとった「勇 」であるべきです。決断力、実践力の源になるものです。経営者にとって、大きな成果をだすために、最後に必ず求められるものです。 先に述べた「仁」をもって、以上の5つの徳目を、日々実践し、磨きつづけることにより得られるのが、「徳」ということになります。オーラを放つ「徳ある経営者」をめざしましょう! <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

38)徳あるリーダーの条件(その2:「仁」とは)

 皆さん、こんにちは!  今日は、徳あるリーダーの条件(その1:徳とは)でお話ししました、「仁、5つの徳目、徳」という言葉のみで獏としていたので、それぞれの言葉の定義なり私なりのコメントで若干補足させていただくことにしました。 今回は、最初の「仁」です。 5つの徳目、「礼」、「知」、「信」、「義」、「勇」の基礎になるものです。それらを支える力です。 「仁」とは、分かり易い日本語で言えば、利他の心である「愛」であり、仏教用語で言えば「慈悲」という言葉で表現できるかと思います。「人生修行の道」の「原点」ともいえるでしょう。 「理念経営」とは、一言で言えば「理念ベース(人間性尊重の哲学)のマネジメント」という言い方を私はしておりますが、この「人間性尊重」のベースにあるのが、「仁」であり、利他の心である「愛」であり、「慈悲」です。 ここで、誤解しやすいのが「愛」ですが、少しコメントしておきたいと思います。 世の中では「愛」というと、「溺愛」とか「愛着」など、自分のものにしたいといった、どちらかというと「我欲的」なニュアンスがあります。ここでは、真逆の「利他の心」であり、「奉仕の精神」といった、意味で使っております。 ビジネスでは、「CS:顧客満足」とか、最近では「UX:顧客体験」という言葉がよく使われているようですが、 それらの根底にあるべきもの が、利他の心である「愛」です。「我欲」ベースでは短期的に成功することはあったとしても、長期的な発展・繁栄は決してあり得ないと思っています。 人生修行として徳を磨くためにも、またビジネスで真に繁栄するためにも、利他の心である「愛」が極めて重要であると、私は確信しております。理念経営を目指す経営者、リーダーにとって、必須の条件であると私は思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

37)徳あるリーダーの条件(その1:徳とは)

おはようございます! 理念経営の重点テーマの「Ⅲ、徳ある人材の登用」の中で、「徳ある経営トップ」という言い方をしております。しかし、「徳ある経営トップやリーダーの条件や、目指すにはどうしたらよいのか」、といったことについては、まだほとんどご説明しておりません。そこで、今回よりシリーズで、「徳あるリーダーの条件」について、あれこれ探求し、皆さんと学んでいきたいと思います。 今回は「徳とは」ということでご説明していきたいと思います。すこし固いと思われる方もみえるかと思いますが、「理念経営の原点」であり、避けて通るわけにはいきませんので、よろしく! 今回は、定義だけお示しして、皆さんのご参考に少しでもなれば、有難く思う次第です。 私の尊敬する人生の師であり、仕事上のメンター的存在でもある方の定義が、本質的でシンプルであり、自分としては心より感得し、納得しているものです。 「 自分が生きてきた時間のなかで、自分のことより他の人の幸福や社会の発展繁栄のことを考えた時間の方がはるかに多い人のことを、『徳ある人』と言います 」。 さらに、リーダーを目指すひとの心構えであり、条件でもあるものを、以下ご紹介いたします。 「立派な徳を身につけるためには、自己の修養、陶冶が不可欠です。 仁(修行の道の原点であり、人間愛でもある)が、「礼、智、信、義、勇」の徳目を縁として 徳(仁が結晶化 )となる。ゆえに、結晶を大きくするためには、仁を高めつつ、各徳目を磨き高めることが、リーダーを目指す者の心構えであり、条件 となります。 各徳目については、『論語の読み方』(渋沢栄一)など、目を通されることがお勧めです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

