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85)「ビジョン」について(その4:「製品販売型」のポイント)

 みなさん、こんにちは! 顧客への価値を提供する方法には、2つのタイプがありますが、その1つ目として、 「製品販売型」を考えます。 製品(サービスも含む)を販売して、利益を確定するビジネスのやり方(ビジネスモデル) です。 顧客が製品を買う理由として、「自分が達成したい、解決したいという課題(ジョブ)」を 持っていることが挙げられます。 例えば、壁に「額入りの絵」を吊るしたい、といった場合、壁に穴を開けなければなりませ ん。そのためには、何らかの工具が必要になります。顧客にとっては、穴さえ開けることが できるなら、どんな工具でも構いません。 一方、工具店の販売員は、顧客の「ジョブ」を考慮することなく、単に思いついた売れ筋の ドリルを勧めるかも知れません。そんなことでは、顧客は簡単に購入しないでしょう。「顧 客のジョブは何なのか」を予め知らなければなりません。 さらには、顧客が製品を買うときの「心理状態」への配慮が重要です。 「ポジティブ」面では、「出来栄えが良い」、「簡単にできる」、「価格が安い」といった 「メリット」が挙げられます。 一方、「ネガティブ」面では、「出来栄えが悪い」、「手間がかかる」、「価格が高い」な どといった、「デメリット」が挙げられます。 以上より、「製品販売型」では、「顧客にとってのジョブは何か?」、「顧客の求めるメリ ット」は何か?」、「顧客が避けるデメリットは何か?」 などに十分配慮することが、 ポイントになります。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

84)経営戦略について(その7の補充版:現状・未来折衷型戦略)

 みなさん、こんにちは! 今日は、78)経営戦略について、その補充版と言うことで、ポイントのみ述べたいと思い ます。 目下のお客様で、ニーズがあったため、追加する次第です。 今は、環境変化が激しく、基本的には、「未来志向型」が当てはまります。 現在大きく事業計画を見直していまして、従来計画したものの中に、今後とも、明らかに 継続して取り上げるべき課題がいくつかあります。また、「現状分析型」からも、新たな、 戦略が見えてきました。こういったことは、現実としてよくあることでしょう。 もちろん、未来に備えては、未来志向型で、自社として取り組むべき戦略を策定します。 例えば、3か年のスパンの戦略見直しとします。当面、例えば、最初の1年目については、3 年先を起点とする、「未来型」として策定した戦略に、上述の、「継続」する戦略や、「現 状分析型」で策定した新たな戦略を加えます。つまり、1年目は、「未来型と現状分析型のハ イブリッド」、ということになります。 もちろん、会社としての経営資源には限りがありますので、ある程度の選択と集中を行う必 要はあります。 そして、2年目を迎える際には、1年目策定の戦略に対して、環境変化に応じた必要な変更を 加えます。そのまま、継続しても良いかもしれません。また完了した戦略もあるでしょう。 要するに、未来型と現状分析型をハイブリッドで進め、環境の変化に応じて、適時、戦略を を見直していく、という方法になります。 以上のように、 必ずしも 、現状分析型、未来志向型と、きれいに分ける必要はないのではな いか、ということです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

83)「ビジョン」について(その3:提供する顧客価値のタイプ 製品販売型と顧客体験型)

みなさん、こんにちは! 顧客に、価値を提供する方法には、2つのタイプがあります。 1つは、「製品販売型」です。 製品(サービスも含む)を販売して、利益を確定するビジネスのやり方(ビジネスモデル) です。顧客に製品を売って、あとは顧客とのつながりはないので、「売り切りモデル」とも 言います。 差別化やコスト競争で、競合より優位に立てることが、成功の条件になります。 また、最近では、モノが溢れ、モノを「所有する」ことより、「使用する」ことに価値があ るとするトレンドがあります。 したがって、「今後とも、製品販売型モデルで安泰である」、とは必ずしも言えないような 時代になっています。 もう1つが、「顧客体験型」です。これは、「製品販売型」のように、「販売時に売り上げ を立てて、利益を計上し終える」、というやり方ではなく、「製品販売後も、顧客とつなが りを持ちながら、継続的に収益を得る」、といったビジネスモデルです。顧客が製品を購入 した後も、積極的に顧客に寄り添い、製品の価値を十分に納得してもらえることが、成功の 条件になります。現在のビジネスは、デジタル時代を迎え、顧客とのコミュニケーションが とりやすく、接点も多く持てるようになりつつあります。 今後は、従来のような、「製品販売型の売り切りモデル」ではなく、「製品販売後も顧客に 寄り添う、顧客体験型モデル」が中心になっていくでしょう。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

