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90)「ビジョン」について(その9:課題抽出方法②、要件法)より具現化を確実に!

 みなさん、こんにちは! 「経営課題」の抽出方法の2番目として、「要件法」について述べたいと思います。 「要件」とは、「必要な条件」という意味があります。例えば、「資格要件」、といった場 合、ある特定の「資格に対して、具備すべき必要な条件」という意味になります。 ここで私の述べる「要件法」では、「要件」は、「必要」というよりも、「必須」、「不可 欠」といった意味で使っています。つまり、「要件」とは、「具備すべき必須の条件」とい った意味になります。 それでは「要件法」について述べたいと思います。 既述の、「SWOT分析活用法」では、環境変化が比較的少なく、現状の延長上で考えられる 時間軸の範囲(1年後、3年後など)が前提でした。しかし、「要件法」では、環境変化が激 しく、現状の延長では考えられない時間軸の範囲でも有効です。 例えば、遠い未来の「あるべき姿」を描いたとします。そういった場合でも、実現するため の「課題」を抽出できる、ということです。 以下、「要件法」の活用法について具体的に述べましょう。 ①まず、「あるべき姿」の「要件」つまり、「あるべき姿」が「 成立するために 、具備すべ き必須の条件」とは何か? といった問いかけをします。 ②「目的ー手段」分析法を活用します。  【「目的ー手段」分析法についての補足】 ・「目的」に対して「手段」は何かを考えます。例えば、「売り上げを増やす」という「目 的」に対する「手段」は、「製品の価格を上げる」か、「販売数量を増やす」か、「その他 の方法」の3つが全てです。ここでのポイントは、「目的」と3つの「手段」とが、過不足 なく、「一対一に対応」していることです。例えば、一枚の正方形の色紙を数個の紙片に適 当にカットしても、パズルのようにきちんと並べ替えることで、最初の一枚の正方形の色紙 を復元できます。これが、モレ(欠け)、ダブリ(重なり)がなく、「一対一に対応」して いるということです。 さらに細分化し、より具体化したい場合は、得られた「手段」を「目的」とし、そのための 「手段」を明らかにしていきます。 例えば、上述で得られた「手段」、例えば、「価格を上げる」を「目的」とし、その「手 段」を考えます。「単に、価格を上げる(数字を大きくする)」、「製品の質を落とし、実 質価格を上げる」、「その他の方法」となります...

89)「ビジョン」について(その8:課題抽出方法①、SWOT分析の活用)より具現化を確実に!

 みなさん、今日は! 「ビジョン」を具現化するためには、「どのように具現化するのか」といった戦略(展開戦 略と呼んでいます)が必要です。より効果的な戦略を策定するためには、「経営目標」と 「ビジョン」具現化のために必須の「経営課題」を明確にする必要があります。「経営課 題」が明確になれば、「戦略」をより的確に策定することができるからです。 私としては、「2つの方法」が有効と考えています。 「SWOT分析活用法」と「要件法」(私のオリジナルです)の2つです。 まず、「SWOT分析活用法」について述べます。皆さんよくご存知と思います。 「ビジョン」は、環境変化が比較的少なく、現状の延長上で考えられる、例えば1年後とし ましょう。 自社として、「1年後のビジョン」を実現しなければならない、といったケースです。 まず、1年後の自社の事業にとっての「チャンス(O)」と「脅威(T)」に該当するもの を、それぞれ1つづつ(話をシンプルにするため1つとします)、リストアップします。 次に、1年後のビジョン実現に向けて、自社の保有する「強味(S)」と「弱み(W)」をそ れぞれ1つづつ、リストアップします。 そして、「チャンス」と「脅威」のグループと、「強味」と「弱み」のグループとで、クロ ス(交叉)させます。「4つの組み合わせ」ができます。4つの「課題」候補ができます。 例えば、「パン屋」を経営しているとします。「円安傾向」にあり、輸入している小麦の材 料費が高騰しています(脅威)。美味しいパンをつくるノウハウを豊富に持っています(強 味)。この場合、「課題」として、例えば、「材料費値上がり分を十分に吸収できるだけの 画期的な美味しさのパンを開発すること」といったものが、「課題」の一つとなります。 この場合、4つの課題が形成されますが、実際にはより多い課題が形成されるのが一般的で す。そこで、実践的な「課題の絞り込み方法」をご紹介します。「提供する価値」と「競争 優位性」へのインパクトが大きいものから優先して絞り込むことです。上述の「パンの開 発」の場合、両者にインパクトがありそうですので、課題に取り上げる価値があるかもしれ ません。 この「SWOT分析活用法」(厳密には、「SWOT分析」と「クロスSWOT分析」の組み合わ せですが)は、シンプルですので、一度試してみてはいか...