36)「経営理念」浸透活動の実践(まとめ)

 みなさん、こんにちは! 「経営理念の浸透が難しいわけ」について述べてきました。では、どうしたらよいのだろうか、ということで、以下、全社的な観点から、具体的に実践すべきことを、まとめてみました。詳細なご説明は省略させていただきたいと思います。ご参考になれば幸甚です。 Ⅰ:全社活動として  ➀リーダーの熱き念い   ・リーダーの心の底から湧き出る念い、「志」を熱く語る。  ➁リーダーの率先垂範   ・リーダー自らが、体現、実行する。  ➂業務活動などの 具体的活動の場づくり及び活発化  ※1   ・OJT等を中心としたコミュニケーションを、現場業務(共感の「場」でもあります)    を通じて実践する。 ※2(具体的活動の「共感の場」を通じて、コミュニケーションのみならず、人々の間の    相互作用による「学習の場」にもなる。結果、理念の浸透や 定着化 に対する効果も得         られる。)※1,2:’2020年11月2日追記      ➃朝礼等でのスピーチ   ・経営理念に関連する気づき、体験などを、皆の前で語る(トップだけでなく、でき        れば全員で順番に)。 Ⅱ:人事戦略・施策として  ➀研修体制の確率   ・入社教育、職能別、階層別等の就業教育の制度設計及び実施。  ➁「論文制度」の導入   ・自らの気づきや体験を、論文としてまとめる(A4用紙、1枚程度。文章にまとめる作    業を通じ、しっかり納得し、心の底に落とし込むことも可能になる)。  ➂本人自らの実行レベルを人事考課に反映   ・経営理念全般(ミッションや行動指針を含む)での実行状況を組織として評価し    人事考課に反映する。  ➃「入口管理」と「出口管理」   ・採用時から、経営理念全般との親和性をチェックする。また、退社時にも、本人が    納得した円満退社になるよう、手厚くケアする。  ⑤浸透度合いの定期的調査(サーベイ)   ・経営理念全般の組織への浸透度合いを、定期的に調査(意識調査など)する。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

35)コーヒーブレイク:「自由」には2種類ある

 皆さん、おはようございます! ビジネス書で、ある人が言っていたことですが、シェアしたいと思います。もちろん、ご存知の方もみえることでしょう。 自由を英語に訳すと、「フリーダム(Freedom)」と「リバティー(Liberty)」の2つがあります。検索でチェックしてみましたが、似通った意味でした。本来は、以下のような2つ意味になるようです。 フリーダム:「制約や負・不からの自由」を指し、制約がない状態に 解き放たれる ことを意味する。 リバティー:「主張して獲得する自由」を指し、自分の 権利や生き方を獲得する ことを意味する。 これはなるほどな、と思われる方も多いのではないでしょうか。 戦中・戦後の日本は、物不足で貧しく、配給制もあり、必要なものが簡単に手に入らなかったですね。その後、高度成長経済のもと、欲しい物は、なんでも手に入る時代になりました。 「物の豊かさ」から「心の豊かさ」へ、といわれる時代になりました。自分らしい生き方を追求したい、ライフスタイルのクオリティを上げたい、自分の使命を果たしたい、などという時代への変化ですね。 自由の中身が、上述の「フリーダム(Freedom)」から「リバティー(Liberty)」へかわったといえるのではないでしょうか。 最近の政治分野ですが、香港問題では、ニュースで民主化デモの状況がよく報道されていました。「香港に自由を!」というシュプレヒコール(デモ参加者がスローガンを大声で叫ぶこと)で、「フリーダム」という言葉を使っていましたね。 現在の日本では、アフターコロナということですが、戦後間もないころのように、食料など欲しいものが手に入りにくくなるといわれています。また、国も大きな政府をめざしているようですし。 まさに、「2つの不自由が混在するハイブリッドの時代」(これでは困りますが)、といえるのかも知れませんね。 何か、ご参考になればと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