82)「ビジョン」について(その2:ビジネスモデルとは)

みなさん、こんにちは! 「ビジネスモデル」とは、「 ビジネス システム」と、「収益 モデル 」とから成ります。 これらの言葉の「ビジネス」と「モデル」が合成されてできた言葉が、「ビジネスモデル」 である、と言われています。 まず「ビジネスシステム」について述べます。 仕入先から、部品や材料、情報などを入手し、工場で加工して製品をつくり、物流を通じ、 顧客に提供します。それらの一連の「しくみ全体のこと」を、「ビジネスシステム」と言い ます。 「ビジネスシステム」の中で、モノを運搬する部分を「サプライチェーン」と言います。ま た、加工して付加価値をつける部分を「バリューチェーン」と言います。 つまり、「ビジネスシステム」とは、「バリューチェーン」と、「サプライチェーン」とか ら成る、と言うことです。 「ビジネスモデル」と一言で言っても、とくに「バリューチェーン」での付加価値の付け方 は多岐にわたるため、多くの型があります。 もう1つの「収益モデル」です。製品やサービスに価格をつけ、顧客に支払ってもらう、 いわゆる、「課金のしくみ」のことを言います。こちらも、「価格の付け方」、「支払い方 法」の組み合わせ等により、多くの型があります。 以上より、「ビジネスモデル」には、多くの型があることになります。私が知っている、基 本的なものだけでも、20以上はあると思います。 ご関心がある場合は、種々の書籍がありますので、是非、研究されることをお勧めいたしま す。 多くの型(定石)を知っているだけ、ビジネスの状況に適合するビジネスモデルを、効果的 な戦略として使える可能性が高まるからです。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

81)「ビジョン」について(その1:「ビジョン」=「ありたい姿」=「ビジネスモデル」)

 みなさん、こんにちは! ここまでで、「経営戦略」は「ビジョン」と「展開戦略」から成ることを述べました。ま た、「ビジョン」は、「経営目標」、「ありたい姿」、「経営課題」から成ることも、すで に述べて来ました。ここからは、「ビジョン」のコアに当たる、「ありたい姿」について、 述べていきます。狭義の「ビジョン」であり、一般の呼び方でもあり、以降「ビジョン」と 呼ぶことにします。 「ビジョン」の中核は、「顧客」と「提供価値」の組み合わせの選択にあります。いわゆ る、「ポジショニング」という戦略です。「ポジショニング」は「差別化」のことでもあり ます。差別化により、一定の競争優位性のレベルが決まりますので、当然ながら、最重要の コアの部分になります。しかし、「ポジショニング」だけでは、競合他社に、比較的容易 に模倣されてしまいます。目に見えるからでしょう。これでは、持続的な競争優位は得られ ません。そこで、「ポジショニング」である「顧客と提供価値」を支える、目に見えにくい 部分、「経営資源」やその「使い方」といった、いわゆる「しくみ」が不可欠となってくる のです。 もちろん、模倣を回避するのみならず、戦略を効果的に実現し、有効に機能させる上でも、 この「仕組み」とのセットは重要です。 一般に、このセットのことを、「ビジネスモデル」と呼んでいます。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

80)経営戦略について(その9:戦略策定の基本ステップ)