88)「ビジョン」について(その7:経営目標の設定 三方よしの精神)

みなさん、こんにちは! 経営目標の設定ついて、「背伸びして、手を伸ばして触れることのできる」レベルがよい、 といった論点で、すでに述べました(→コラム74) それは、決して安易に妥協するといった意味ではありません。 「 非現実 な目標を設定することからスタートし、 現実 のレベルから遊離することなく、ギリ ギリの可能性を残した目標を設定する」といった意味です。 「売り上げ」や「利益」など、「顧客に直結」する場合の目標設定は、さらに、別の「観 点」が求められます。 「日本的経営の代名詞」にもなっている、「三方よし」の精神です。「自分よし、相手よ し、世間よし」のことです。「自分よし」とは、「自分の利益を得る」ということです。 「相手よし」とは、「客あるいは取引相手も利益を得る」ということです。そして自分と取 引相手がともに利益を得れば、それが広がりを持って、「世の中全体が得をする」と言うこ とになるわけです。つまり、「皆が豊かに幸福になる」ということです。しかし「自分の利 益を重視し、相手の利益を軽視する」場合は、自分はよくても、相手の商売は長続きしませ ん。相手は離れていくでしょう。結果、自分の利益も減っていくことは明らかです。社会へ の広がりも期待できません。 私は、「理念経営」として、この「三方よし」の精神は必須であると考えています。 いずれにしても、「売り上げ」や「利益」などの目標設定に際しては、こういった「三方よ し」の精神を忘れないようにしたいと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

87)「ビジョン」について(その6:しくみによる差別化、RPV理論)

みなさん、こんにちは! ビジネスモデルで、「顧客と提供価値」がポジショニング、いわゆる、「差別化」と言う点 で重要であることは既に述べました。これだけでは、比較的容易に模倣されてしまいます。 そこで、模倣回避のためにも、「経営資源」やその「使い方」といった、いわゆる「しく み」づくりが不可欠であることも、すでに述べました。 この「しくみ」というのは、どのような「お客様」に、製品を通じてどのような「価値」を 提供するのか、といったことを支えるものです。 その「しくみ」づくりのために、ここで「RPV理論」を簡単にご紹介いたします。「イノベ ーションのジレンマ」で有名な、マイケルポーター教授の理論です。 「R」は、経営資源(Resource)です。能力(人材)、資産(モノ、カネ、情報等)、技術 などがあります。「P」は、「使い方」や「活動」(Process/Activity)です。「パターン化 された活動」、「活動方針」、「ルール」などです。「V」は提供する価値(差別化) (Value)です。「食べ物」でしたら、「非常に美味しい」、「ここにしかない」、「大変値 打ち」など、可能なものから自由に選択できます。 以上の、「R」、「P」、「V」を組み合わせるのです。例えば、「レストラン」としましょ う。「R」は、「味をつくる能力」、「P」は、「メニューを工夫する」、「V」は、「非常 に美味しい」にします。お客様は、なぜ「非常に美味しい」のか分かりませんし、競合も簡 単には模倣できません。 この組み合わせで、さらに、Pに「食材にお金をかける」を追加するとします。 ますます美味しくなるはずです。そして、模倣はさらに困難になるわけです。 この「RPV」理論は、結構実践的であり、応用が効くので、大変役に立ちます。 もっと専門的に学びたいという方には、「ストーリーとしての競争戦略」楠木健著(東洋経 済新報社)を、是非お勧めしたいと思います。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/  

86)「ビジョン」について(その5:顧客体験型の適合の仕方)

みなさん、こんにちは! 今回は「顧客体験型」です。私は2つのタイプがあると考えています。 1つは、「製品販売型」のように、「売ったらそれで終わり」ではなく、「売った後の顧客 の体験に注力し、不具合や不満点を改善することで、顧客満足度をより高める」といったタ イプのものです。この場合の「顧客体験」とは、「製品を購入してから、使用し、廃棄する までの一連の流れ」を指します。あたかも、「顧客が旅をする」ようなので、「カスタマー ジャーニー」と呼ぶ場合もあります。 例えば、製品を購入する場合、自宅まで届けてくれる場合もあれば、店まで出かけ、自分で 自宅まで運搬する、といったこともあります。車がない人にとっては、店まで行って運搬す ることは、大変なことです。そこで、宅配のサービスをすれば、顧客から大いに喜ばれるで しょう。 もう一つは、販売した後、継続的に、「顧客体験を改善し続ける」ことで、顧客に真に満足 していただき、アップグレードした製品を購入したり、関連の他の製品を購入することもあ ります。 この場合は、「顧客の取り組んでいる仕事で、真に成功していただく、といった思い」が大 切です。最近はデジタル技術がかなり進化していますので、「カスタマージャーニー」の中 の「あらゆる顧客接点で、きめ細かな対応」がができるようになっています。 「製品販売後も、継続的に顧客に寄り添い、顧客の成功を願いながらサービスしていく」と いった「ビジネスモデル(カスタマーサクセス)」が、今後益々普及し、競争もより激しく なることでしょう。 <TOPページへ> https://rickrinen.blogspot.com/