34)経営理念の浸透が難しいわけ(その5:環境・風土の地ならしができていない)

 皆さん、今日は! 題記のシリーズ、最終「その5」です。 「経営理念を組織に浸透させる」ことは、たとえて言えば、畑に種をまくようなものですね。地面がコチコチだったり、石ころばかりでしたら、種をまいても根づくのはたいへんでしょう。 そういった場合どうしたらよいのでしょうか。 わたしは農業は素人ですので、手順など間違っていても多めに見ていただければ有難く思います。 まずは、石ころを除去します。また、コチコチな地面でしたら、鍬をいれ、耕すことが必要でしょう。乾燥している場合は、適度の水も必要でしょう。種をまくために、そういったもろもろの準備が、土地を耕すことであり、ここでいう「地ならし」のことです。 地ならしができていれば、細かなことはさておき、種をまけば、おそらく根づき、芽がでてくると思います。気温や日光などの条件もあるでしょうが、一定の時間がたてば、必ず、根づき、発芽すると思います。 会社組織においても、全く同じことが言えると思います。 新たに起業した場合、採用する人材は、老若男女、最近は外人など多種多様(ダイバーシティ)です。マインドも色々あります。採用の面接にも力をいれなくてはなりません(理念経営に、明らかに親和性のない方はたまにいますので、不採用が無難です。これは私の経験からも言えることです)。また、経営不振で会社の立て直しなどで、経営を任せられた場合なども、やはり、まずは、環境・風土の地ならしが必要になると考えます。 いくら徳のある社長やリーダーであっても、理念経営の柱である、「経営理念の種」をまくため、環境・風土の地ならしをしなければなりません。そして種をまき、あらたなカルチャーを構築していくという、ステップが必要と考えます。 こういった場合には、必ずしも正解があるわけではないと思います。また、一気に浸透させようとしても無理があると思います。やはり、荒れ地に鍬を入れ、地ならしするように、石ころ(種まきの障害となる石ころ、たとえば、やる気がまったくない、といったネガティブなマインド(遺伝子やDNA))等)をこまめにひとつづつ、粘り強く取り除いていくしかないでしょう。 具体的には、問題のあるリーダークラスの人間と、「個人面談」をし、相手により沿うようなスタンスで、しっかり話を聞き、熱く語り、共感・共振・共鳴していく、という地味な作業ではありますが、そうい...

33)経営理念の浸透が難しいわけ(その4:経営理念の教育体制ができていない)

 みなさん、こんにちは! 今日は、本当に雲一つない、真っ青な空です。たいへん心地よい天気です。台風一過ということでしょうか。頭もスッキリとしてきます。 今日はシリーズ、「経営理念の浸透が難しいわけ」の4番目、「経営理念の教育体制ができていない」、ということです。 大企業では、入社時、管理職への昇格時など、必要なところで、人事部門主体で、さらには、職場監督者と連携して、社員への教育やフォローアップ体制ができていると思います。 プログラムとしては、会社の創業時代からの先輩の言動や事業の歴史、さらには、その根底にある大切な精神や哲学(基本理念/大切にしている価値観)があります。また、会社としての使命や役割、将来の目指す姿、従業員として日々の仕事に対する行動指針など、集合教育の一環として学習する機会があるのが一般的といえるでしょう。 また、職場の部門長や上司などからの、実務を通じてのフォローアップや指導もあります。 そして、定期的な面談もあり、実務の成果やマインド面(いかに理念が腹に落ちているか)に関して、人事考課があります。結果はボーナスや昇格などに反映されていると思われます。 ただ、大企業においても、必ずしも徹底しているかどうかは、企業によって濃淡異なるのではないかとは思います。 肝心な中小企業や零細企業では、教育体制ができているケースは、私の経験では、皆無に近いと思われます。朝礼や勉強会などで、経営理念やミッションなどを皆で唱和し、社長からの訓示がある、といった状況がほとんどではないでしょうか。 人事考課については、ボーナスや昇格の査定をしなければならないので、社長や役員で、簡単なチェックシートや、役員や部門長、上司などの意見を参考にして評価し、最後は社長の鶴の一声で決まるのが、おおよその姿ではないかと思われます。 これでは、理念について学ぶ機会もなければ、実践しても、上司や会社トップが必ずしも本人の思いや行動について、公正に評価することは難しいように思われます。結果、組織に経営理念がしっかり浸透することは困難ではないでしょうか。 やはり、トップは理念を熱く語り、きちんと最小限を教育し、しっかりパフォーマンスを評価し、実践し努力している人に対しては、人事考課や昇給などに、公正/公平に反映することが基本と思われます。 おそらく、多くの、特に中小・零細企業では、社...