みなさん、こんにちは! 経営上の解決すべき課題に対して、「戦略を具体的に策定するための、基本ステップ(手 順)」について、確認したいと思います。 以下は、『シンプルな戦略』(山梨広一著)等を参考に、私なりに整理したものです。 ❶経営課題の目的の明確化 まず、方向性を間違えないようにするため、戦略を通じて達成すべき、目的や目標を、明確 にします。たとえば、「商品開発」であれば、「どんな商品(What)を、何のために (Why)、開発するのか」といったことを、きちんと決めます。山登りで言えば、「目指 すべき山頂」を明確にする、と言うことです。 ❷前提条件の再確認 課題解決の前提条件(費用や期間、許容される解決策の範囲等)を、前もって、明確にして おきます。戦略を策定してから、前提条件を満足しないがために、やり直しをする、といっ た無駄を省くためです。 ❸組織を取り巻く経営環境の分析と洞察 「市場環境(顧客)や競合」の分析、「グローバル環境(政治、経済、社会、技術面 等)」の分析を行い、大きな変化や動向(トレンド)を明確にします。 「山登り」で言えば、「現在地から山頂にいたるまでの地形(川や谷などの有無)や天候 (晴れか、雨か、雪か)を調べ、それらに備え準備をする」といったことです。 ❹課題の抽出 「山登り」で言えば、現在地から、目的地である山頂に到達するために、解決すべきこと 全てが、課題となります。その中から、重要な課題を選択します。目的(山頂に到達する)の 8割程度が解決できるだけの課題に絞ります。「選択と集中」です。 ❺解決の方向性のアイデア出し 選択した重要な課題(複数個)を整理し、解決の方向性(山の登り方)のアイデアを出しま す。山の登り方には種々あるはずです。複数の登り方(アイデア)を出し、どれが良いか を、評価選択します。 ❷で確認した、「前提条件」が、その際の評価基準となります。条件を満足しない「登り 方」は、不採用となります。よい「登り方」が見つかるまで、❹から❺をくりかえします。 ❻重要なアクション(戦術)の策定 選択した「登り方」に沿った方向で、重要なアクション(戦術)を策定します。 ❼1つの戦略としてまとめる ❶から❻までを、経営課題の目的を達成することができる、1つの戦略としてまとめ上げる。 とくに❺は、戦略の質を高めるために、極めて重要です。...

79)経営戦略について(その8:戦略を支える3つの要素)

みなさん、こんにちは! 戦略成功の必要条件として、「戦略目的が、組織と、それを取り巻く環境の諸要素に 適合 す ること」を挙げました。 さらに、「適合の仕方」には、3つのタイプがある、といったことも、順に、述べて来まし た。 それでは、「戦略成功の十分条件」とは何でしょうか? いくら、「独創性」や「顧客価値」があり、「模倣困難」である、といった、優れた戦略が あっても(必要条件)、それらを、組織として、着実に遂行できなければ、全く意味があり ません。 持続的な「競争優位」を発揮するためには、そのための「組織能力」が欠かせません。 したがって、戦略を着実に遂行できる「組織能力」があることが、「戦略成功の十分条件」 と、言えるでしょう。 私は、「組織能力」には、以下の3つの要素があり、それら3つの要素が、戦略遂行のため の条件を、満足できることが必須であると、考えています。 ❶有形資産(ヒト、モノ、カネ) ❷見えざる資産(情報、技術等) ❸モチベーション(やる気) 以上の3つの中、1つでも満足できなければ、戦略遂行は困難となるでしょう。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

78)経営戦略について(その7:現状分析型戦略と未来志向型戦略)