32)コーヒーブレイク:なぜ、日本はデジタル化が遅れているのか

 皆さん、こんにちは! 今朝、コラムの記事をよく読んでいただいているA氏より、コラムの文章で、もっと改行したほうが読みやすいですよ、とアドバイスをいただきましたので、早速、今回から改善します! 今回、「コーヒーブレイク」とタイトルに入れています。理念経営とは直結していないものの、大いに関連しそうな情報、最近ビジネス関連でのトピックス的な情報を、皆さんと是非シェアしたい場合のコーナーです。 さて、今朝、最近のベストセラー(『AFTER DIGITAL VER.2』藤井保文 日経BP)で 本日のお題、「なぜ、日本はデジタル化が遅れているのか」で、シンプルに応えられていたので、ご紹介します。すでに、ご存知の方も多いかもしれませんが。 著者は、様々な理由はあるけれども、それらを踏まえた上で、「あえて1つの理由を上げるるならば」という前提がありますが。その部分を下記します。 私は「日本はホワイトリスト方式、アメリカや中国はブラックリスト方式の管理体系だから」と答えます。(一部、国名を追記しました) 「ホワイトリスト方式(日本)」:「やっていいこと」を決め、それ以外はやってはいけない。例えばセグウエイ(米国で開発された、電動立ち乗り二輪車)が公道を走れないのは、まだ道路交通法の対象として整備されていないから。→ やっていいこと(OK)を決める 「ブラックリスト方式(米国、中国など)」:決められた「やってはいけないこと」以外は 基本OKとなるため自由度が高い。米国や中国ではセグウエイだろうと何だろうと一旦乗ることができ、社会問題化してから規制が入る。→ やってはいけないこと(NO)を決める みなさん、なるほど!と思われる方も多いでしょう。私が思うに、本来、日本も、ブラックリスト方式であったと思います。かつて日本では、仏教僧団では、「随犯随制」つまり「問題が発生してから、ルールをつくる」ということがお釈迦様の教えであったように記憶しているからです。なぜ、日本はこんなになってしまったのでしょうか?、、、。  いま新たに発足した管内閣が、デジタル化に総力をあげて取り組むということで挑戦し始めました。陰ながら、応援したいと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

31)経営理念の浸透が難しいわけ(その3:実践している社員を評価しない)

 みなさん、こんにちは? 今日は、結構肌寒い天気ですね。お互いに風邪をひかないよう注意しましょう! 経営理念の浸透が難しい、3つ目の理由です。たとえば、「お客様や仲間に喜んでいただく」という価値観にもとづき、自発的に仕事で創意工夫している社員がいたとします。しかし、そういった場合、仲間や上司など、あまりいちいち関心もなければ、評価しないのが、昨今では一般的ではないでしょうか。 私としては、さびしい限りですが。日々忙しいと、どうしても、いかに効率的に目の前の仕事をこなすか、結果を上司にいかに報告するかなど、頭の中は一杯になってしまうものです。そういった状況の中では、とくに、マインドといいますか、目に見えにくい精神的なことについて、お互いのちょっとした配慮や思いやりなどについて、関心はあまり持てず、結果、気づかなくなってしまうのではないでしょうか。 こういった場合について、お互いに認め合い、評価し合うような、コミュニケーションの場、共感できる場がないことが大きな障害になっているのではないか、というのが、私の持論です。 まずは、コミュニケーションができ、お互いのふとした思い(暗黙知)を共感できるような場を身近につくることが大切だと思います。そして、理念を実践した人に対し、皆で評価し合い、褒め合うことが大切であると思います。 ふと思い出したのが、有名なディズニーランドでの話です。お客様がディズニーランドで温かいサービスに触れ感動したりすると、後日、感謝の手紙がきたりします。朝礼などで、リーダーが、仲間の前で、サービスした当人を紹介し、便りを読み上げ、みなで祝福しあうことが日常的に行われている、といったことを記憶しています。 工場や一般の会社でも、仕事に没頭するのもよいですが、そういった場づくりをしていくことも、理念を浸透しカルチャーを形成し、進化させていくうえで、非常に大切なことではないでしょうか。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

30)経営理念の浸透が難しいわけ(その2:承継者の徳の問題)

みなさん、こんにちは! 今日は、先回に引きつづき、「経営理念の浸透が難しいわけ(その2:承継者の徳の問題)」について、ご説明したいと思います。 「理念経営の本質‐その4:徳ある人材の登用」にて、徳あるリーダーの育成、昇格しトップになるしくみ、また、徳あるリーダーを継承するしくみなどが整備されていることの大切さについてご説明しました。 いくら現在の経営トップが徳分があり人格が優れていても、後継者が、直近の利益にしか関心がなく、徳分とは縁遠いような人がトップになる場合があり得るからです。経営理念(企業経営の原点として大切な価値観)がトップから次のトップに伝わるはずがありません。 とくに、中小、零細の企業でよくみられる同族経営企業の場合は、身内から昇格される場合がほとんどではないでしょうか。一見仲がよく、問題がないように見える場合もありますが、実は落とし穴があります。 例えば、次期トップ候補に対して、世話焼きであり指導役として役員などに任す場合があります。この役員が、必ずしもトップの価値観を共有できているか誰にもわかりません。そこで、当然ながら、次期トップにトップの価値観が伝わる保証はないでしょう。むしろ、悪口を言う場合もあります。 また、次期トップは、社長のそばにいる機会が多いので、私の経験した範囲ですが、トップの人格上の欠点が見えやすい傾向にあります。したがって、そういった場合も、価値観の共有は困難となるでしょう。 また、世代も異なりますので、そういった面で益々、現在のトップの価値観が、しっかり伝承されることは困難になるでしょう。 やはりまずは、現在の経営トップの人格や徳分が求められます。同時に上述したような、しくみや制度が確立されていることで、必要十分条件が整うこととなります。 しかし、中小企業や特に零細企業では、上述のしくみや制度がしっかり確立しているケースは、私はみたことがありません。したがって、やはり、徳ある経営トップが必須条件となるといえるでしょう。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

29)経営理念の浸透が難しいわけ(その1:経営トップのブレ)