 みなさん、こんにちは! 戦略の「適合』の仕方の、3つ目です。 一般的に、「戦略策定の仕方」として、「時間の流れ(時間軸)」に注力すると、2つの型 がありそうです。 1つは、過去を含む「現在」に、戦略発想の起点(根拠)を置くもので、「現状分析型戦 略」と呼ぶことにします。もう1つは、「未来」に起点(根拠)を置くもので、「未来志向 型戦略」と呼ぶことにします。 順に、それらの特徴を、ご説明いたします。 「現状分析型戦略」は、「過去及び現在」の状況を、「固定された所与の条件」と見なしま す。したがって、「未来」は、過去から現在の、「延長上にある」と考えていることになり ます。「仕事のマネジメント」としては、いわゆる「PDCAサイクル」を回すことが、基本と なります。 ご存知の方が多いと思いますが、「PDCAサイクル」の「PDCA」とは、「P:プラン(計 画)、D:ドゥー(実行)、C:チェック(確認)、A:アクション(見直し/フィードバッ ク)」のことです。確実に成果を出すための、マネジメント手法の1つとされています。  一方、「未来志向型戦略」は、未来の「ありたい姿」を起点にして、戦略を発想します。 現状の組織や取り巻く環境は、「絶えず変化していて、種々の対立や矛盾点がある」と、考 えています。したがって、「仕事のマネジメント」としては、「まず計画ありき」ではな く、「都度、目の前の状況の、背後にある文脈や本質的なことがらを見抜き、 ありたい姿を 見据えつつ、最適な手を打っていく 」といった、やり方をします。 「現状分析型戦略」に対して、「仕事の流れ」が、あたかも「物語を紡ぐ」ようであるた め、「物語り戦略」とも言われています。詳しくは、『共感経営』野中郁次郎/勝美明共著 (日本経済新聞出版)をご覧ください。 最後に結論として、以上を、私なりにまとめます。 ◆「現状分析型戦略」は、成果を出すためには、どうしても「一定時間を必要」とする場合 に適しています。例えば、「人材育成」、「設備投資」、「風土改革」など、といった場合 です。もちろん、環境が、それなりに安定していることが、前提になります。 ただ、現在の自動車業界のように、ビジネス環境が激変していて、先行きが読みにくい場合 については、「シナリオプラニング」と言う手法があります。 時間軸を引き延ばし、 地球規模...

77)経営戦略について(その6:ストレッチ戦略)

 みなさん、こんにちは! 次は、「適合の仕方」の2つ目、「ストレッチ戦略」について、述べたいと思います。 (別名、「過度拡張戦略(オーバーエクステンション戦略)」とも言います。) 「適合」の仕方ですが、適合の対象に対して、整合性がとれすぎていると、大きな成果は得 られません(「戦略の本質」にて、既述しました)。 大きな成果を目指す場合は、現状と戦略目標との間に、意図的に大きな「ギャップ」を作ら なければなりません。 「ギャップ」が大きいと、発想を新たにして、知恵を絞りだし、チャレンジし続けなければ ならないからです。 とくに、組織が、現状維持レベルに甘んじ、停滞気味であるような場合(例えば、「大企業 病」に陥っている場合)には、「敢えてバランスを崩し、不均衡を発生させる」、といった 戦略は、非常に有効と思われます。 米国のGE社では、「ストレッチ戦略」で大いに成功していることで、有名です。 ただ、「ストレッチ戦略」を採用する場合は、リスクが伴いますので、強力なリーダーシッ プのもと、以下のように、対象を絞り、実行することが大切です。 基本的には、「製品」、「ビジネスシステム(事業連鎖)」、「見えざる資産」の3点に絞 ることが望ましいでしょう。 これらの場合は、不均衡は、 組織内で 発生するので、組織として責任をもって、ある程度の リスクは、コントロールできるからです。 以下、3点につき、簡単にご説明いたします。 ❶「製品」の場合:現在供給されている製品とは、(機能や用途が)大きくかけはなれた製 品を提供することによって、既存の製品との間に大きな不均衡を起こします。「新たな市 場」の創造が可能となります。 ❷「ビジネスシステム」の場合:市場に供給される製品そのものには、大きな変化はありま せん。その製品を顧客に届けるまでの「ビジネスシステム」として、それまでの市場の常識 的な「ビジネスシステム」から、大きく外れるようなものを、市場に導入することです。 ユニクロの「製造小売業(SPA)」、キーエンスの「富山の薬売り」などの事例がありま す。大いに差別化された「ビジネスモデル」が、可能となります。 ❸「見えざる資産」の場合 組織の戦略は、「見えざる資産(情報や技術)」に、常にピッタリ合っていてはなりませ ん。目標レベルの高い、「過度で厳しい戦略」をとることが必要で...