 みなさん、こんにちは! 先回は、企業理念と経営理念のちがいについて、弊社としての考え方をご説明しました。今日は、 狭義の 「経営理念」、「基本理念」と呼ぶ場合もありますが、その定義を明確にして、それを組織に浸透していくための、基本的な考え方や具体的な方法について、皆さんと検討してみたいと考えています。 経営学(マネジメント)の泰斗でもあるドラッカー先生は、経営理念とは、「経営者の想い」、であり「経営哲学」でもあるといっていると思います。「経営哲学」はさらに考えると、「企業経営の原点となる、基本的で最重要な 価値観 」であるともいえます。「心の底から、最も大切にしたいと思えること」、ともいえるでしょう。 ここで、よく言われる、浸透が難しいわけの1つ目(私は最重要と考えています。とくに中小・零細企業の場合です。)として、「経営トップは、熱く語らない、自ら守ろうとしない(ブレルということでしょうか)」があります。 これは、組織として致命傷です。なぜなら、経営幹部や全社員が経営トップの一部始終を、実に的確に観ている(見えない部分、思想や人格など)からです。肝心の側近は、トップに近いがため、忖度してか、必ずしも正直に進言することは少ないでしょう。 したがって、経営トップがブレルと、結果としては、「裸の王様」になってしまうでしょう。いくら経営理念を語ろうとしても、ブレルているのでは、当然心から熱く語ることはできないでしょうし、みずから守ろうとしない、うっかりもあるかもしれませんが、社員は一回でも例外があると、一貫性がないということで、トップが語ることに対し、全幅の信頼は不可能となります。 こういう状態になりますと、社長と想い(価値観)を共感し、共有化することはまず困難でしょう。 朝礼などで、社長やリーダーなどが、経営理念を語ったり、唱和することはよくあることですが、形だけの場合が多いと思います。私が過去に経験した会社では、数少ない例外はありましたが、多くの場合は、社長の言行不一致、つまり想いブレルことが普通でした。これでは、当然、経営理念は浸透しませんし、カルチャー形成どころではありませんね。 次回は、経営者が次の世代に代わるゆえの困難さについて考えてみたいと思います。その後、浸透させるための方法について考えていきたいと思っています(予定は未定ではありますが)。 <T...

28)企業理念と経営理念のちがい

 おはようございます! トランプ大統領は、治療は継続するも、退院したようで、株もあがっているようです。世の中が好感しているということでしょう。 さて、「企業理念」と「経営理念」ですが、もちろん厳密にいえば、ニュアンスはことなります。ただ、世の中では、同じように考えている方も多いような感じがしています。決して間違い、というわけではありません。以下、「村上理念経営コンサルタント」としての基本的な考え方をご説明したいと思います。 「企業理念」=「経営理念(経営哲学)」+「ミッション(使命);経営の目的と方法(顧客と提供する価値)」+「あるべき姿(理想)/存在意義(パーパス)」+「経営指針(経営者の規範)」+「行動指針(社員全員の規範)」 基本は以上ですが、「企業理念」=「(広義の)経営理念」とする際は、上記の「経営理念(経営哲学)」は、「(狭義の)経営理念(経営哲学)」と解釈すれば、それはそれで、よいのではないか、と考えています。ただ、他の人(社員など)に伝える場合は、誤解がないように注意が必要ではないかと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/

27)理念経営の本質-その4;徳ある人材の登用

  27)理念経営の本質-その4;徳ある人材の登用 さて、重点テーマの2番目の柱が、創造性あふれるカルチャー形成でした。企業は基本的には、「ゴーイングコンサーン(企業は継続しなければならない)」でなければなりません。 いくら創造的なカルチャーを形成し、たとえ進化していても、徳のない経営者がかりにトップになり、いったん権力を握ると、企業が公器であることを忘れてしまうことがしばしば生じます。創造的なカルチャーができていたとしても、簡単に崩壊してしまう可能性はかなり高く、世の中でもしばしば、そういったことが発生します。 やはり、人間はどうしても、我執や我欲の虜になり易く、企業を私物化することがしばしばおきていますね。そういった意味で、理念経営を継続していくためには、徳あるリーダーを育成する仕組み、徳あるリーダーが昇格し、トップになるしくみ、また、徳あるリーダーを継承者にするしくみは、不可欠であると私は考えています。 権限のある、組織のトップに徳があることがいかに大切であるか、将来のトップ候補のリーダーは、企業の様々な研修や訓練のみならず、自己研鑽を常にしていくことが厳しく求められていることを、肝に銘じておかなければならないと思います。